ナマエ
ジャンルはSFですが、現段階ではまだ学園パートです。
ハードな世界観と設定を用意してますが
初投稿でなかなかうまく話の構成に設定をまだ盛り込めてませんが、話が大きく動きハードな戦いになっていく今後も見てもらえたら嬉しいです
いつもの商店街を抜けた信号を左
コンビニを右に曲がると、俺の通う学校、空海高校がある。
いつも遅刻ギリギリか、いや、いつも午後から学校へ顔を出す俺。やりたい放題の学校生活を過ごしている。
自由に生きるのが理想なんだ。
コンビニに寄ってジュースでも買おう。
そう思い原付をコンビニに止める。
「お、れっちゃんじゃんか!やっぱりお前バッチリ来たな!やる気満々じゃねーか髪型も整えちゃってね」
髭を生やした黒髪オールバックヘアーで、ピアスを開けてタバコ、ラッキーストライクを加えて歩いてくるこのいかつい絵に描いたようなヤンキーみたいなヤツは芝原菊治。
クラスメイトの一人でいつものメンツ、イツメンの一人だ。
「お前のその頭には勝てねーよ菊治」
「確かになぁ。菊治、昨日から徹夜でマンガ読んでて今日は学校サボるつもりだったのによ、リュウジからのメール見て寝る間も惜しんで髪セットしだしてよ」
菊治の隣にいるこのオレンジ色の髪をして前髪を真ん中で上げて
ピンで止めているチャラチャラのイケてるヤツは
澤田信太。髭を生やした菊治とは
対照的に爽やかな奴だ。
「うるせぇ信太!どーせれっちゃんもサボるつもりだったんだろ?お前もリュウジからのメール見て来たんだろ?俺には分かります」
言われてみるとその通りなんだよな。
「んな事より朝っぱらから制服でラキストなんて加えてんじゃねーよ!転校生見る前に補導されんぞ!」
我ながら菊治にナイスなツッコミを入れた。
「お前ら俺だけ仲間外れでワイワイすんなよな!」
メールの送り主の黒髪ショートヘアーの爽やかイケメン二階堂龍二が走ってきた。
「おせーよ龍二。ま、これで全員揃ったし行こうや。」
信太がそう言って歩き出す。
俺は急いでジュースを買って、三人を追いかけた。
「ところでさ、お前転校生来るなんてどーやって調べたんだ?嘘だったら承知しねーぞ!」
菊治が問い詰める。
「昨日放課後職員室の前とおった時に担任が教頭と話してるとこをちょいと盗み聞きしてきた」
「龍二らしいな盗み聞きしてきたとか。嫌なやつー」
俺は龍二をからかった
「んだそりゃどー言う意味だよ!」
「やるかぁ!?」
俺達は朝っぱらからじゃれあいながら登校した。
俺達はいつもこんなんだ。
騒がしくてバカの集まり。
そお言うお年頃真っ盛りな俺達だ。
周りから見たら俺達は不良グループだ。
だが、俺はこんなバカで自由でやる時はやる男らしいコイツらが大好きだ。
面と向かっては恥ずかしくてとても言えないんだけども。
そんな俺達は学校ではちょっとした有名人。
問題児の集まりだから目立つのは当たり前だが
俺達のバカっぷりは自然と周りに笑顔を撒き散らす。
そんな毎日が充実しているように感じる。
皆が笑っているのは、俺にとって幸せだ。
小さいときに両親を亡くしてから、殻に閉じこもってしまっていた時期があった。
何もかもが嫌になり、両親を奪ったこの世界その物が大嫌いで、壊れてしまえば良いとさえ思ったこともある。
だけど、それは俺が自分の世界しか見ていなかったからなんだ。
周りを見渡すと、そんな俺を支えてくれている人たちが見えたんだ。
ハルおばさんもそうだし、龍二、菊治、信太を始めとするいろんな仲間たち。
俺は一人じゃないんだと、実感できた。
信じることを学んだ。
なにも信じられなかったあの日、仲間を信じることで前に進める事を学んだんだ。
俺は仲間を信じてる。信じられるのは仲間たちであり、生きる理由だ。
だから俺は、あれから誓ったんだ。
俺に笑顔をくれた皆のために、俺は生きていくんだと。
いろんな人のために生きて、皆に幸せになってほしいんだ…
うぃー!みんなおはよー!
俺達四人は教室に入り、元気よく挨拶をする。
「わぁ、珍しい!あいつらがこの時間から学校にいる!」
「今日は雪が降るぞ!」
などなど、俺達を見るなり早速いろんなコメントがあちこちから殺到する。
そうして、俺達は席につく。
キーンコーンカーンコーン
「はいお前ら席につけぃ。ホームルーム始めんぞー…って、烈我!龍二!菊治!信太!お前ら珍しいじゃんか!」
担任の朱方先生が聞きあきたコメントを発した。
「そのセリフ朝から何回聞いたんだか。聞きあきたっつの!」
俺は朱方に言い返してやった。
「まぁ、どうせお前らの目当ては転校生なんだろうに。下心が丸見えなんだよ。龍二!お前昨日盗み聞きしてたろ」
「バレテルー!」
どうやら龍二はバレバレだったようだ。
転校生という言葉を聞いて、クラス中がざわざわしだす。
「おい!なんでもいーから早く転校生呼べよ朱方ァ!」
菊治が怒鳴る。
「やかましい奴等だ。まぁいいや、入って来てー」
朱方の呼び掛けと共に一人の女の子が入ってくる。
クラス中が静まり返り、期待に胸を膨らます俺達さえも、言葉を失い、開いた口がふさがらない。
か、かわいい…!!
クラスの大半の男子がそう騒ぎ始める。
菊治なんて取り乱しているほどに。
「初めまして。今日からこのクラスに転入しました、藍川れいな(あいかわ・れいな)です。よろしくお願いします。」
小柄で体に長く綺麗な黒い髪に白い肌。
清楚な雰囲気を漂わせていて、近づきがたいオーラを放っているかのように高貴に見えた。
あまりの美しさに全体が言葉を失っていた。
俺も言葉を失った。
だが、俺は間違いなくクラスのやつらとは違う理由で言葉を失っている。
この娘は、昨日の俺の夢に出てきた、あの女の子に瓜二つだ。
この娘を見た瞬間に、昨日の夢の全容を思い出した。
誰もいなく、果てしない闇の空間で確かに覚えているはずのその女の子に出会い、その子の名前を呼べなくて、辛くて涙を流した。そして俺はその子に抱き締められ、感じたことのないような優しさと温もりを感じ、笑顔を浮かべた。
そして、その子が俺に言った言葉…
何故なんだ?
何故俺は、この藍川れいなという女の子に
妙な懐かしさを感じるんだ?
夢に出てきた女の子に瓜二つ?
だが、確かに分かる。夢に出てきたあの子とこの藍川れいなという女の子は別の存在だ。
じゃあ何故懐かしいんだ?
じゃああの夢に出てきた○○はいったい…?
まただ。夢から覚めてるはずなのに
未だに名前を口に出せない。心の中でも言えない。
本当は分かっているはずなのに。
「どうした?烈我。顔色わるくない?」
前の席のクラスメイトが訪ねてくる。
「いや、何でもない。ちょっと保健室いって…」
「じゃあ藍川、席は欄情の隣が空いてるからそこな。」
朱方の一言が飛び交う。
俺の隣に!?
俺達は四人とも席はバラバラだ。
龍二は一番右の廊下側の席のまん中
菊治はまん中の列の一番後ろ
信太は菊治の列の先頭
俺は窓際の列の一番後ろ
その隣の席は確かに空いてはいるけど
すっかり気にかけてなかった。
まずい、こんなタイミングで。
混乱が押さえられない。
「烈我のヤロウ!!マジファック!!」
菊治が言う。
「ずりぃよ烈我!」
信太も続く。
「転校生来るって最初に言ったの俺なのに!」
龍二までも。
そんな中、藍川は俺の隣に静かに近付いてくる。
未だに言葉を失っている俺は混乱状態だ。
藍川はそんな俺の隣の席に座った。
「よろしくね、烈我くん。」
「あ、あぁ。よろしくね、、、?」
「どうしたの?なんか具合悪いの?」
ストレートな質問だ。
「いや、ちがうよ、大丈夫。」
不器用にしか言葉を返せない。
「なんか、烈我くんてさ、懐かしい感じがする」
はっ!?
これが、俺の絶望の始まりになるなんて
誰にも予想は出来なかっただろう。
彼女との出会いは、俺に大きな変革を与える事になる。
そして、俺はこれから多くの真実を知り、多くの物を失っていく事になる。