表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
みちのくダンジョン・ハイスクール・ボーイ~ランキングより好きに生きていいですか?何か問題でも~  作者: 白神ブナ
第4章 マタギの里

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

92/122

第92話 親子グマ

早朝、狩野はスマホを手に持って、配信をスタートした。

寝起きをレポートするバラエティー番組みたいに、小声でスマホに向かって話している。


「………おはようございまーす。

カリノ・チャンネルをご覧のみなさん。

おもろい、楽しい、あなたの探索者、カリノでーす。

音声小さいですか? 聞こえてます? 

ちょっと訳ありで声を出せないので、静かに配信してまーす」


俺が、カリノ・チャンネルに出るのは二回目だ。

久々の配信で、リスナーさんはハチ王子なんて覚えていないだろう。


(早朝にライブ配信って、めずらしー)

(あまり早くて、アクセス数は伸びないんじゃね?)

(このチャンネルは、いつやってもアクセス数は伸びないだろ)

(おい、人気がないと言ってるやつら、結局、配信見てるじゃん)

(暇だったから)

(他に見るものなかったから)

(もっと楽しめや)


「みなさん、早起きは三文の得ですよー。

今日のスペシャル・ゲストは、なんとハチ王子でーす」


狩野が持ったスマホは、背中にアンツァを背負った俺を映し出す。

俺は、何も言わずカメラに向かって、右手をヨォっとあげて挨拶してみせた。



(マジで? ハチ王子がいる。久しぶりじゃん)

(ハチ王子生きてたんだ)

(ハチ王子出てるよと、みんなに教えたろ)

(やだ、早起きして正解。SNSで共有しよ♡)

(ハチ王子の背後に写っているのは何だ? 犬の亡霊か?)

(秋田犬を背負って登場かよ、ハチ王子ってぶっ飛んでるな)

(秋田犬、きゃわゆいー)



「今日はですね。僕たちがよく使うダンジョンの洞窟に、クマが住み着いてしまって、それを八王子が退治する予定なんですが、……どういうことになるのかは、僕もハチ王子もわからないんですよ」


(クマ? クマと戦うの?)

(それ、ヤバくね? ああ、ハチ王子終わるな、たぶん)

(動物愛護団体からクレームきそう)

(クマって、プーさんじゃないよね)

(それで犬と一緒なのか? ハチ王子頑張って!)

(久々にハチ王子が暴れるところみられるのか)

(いや、暴れるかどうか、その前に食われるかも)

(食われたら、放送事故、放送事故)

(残酷シーンをマジでライブ配信する気なのか?)


俺は左手を振り、配信中のコメント欄が表示された画面をざっと読んでいた。


カリノ・チャンネルのリスナーって、カリノを応援するやつがいないんだな。

もうちょっとカリノを応援してやれよ。


さてと、問題のクマはどこにいるのか。

ダンジョンと田沢湖高原を結んでいる洞窟を覗いてみた。

黒い塊が、もぞもぞと動いている。

もぞもぞ、もぞもぞ、もぞもぞ。

三頭もいるじゃないか。

よく見ると、一頭は大きいが後の二頭は子グマか?

これは、親子グマだ。

子連れの母グマは、神経質になっているから、注意しないと襲われる可能性大だ。


「ハチ王子、どうやって戦います?」


「……」


アンツァは親子グマを一目見て、俺にアドバイスした。

(これはやっかいだな。刺激しないほうがいいぞ)


「ハチ王子? 聞こえてます? どうやって戦いますか?」


「………」


(ほら、やっぱりね。ハチ王子はヤバいってわかったんだよ。クマは魔物と違うからな)

(動物愛護団体からの抗議のほうが怖いっての)

(でも、戦いが観たい)



俺は、狩野に向け、口に人差し指を当てサインを送った。


「しっ! 静かに。クマが動き出した。朝の食事に出かけるようだ」


親子クマは洞窟の出入り口でしばらく周辺を警戒していたが、安全を確認すると外に出て行った。


「なんだぁ、出て行ったじゃん。何もしなくて配信終わりかよ」


「食事したらまたここに戻ってくる」


「戻って来られても、困るよそれじゃ。

そしたら、駆除してよ。配信しているんだし」


「あれは親子グマだ。下手すると母グマにやられる」



俺はアンツァを背中から降ろして、クマが寝転がっていた場所まで歩いてみた。

そこは、昨日山で猿橋さんが教えてくれた寝床そのものだった。


「ここを拠点に、周辺の山でエサ場を求めて行動してるんだな」


アンツァは寝床の匂いを嗅いで、洞窟の出入り口付近まで移動し低く唸った。


(遠くへは行っていない。まだその辺にいる)


「ごめん、狩野。ちょっと、爺ちゃんに電話するから配信切ってくれ」


俺はカリノ・チャンネルの配信を止めるように言った。

「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるのっ……!」


と思ってくださったら


下にある☆☆☆☆☆から、

ぜひ、作品への応援お願いいたします。


面白かったら星5つ、

つまらなかったら星1つ、

正直に感じた気持ちでちろん結構です!


ブックマークもいただけるとさらにモチベアップします。


最後まで応援よろしくお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ