表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
みちのくダンジョン・ハイスクール・ボーイ~ランキングより好きに生きていいですか?何か問題でも~  作者: 白神ブナ
第4章 マタギの里

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

78/122

第78話 緊急配備お疲れ様です

  ―転移!


転移石の力を使うと、パトカーの後部座席にいた。

おにぎりが入っているリュックがすぐ目の前にある。


やった! 転移成功。


(忍、ここはさっきのパトカーの中じゃん)


「アンツァ、お疲れ、飯にしよう」


(おら用の食べ物もあるのかな)


「あった、ドックフードのビーフジャーキーが入っているぞ」


(くれ、くれ、早くくれ)


アンツァはせわしくしっぽを振りながら、俺に抱き着いて来た。


「待て、待て、落ち着け。『待て』の姿勢で待たないと、ビーフジャーキーをあげないぞ」


(かしこまりました。お待ち申し上げます)


「いい子だ。じゃ、これはアンツァのぶんね。………よし!」


よし!の掛け声とともに、アンツァはビーフジャーキーにかぶりつく。

俺はおにぎりを頬張った。

パトカーの中で食うおにぎりは、張り込み中の刑事になった気分で格別だ。


「最高に、うんめ~!」


食べながら、何気なく窓の外の様子を眺めてみる。

黄色いジャケットをきた大人や、オレンジ色の作業着を着た人たちがたくさんいた。


なにが起きたんだろう。

大勢の大人が集まって、何やら物々しい雰囲気だ。大人って大変だなぁ。


ふとオレンジ色の作業服のお兄さんと目が合った。

とりあえず、ぺこりとお辞儀しておいた。

向こうも、帽子を取って頭を下げてくれた。

それから、パトカーに近づいてきて話しかけてきた。


「こんにちはー、警察の方ですか?」


「いいえ、パトカーに乗せられてここに来た者です。お疲れ様です」


「お疲れ様です。関係者さんでしたか」


「何かあったんですか? みなさん集まって」


「警察から連絡を受けて、緊急配備についているんですよ。うちら消防と猟友会が」


「へぇ、大変ですねぇ」


「危険だから、車から降りない方がいいですよ。この辺一帯、規制線を張って、立ち入り禁止になってますから」


「そりゃ、大変だ。じゃあ、ここでおとなしくしてます。お兄さんたちも気を付けてくださいね」


「ありがとう。君も車から降りたらダメだからね」


「……あのぅ……」


「何だい?」


「トイレに行きたくなったらどうすればいいですか? その辺の、笹藪に入って用を足すんでしょうか」


「ダメダメ! 笹藪なんか、危険だから絶対に入っちゃダメだよ」


「えー、ずっと我慢するのは無理ゲーです」


「じゃあ、お兄さんが付いてあげるから、あそこの売店のトイレを借りましょう」


「すんません。あの、犬も一緒にいいですか?」


「警察犬かい? しょうがないな。じゃ、早くおいで」


「ありがとうございます」


消防士のお兄さんに付き添われて、売店のトイレまでアンツァと歩いた。


トイレを済ませて売店の外に出ると、自然研究路から先へは立ち入り禁止の黄色いテープが張られていた。

何人かの観光客や湯治客が、黄色いテープの前で立ち話をしている。


「また出たらしいですよ」


「またですか? 例のやつ」




警察官が無線機で、だれかと話している。


「はい、はい。規制線を張っております。安全第一ですから。あ、そうですね。了解」


あの警察官は、俺と一緒に林の中に入ったのに真っ先に逃げていったやつだ。

ここで何しているんだろう。


無線を切って、周囲の野次馬に気が付いた警察官は、両手を広げて人々を制した。


「あー、市民の皆さんは、危険ですから、建物の中に入ってください。ここで立ち話はしないように」


「何やってるんですか?」


観光客を建物へと誘導しはじめた警察官の後ろから、俺は声をかけた。


「有毒ガスの発生と魔物の出現がありました。市民の皆さんの安全確保が最優先です」


「大変ですね。時間かかりそうですか」


「今日一日で終わればいいですが、数日かかるかもしれません」


「そうなんですか。ご苦労様です」


「君も建物の中に入って、身の安全を確保してくだ……」


そう言いながら、後ろを振り向いて俺を見た警察官は、固まった。


「忍くん?」


「お疲れ様です。何かお手伝いしましょうか」


「君……、なんでここに居るんだ?」


「あれ? なんでだろ。あ、そうだった。山の中からパトカーに転移してきちゃいました」


「魔物、出たよね」


「出ましたねぇ」


「魔物、どうしたんですか?」


「ボコった。そしたら、泣かれちゃって。

『戻れないんだよぉ』っていうもんだから、もと居たダンジョンに帰してやりました」


「待て、待て、……ちょっと順番に話してくれないか。上に報告しなきゃならないんで。

それに、消防や猟友会の応援まで頼んでおいて、今さら、行方不明者は無事に下山してましたって言えないじゃないか」


「そうなんですか」


「そうなんですかじゃないよ」


大人の世界って、報告とか応援とか、面倒くさいことがいっぱいなんだな。

で? 俺はまた警察から取り調べを受けるのかな。

取り調べときたら、カツ丼だよね。


やった! カツ丼食えるぞ。

「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるのっ……!」


と思ってくださったら


下にある☆☆☆☆☆から、

ぜひ、作品への応援お願いいたします。


面白かったら星5つ、

つまらなかったら星1つ、

正直に感じた気持ちでちろん結構です!


ブックマークもいただけるとさらに泣いて喜びます。


何卒よろしくお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ