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みちのくダンジョン・ハイスクール・ボーイ~ランキングより好きに生きていいですか?何か問題でも~  作者: 白神ブナ
第4章 マタギの里

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70/122

第70話 新たなクエストのご指名

いつも【みちのくダンジョン・ハイスクールボーイ】を応援いただき、ありがとうございます。


大変お待たせしました。

第4章、第70話から再開します。

ゆっくりめの更新になるかもしれませんが、

最後まで応援のほどよろしくお願いいたします。

 

―ビリーさん、ごめんなさい。

 俺はビリーさんに抱きしめられたとき、クマみたいだと思った。

 本物のクマって、どういうものかも知らずに勝手にそう思ったんだ。

 まさか本物のクマと対峙する瞬間が来るなんて思ってもいなかったから。


 クマと対峙した瞬間、俺は死を覚悟した。

 だって、俺の足元にはそいつにやられたであろう犠牲者が転がっていたから…、





 迷宮探索高等専門学校、東北分校では、二学期が始まっていた。


二年生の教室で、微分・積分の授業中だ。

俺の脳はバグを起こしていた。


わかんねーよ

わかんねーよ

わかんねーよ


「この問題の解き方は、テストに出ますからね。よく復習しておくように。

今日の授業はここまで。

あ、そうだ、最上君、あとで職員室に来てください。

では、授業終わり」


授業でいろんな知識を詰め込み過ぎて、日本語で言われても、もはや理解できない。

それほど、俺の脳は飽和状態になっていた。


わかんねぇ…、「ものの変化を追ったり積み重ねたり」という日本語の意味がわかんねぇ。


なんか、名前を呼ばれた気もするが……


「……だってよ、最上」


前の席の狩野が、おれの顔を覗き込んで言った。

そのタイミングで俺は我に返った。


「あ、狩野、なんか言ったか?」


「聞いてねぇの? 小松先生が『あとで職員室にくるように』って、お前に言ってたぞ。

一体、何をやらかしたんだ」


「はて…、こないだのテストが赤点だったことかな」


「お前にとっては、そんなに珍しいことでもないじゃん。今さら呼ぶようなことか?」


「じゃ、あれか? 購買部のおばちゃんに頼まれて一緒に写真撮って、サインしたことか」


「何それ。お前、おばちゃんキラーかよ」


「それとも、あれか。下校するとき窓からダイビングして、校長先生が大切に育てている花壇に着地したことか」


「げっ、お前そんなことしたの?」


「わかった、あれだ。トイレ我慢できなくて、とりあえず薪小屋で大きい方をしたことか」


「おまえっ……、紙はどうした紙は!」


「ううむ、心当たりがありすぎて、かえって謎は深まる…」


「勝手に深まってろ! とりあえず、なんでもいいから謝っとけば? そうのうち、呼ばれた理由に当たるだろ」


「そうだな。狩野って、天才じゃん」


「いや、それほどでも…」


そんな狩野からのアドバイスに感心して、俺は職員室に向かった。



 職員室の小松先生の目の前に立ち、怒られる前に先手必勝だ。

狩野に言われた通り、とりあえず謝っておく。


「申し訳ございませんでしたぁ!」


「急に、ど、どうした? 最上君」


「え? だから、反省してますんで、許してください」


「先生は何の事だかさっぱりわからないが、君は先生の言いたいことが分かっているのかい?」


おっと、そう来たか。

ここで、実はわかりませんなんて言ったら、よけいに怒られるよな。

分かっている振りして、ごめんなさいを言うのが得策か。

これでも、俺、演技派俳優なんで。(大嘘)


「はい! だから、ごめんなさい!」


「ごめんなさい…か、そう言われると困っちゃいますね」


「俺がごめんなさいすると、先生困るんですか」


「ああ、とても困ります」


謝って困る事って何だろう。

あ、ひょっとして。

まさかと思うが、愛の告白を断るときの「ごめんなさい」は困るよな。

えーー! 小松先生は男の俺を好きだったってことか?

それは、おれも困るぅ。


「先生が困ると、俺も困ります」


「じゃあ、助けてくれるんですね?」


「……? 助けが要るんですか、先生」


「先生だけじゃない、秋田県民が皆、最上君の助けが要るんですよ」


「ちょっと、待ってください。そんなに大勢の人とお付き合いできません」


「ん? 最上君、何か勘違いしていませんか?」


「だって、少子高齢化の秋田県民とお付き合い、大半が俺よりも年上になりますよ」


「そうですね。年上のおじさんやお爺さんに、よく教えてもらってください」


「うへっ! そんな…過激なことを、学校で言っちゃっていいんですか?」


「過激ですかね。ベテランのおじさん達は、年少者の君を可愛がってくれると思いますよ」


「えーー! いけませんよ、そんな」


「とにかく、秋田県民の為です。ここは最上君に、一肌脱いでもらわないと」


「ぬ、脱ぐんですか……!」


「ベテランのマタギたちに狩猟の仕方をよく教えてもらってください」


「へ? マタギ?」


「東北地方の山間に暮らす狩人ですよ。知りませんでした?」


ヤバッ! おれの知ったかぶり演技の化けの皮が剥がれた。


「あれ、知っていると思っていました。

今年も秋田県内で、クマの目撃情報が多くあがっています。

怪我人や犠牲者も出ているニュースは、君も聞いているでしょう」


ベテランのおじさんに可愛がられる話が、クマの話になった。


「秋田県では現在、『ツキノワグマ出没警報』が出ています。

クマは、警察や猟友会の大人が捕獲しますから安心して大丈夫。


問題なのはクマ以外です。

実は…、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()という情報が入りまして」


「魔物って…」


「情報から推測して、魔物だと思います。何しろ目に見えないというんですから。

この魔物退治を最上君にして欲しいと、知事から依頼がありました。

ダンジョンから出てきた魔物相手となったら、退治できるのは最上君しかいない。

だから、君に断られると先生も、知事も、県民も、とーっても困るんですよ」


「目に見えないから魔物って判断、それは正確な情報なんですか?」


「たぶん、そうです」


「たぶんって…」


「魔物の駆除とは言っても、場所はダンジョンではありませんからね。

山の中で見つけて駆除することになります。

山の中は、野生のクマもいますから、とても危険ですよ。

そこで、『マタギの里』で狩猟の仕方をいろいろと教えてもらいながら、魔物退治に協力してほしいと。

これは特別実習としますから、ちゃんと単位取れます」


先生の話の内容は、とても深刻な問題だった。

それなのに、俺は別の想像していた。


「単位かぁ…」


「あれ、あれ? 苦手な数学の授業を聞いているよりも、最上君なら喜んで引き受けてくれると思ったんですが」


先生のおっしゃる通り、微分・積分を習うよりも苦行じゃないな。


「はい、やります! 俺、『たぶん魔物』の退治に行きます!」


ところで、

マタギの里って……、

どこにあるんだ?

そうだ、爺ちゃんに聞いてみよう。

「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるのっ……!」


と思ってくださったら


下にある☆☆☆☆☆から、

ぜひ、作品への応援お願いいたします。


面白かったら星5つ、

つまらなかったら星1つ、

正直に感じた気持ちでちろん結構です!


ブックマークもいただけるとさらに泣いて喜びます。


何卒よろしくお願いいたします。


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