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三周目の異世界で思い付いたのはとりあえず裸になることでした。  作者: 木原ゆう
第四部 カズハ・アックスプラントの世界戦争
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061 あまり強く怒られると非行に走っちゃうかもしれません。

 無事に土の魔術禁書を手に入れた俺はルンルン気分で港町グランザルに戻りました。

 いやー、久しぶりに全力で戦いましたー。

 黒剣の使い方も徐々に分かってきたし、言うことなしだね。


「おい! カズハ! てめぇ、また勝手に一人で街を抜け出したな!」


 到着早々デボルグに見つかり、俺は叱られた犬みたいに小さくなります。

 ……ていうか別にいいじゃんかよ!

 ちょっとくらい街を出たって!


「だってセレンは酒場に行っちまうし、冒険者は襲撃してくるし……。俺だってやらなきゃいけないこととか色々あるし……ブツブツブツ……」


「はぁ……。ったく、こっちはせっかく船の手配が済んだと思ったら、帰港途中の別の船が沈んじまって交渉がパーになっちまうしよ。一体どうなってやがんだよ」


「船が……沈んだ?」


 ……何だろう。

 すごく嫌な予感がします。


「カズハも知ってんだろ? この港から北東に10ULほど行った場所に古墳があるのを」


「……」


「そこから謎の光線が海に向かって照射されて、それで船が沈んじまったらしいんだよ。幸い船に直接謎の光線が当たったわけじゃねぇから、乗組員は全員無事だったみたいだけどよ。津波で転覆しちまって、船は海の底っつうわけだ。この港にはそれ以外に代わりの船がねぇから、俺らには売れねぇんだとよ」


「……」


 ……うん。

 謎の光線……。

 …………うん。


「……おい、カズハ。どうして全身に冷や汗を掻きつつ目を逸らす?」


「いえいえ! 全然、冷や汗なんて掻いていませんよ! いやー、今日は蒸し暑いですね! この黒い服がいけないのかな!」


「お前、その黒剣……。鎖で封印してたんじゃなかったのか」


「え……? あれ? 本当だー! どうして鎖が解かれているのかなー! 危ない危ない! 間違えて抜刀しちゃわないように、すぐに別の鎖を買いに行かなきゃー!」


 完全に声が裏返っているが、今はこの場から逃げることが最優先だ。

 これ以上デボルグと話すとボロが出てしまう……!


「おや、こんなところにゼノライト鉱石が」


「しまった! 土の神獣のドロップアイテムをうっかり落として――――いない?」


 ポケットをまさぐると、そこにはしっかりとゼノライト鉱石が入っていた。

 アイテム欄はもうパンパンだったから、入りきらない分はこうやって手持ちで持ち帰ってきたんだけど……。


「てめぇ! やっぱ古墳に行ったんじゃねぇか! 土の神獣だぁ? まさか、あの古墳に魔術禁書が?」


「痛い! 『爪』でグリグリしないで! 話すから! ちゃんと話すから!!」


 後ろから羽交い絞めにされて、神器の爪でこめかみをグリグリされると、すごい痛いんですね。

 ……そんな情報、知りたくもない!


 ――というわけで。

 正門のすぐ横にある木のベンチの前で正座をさせられて、俺は洗いざらい事の次第を説明しました。


 膝が痛い……。





「――話は分かった。つまりお前は最初から『土公神の古墳』に土の魔術禁書があると知りつつ、一人でそれを取りに向かった」


「はい、そうです……」


 ベンチで足を組みつつ睨みつけてくるデボルグさんは、まるでヤクザのようです。

 怖い! 怖すぎる!


「今のお前は陽の魔術禁書で《制限解除リミッター・ブレイク》の力を封印されているんだぞ? いくら黒剣があるからと言って、以前のように無敵というわけではないんだろう?」


「……強いもん。カズハちゃん、すごい強いもん」


 小さい声で反論するも、デボルグの目を見ることが出来ません。

 このままじゃトラウマになっちゃうかも!


「……はぁ。お前の悪いところは何でも一人で解決しようとするところだな。何のために俺らがいると思ってるんだ? もしも今度、また勝手に行動したら……分かってるな?」


「はい……。重々承知しています……」


「じゃあ、復唱。さっき覚えたやつ。大きな声で」


「……はい。『ひとつ! 一人で行動しない! ふたつ! 一人で戦わない! みっつ! 一人で解決しようとしない!』」


「よし。じゃあ土の魔術禁書は俺が預かっておくから、このまま一緒に酒場に向かうぞ。船が手に入らないとなったら、別の作戦を練らないと駄目だ。セレンと合流してそのまま会議をする」


「イエッサー!」


 敬礼のポーズで立ち上がった俺はそのままデボルグの後ろをキビキビと歩きます。

 今に見てろよデボルグ……!

 いつか誰もが認める立派な女王になってやるもん……!


「あ、そうだ。俺さぁ、もうこの街で魔王として顔が割れちゃってるみたいなんだよね。また冒険者に狙われてケツに毒針とか刺されるの嫌だから、もっとちゃんと変装したいんだけど……」


「変装? ならこのまま装飾店に行って、俺がコーディネートしてやろう」


「え? あ、いや……。デボルグさんのコーディネートとか、めっちゃ嫌な予感しかしないんですけど……」


 確か以前にもドレスを着させられたり白衣を着させられたりした覚えが……。

 そんなん着たら逆に目立つと思うんですが……。


「念のためにセレンの服も用意しておくか。お前ら二人は手配書に載っているからな。女は服装と髪型が違うだけで随分と印象が変わるから楽でいいよな」


 そう言ったデボルグは何やら楽しそうに笑っています。

 これ、ぜったい変な服を選ぶ気満々だ……!

 でも今の俺はこいつに逆らえない!

 だって逆らったらまた爪でこめかみをグリグリされるし!


 とにかく、しばらくは大人しく言うことを聞いておこう……。















 



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