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みちのくダンジョン・ハイスクール・ボーイ~ランキングより好きに生きていいですか?何か問題でも~  作者: 白神ブナ
第4章 マタギの里

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第91話 友達、ある意味最強の

――転移!


転移石は第5層界の小屋のロフトに置いてあったはず。

俺は目を開けた。

転移石をロフトの寝袋の上に置いていたせいか、俺の体はロフトで寝転んでいる姿勢で転移していた。

唇の振れそうな距離に、あいつの顔があった。


「…………」


狩野がすやすやと寝息をたてて寝ている。

心配して焦って助けに来たのに、危機的状況にいるはずの友達は、幼子のような顔して寝ているじゃないか。


そうか、今はもう夜だった。

しかも、小屋に避難していろと指示したのは俺だった。

焦って損した。

それにしても、狩野ってかわいいなぁ。こんな顔して寝るんだ。


アンツァが俺の背中でモソモソしている。


(ここはどこだ。ん? ここで寝てるやつ、忍が助けようとした友達か?)


「ダンジョンにある俺の小屋だよ。こいつが助けてくれと電話してきた友達だ」


(どこが助けてなんだ。まったく平和そうじゃん)


「ふっ…」


可笑しくなって、俺は狩野の頭を撫でてやった。

すると、夢でもみているのか狩野は俺に絡みついて来た。


「うううーーん、いいじゃん、桜庭ぁー」


「よせっ、俺は桜庭じゃない」


俺の声を聞いて狩野はうっすらと目を開けた。

そして、開けた目をまんまるくして驚いた。


「うわぁーーーー! うわぁーーーー! 

うわぁ、びっくりしたーー! 

何、何、なんで最上が僕と寝てるんだ! 

やめろよ! 寝込みを襲うなんて。」


「そんなに驚くなよ。かわいい寝顔だった」


「ごめん、最上。僕はそういうことは出来ないんだ。

僕はその、…なんだ。

お前のことは好きだけど、こういう好きとは違うから。

こういうことは、もっとよくお互いを知ってからだな………」


「はぁ?! 何か勘違いしてないか?」


ワン!

(そういうことは出来ないって、何ができないんだ?)


「うわっ! 犬? 秋田犬? 最上……、

犬まで連れ込んで僕の寝込みを襲うなんて…、

変態すぎるだろ。

そうか、そこまでして僕と……」


「何を考えているかわからないが、

この寝袋に転移石が置いてあっただろ」


「あった」


「狩野が泣きながら助けを呼ぶから、

ここに転移してきたんだよ」


「あ、そういうこと? なんだ、僕はてっきり…」


ワン!

(てっきり何だ?)


「ってか、なんで秋田犬連れて来てんの?」


「いろいろあってな。話せば長い。

ところでさ、狩野、腹減ってないか?」


「減ってる、減ってる。

もう僕はお腹と背中がくっついているぞ」


「よし、下に降りて飯にしようぜ。宿からお弁当持ってきた」


「やったーーー!」


俺は、ロフトから梯子を降りて下の部屋のテーブルについた。

梯子から降りる俺の足元を見て、狩野は気が付いたようだ。


「最上、お前さぁ、地下足袋を履いてる?」


「あ、そう、そう。どうだ?かっこいいだろ、これ」


狩野に自慢したくて右足をあげ地下足袋を見せつけた。


「ああ、僕も実家で現場行くとき履くけど、動きやすいよな」


狩野もロフトから降りて来て言った。

意外にも、地下足袋への感動は薄かった。


「なんだ、狩野も持っているのか。

そういえば、実家は建設業だっけ

感動が薄いわけだ。つまんねえな。」


せっかく自慢したかったのに、狩野にとっては身近な履物だったんだ。

ちぇ、つまんね。




テーブルに、宿のおかみさんが作ってくれたお弁当を広げた。

お弁当のおかずには、クマ肉の煮込みが入っている。

狩野と二人で食べるお弁当は、宿で一人で食べるよりも美味しい。


「うまっ! 肉に飢えていたんだよ、僕。

これ牛肉か? 味噌の味付けがいいね」


「それ、クマ肉だよ。美味いだろ」


「え? そうなん? 

まさか、お前が今日仕留めたクマとか言わないよな」


「なんで、わかった?」


「マジか……、そうか、そういうことか。

命に感謝していただきます」


「さすが狩野。なんでいつも俺の気持ちがわかるんだ。

そういうとこに俺は救われるよ。ありがとうな」


「ん? さすが僕だろ。

最上がどんな気持ちでクマと向き合ったかくらいわかるよ」


「狩野…、俺、泣きそうだよ…」


「泣くな、泣くな。わかって当然、

何しろ僕たち地下足袋ブラザーズだからな」


「ブッ! なんじゃそれ?」


「ハヤブサさんも、地下足袋履くかな? 

そしたら、僕たちのパーティー超かっこよくね?」


「はっはっはっ! ない、ない。

ハヤブサさんのイメージが壊れるからやめろよ」


「え? なんで? いいじゃん」


俺と狩野はお弁当を食べている間、アンツァにはドックフードを与えていた。


「この秋田犬、名前は?」


「アンツァ」


「それ、何語? イタリア語か?」


「秋田の方言で、一家の長男って意味らしい」


「へぇー、ずいぶん身分が高いんだな。

ヨーロッパ貴族みたいじゃん」


「面白いんだよ。アンツァは秋田犬に転生する前は、

伝説のマタギだったって言ってる」


「スゲ! 元マタギのアンツァ! 最強じゃん」


(そうかぁ? 最強って、どんな奴が最強かわかって言っているのか?)


「どんな奴が最強と言うのか知ってるか、だって」


「犬の言っていることわかるんだ最上! 

ってか、最上ってそうだよな。そういう能力あるもんな」


「質問に答えろだって」


「はい、アンツァ先生。それは一番強いやつの事です!」


(忍の友達って、頭が同レベルだな。あ、これは訳さなくていい)


狩野は最高におもしろい友達だ

ずっと年上の人とばかり話していたから、狩野といると底抜けに楽しい。


「ところでさ、最上。

急に真面目な話になるけど、

ダンジョン洞窟のクマはどうやって退治するんだ?」


「今夜は危険だから、明日の朝早く洞窟に行くよ」


「僕にできることあるかな」


「うーーーん、そうだなぁ。……無い」


「ええええ! そう言うなよ。

久々にハチ王子で配信するか?」


「ダメだ。配信するような内容じゃない。

それに、ドローンの音でクマに気づかれてしまう」


「そうか、わかった」


「わかってくれてありがとう」


「手持ちで撮影するよ」


「全然わかってないじゃん」


「で?」


「で?……って?」


「最上は洞窟のクマをどういう作戦で退治するんだ?」


「何も考えてない」


「え? マジで?」


「マジで」


こんな俺たち地下足袋ブラザーズで、大丈夫か?

でも、何も裏付けはないけれど、なんとかやれそうな気がするよ。狩野となら。



「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるのっ……!」


と思ってくださったら


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面白かったら星5つ、

つまらなかったら星1つ、

正直に感じた気持ちでちろん結構です!


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