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みちのくダンジョン・ハイスクール・ボーイ~ランキングより好きに生きていいですか?何か問題でも~  作者: 白神ブナ
第4章 マタギの里

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第84話 マタギになろう

 ― 翌朝。


「起きたら、忍がいなくてびっくりしたで。なんだどて、廊下で寝てたんだ?」


「ああ、あのー、……瞑想してた」


「瞑想?」


「ま、いろいろとね。修行前の精神統一ってとこかな」


爺ちゃんのイビキがうるさくてと言ったら、傷つくかと思って、俺は適当なことを言った。


「さすがは忍だ! そんじょそこらの探索者とは出来が違う」


ごめん爺ちゃん、そこまで感心されると罪悪感が…


「へば、爺ちゃんは帰るからね。十時頃に昨日会った鈴木さんが忍を迎えに来る約束だから、ロビーで待っていなさい」


「はーい」


爺ちゃんは、いつもの軽トラで田沢湖へと帰って行った。




 俺は、マタギの鈴木さんが来るまで談話コーナーでアンツァと待っていた。

十分位すると、ベテランマタギの高橋さんが、若いマタギと一緒に現れた。


「おはよう、忍くん。ゆうべはどうも。

この人はわたしの弟子で、猿橋くんといいます。

忍くんと一緒に行動してもらいます」


「はじめまして、猿橋です」


年は二十五歳くらいかな。

登山用ウエアがよく似合うワイルドなお兄さんだ。


「猿橋君、この少年は松崎さんの知り合いのお孫さんで、

ダンジョン探索者の最上くんだ」


「初めまして、最上忍です。よろしくお願いします」


俺は猿橋さんに丁寧にお辞儀をした。

お辞儀して猿橋さんと、高橋さんの足元を見たら、長靴だった。

一方、俺は、普通のスニーカーだ。

これ、ダメじゃない?

すでに、恰好からして間違ってないか、俺。



「すみません。俺は格好から間違ってますね。スニーカー履いて来ちゃいました」


「今の季節ならスニーカーでも大丈夫だよ。

銃を撃つ方はじっと待っていたりするから防寒の意味もあって長靴なんだよ。

あと、雪の季節もあれば、沢も歩くしね。

長靴が重宝するから、年中この格好しているんだよ。気にするな」


ベテランの高橋さんは、気にしている俺を気遣ってくれた。


「巻き狩りでは、忍くんは勢子(せこ)の役目をするだろうからなぁ。

スニーカーでも問題ないが、本当は地下足袋がいいんだけどね」


「地下足袋? 履いたことない」


「スパイク付きの地下足袋なら、もっと完璧だ」


「へぇー、そんな物があるんですか、かっこよさそう。今度爺ちゃんに買ってもらお」




 宿の外に出て、俺は高橋さんの軽トラの助手席に乗った。

若手のマタギ、猿橋さんは自分の車に乗り、二台の車は山の方へ入っていく。


車の中で高橋さんが俺に聞いて来た。


「忍くんは、いくつだ?」


「十六です」


「じゃあ、ちょうどいいなぁ。俺が初めて爺さんと山に入ったのは十五歳の時だった」


「十五歳からずっとマタギやってるんですか?」


「ずっとやってるとは言っても、わたしは農業と兼業だからな。

昔と違ってマタギだけで食べていくのは無理だから、みんな本業を持っているよ。

松崎旅館のご主人だって、旅館経営と兼業だしね。

林業をやっている者、会社員や公務員やっている者、自営業の者。

猟友会から呼び出しがかかっても、平日は出動できない者もいるから、様々だ」


俺がイメージしていたマタギと、現代のマタギはちょっと違っていた。

マタギといったら、クマの毛皮を着て鉄砲担いでいるイメージだけど、

今は猟友会のジャケットと帽子で、現代風の登山ウエアを着ている。

それに、恰好だけではなく働き方も変わって来たんだな。


「人数揃わないと、昔ながらの巻狩りはできねぇなぁ」


「巻き狩りって、大勢でクマを追い込んで仕留める猟なんでしょ?」


「よく知ってるな」


「ネットで調べました。」


「ほう、今どきの若い子はみなネットだな。

マタギはハンターではねえから、みんなで力を合わせて狩りをするのが基本だ。

山で巻き狩りするのが伝統だ。

けれども今どきは、クマの被害があったからって、わなを仕掛けるだけで帰って来ることもある。

本来はそうでなくて、巻き狩りの伝統を若い者に伝え、

マタギ文化を残したいのだけれど、なかなか今の世の中では大変だ。

忍くんは、初めてだから、まず山を知ってもらうことから始めような」


うちの近くのダンジョン出入口付近なら、俺の庭みたいなものだからよく知っている。

だが、来たこともない山を一から覚えるなんて、ちょっと厳しいなぁ。


「一緒に来た、若いマタギの猿橋さんも最初は山を覚えるところから始めたんですか?」


「猿橋君は、ありゃあ特別だ」


特別って何? スーパーサイヤ人か何か?

どこの世界にも天才というものはいるんだろうな。

特別っていいよな。

もしかして、山の神様に見初められて、婚約したとか……

それで、婚約破棄されて、マタギになったとか……


ダメだ、Web小説の読み過ぎだ。

特別と聞いただけで、ありえない設定ばかり思いついてしまう。

今日は、小説家になろうじゃなくて

マタギになろう、なのだ。




「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるのっ……!」


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