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みちのくダンジョン・ハイスクール・ボーイ~ランキングより好きに生きていいですか?何か問題でも~  作者: 白神ブナ
第3章 レベル999(スリーナイン)、知らんけど

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第66話 海上で密輸品押収

 第5層界の海上で、海上保安庁の巡視船が停泊していた。


「警察が令状を持って

エバンスのいる工事現場事務所に突入したら、行動を開始する」


海上保安庁は、自衛隊や警察とは異なる行動をしていた。




 数日前。

まず、座礁船がある北の海まで船を持ってくることが出来ない問題が浮上。

陸上自衛隊や警察と同じ待機場所まで、船を運ぶことは困難だ。

それを解決したのは転移石だった。

秋田港に陸自とは別に待機エリアを作り、転移石で船を秋田港からダンジョン第5層界の海上に転移させるための工事が困難を極めた。


そこへ力を貸してくれたのが、大タコの表情ユタカだった。

潜水士たちがビビる中、俺とユタカは淡々と転移石を埋め込んで待機エリアを作り上げた。




 作戦決行当日、巡視船はすでにダンジョン第5層界の海上にあった。


海流の荒い北部を避け、南部の沖合に作った待機エリアまで

俺は素潜りで海中を進んだ。

環境応答スキルを使えば、ダイビング用の装備は不要、フィンだけで海中を泳ぐことができる。

巡視船に着くと、甲板にあげてもらった。


「すみません、お待たせしました。

最上忍、ただいま到着しました」


「おい、まさかの素潜りでここまで来たのか」


「装備は無い方が動きやすいですから。

これ、俺のチートスキルなので気にしないでください」


「今日も、表情ユタカは来るのか」


「はい、ユタカはあの小型貨物船を座礁させたと言っています。

たぶん、あの船は自分のものだと思っているかもしれませんから、

ここに来ると思います」


「だが、船は証拠品だ。タコにやるわけにはいかんだろう」


「事件が解決して何年かかってもいいです。

ユタカに船を譲渡してくれませんか」


「それは、裁判所が決めることだ。わたしではない」


「すみません。そうですね」


「そろそろ、警察が突入する時間だ。待機しろ」


海上保安庁、刑事課長はそう言って、腕時計を見た。


停泊中の巡視船は、凪の海でじっと指示を待っていた。

それは嵐の前の静けさに似ている。


「両舷全速前進!」


 待機場所本部からの連絡を受け、海上保安庁は行動開始した。

巡視艇は小型貨物船を目指して全速力で前進する。

小型貨物船近くまで来ると速度を落とし、ゆっくりと横付けした。

海上保安官たちは、次々に貨物船に乗り込む。

さすが、行動が素早く無駄がない。

俺も、貨物船に乗り込んで、金塊があったコンテナへと案内した。


「こっちです。床に小麦が散らばっているので滑りやすいです。

足元に注意してください」


「最上君、金塊を見つけたコンテナ以外の中身は?」


「未確認です」


「了解、すべてのコンテナを捜索しろ。中の物資はすべて差し押さえだ」


貨物船の中の金塊の量は、俺の想像を超えていた。

用意したプラスチックケースが次々にすぐに満杯になる。


「うわっ、腐った食品はどうしますか?」


「それはいい、入れるな。何が腐敗したものか記載したメモを入れろ」


次々にケースに差し押さえの物資が押収される。

書類と思われるものは、判読できない状態であっても押収された。


ケースに詰め込まれた物はボートに降ろされ、断崖絶壁の下まで輸送された。

しかし、波が荒くて近くまで着岸することができない。

ここで、ボートが岩にぶつかって壊れてしまったら、せっかく押収した物は文字通り海の藻屑と消えてしまう。


俺は海に飛び込んだ。


「最上君、何をするんだ! 潮流に飲み込まれるぞ」


俺しかいない。

俺がやるしかないんだ。


必死に海中からボートを押さえて、波からボートを守ろうとした。

海面は荒波でも、海中は穏やかなことを俺は知っていた。

それでも、俺の力だけでは限界がある。


「頼むから、力を貸してくれ。ユタカ」


無意識にユタカの名前を呼んだ。


「お呼びですか、旦那」


表情ユタカが、長い触手でボートを下から支えた。


「ユタカ、このボートをあの岸壁の岩場まで安全に運んでくれ」


「お安い御用で」


海の中だからはっきりとはわからないが、表情ユタカは鼻歌でも歌うように、ひょいひょいとボートを安全に着岸させた。

そもそも、タコが歌を歌うのかは知らんけど。


陸上では狩野と自衛隊員が押収品を引き上げるために待機していた。


「おーい、最上、こっちは準備完了だ」


「狩野・・・お前、なんだか妙に似合っているな」


大切な証拠品だ。

ここで岩にぶつけて破壊したら洒落にならない。

自衛隊員はロープで岸壁をするすると降りてきて、一個ずつプラスチックケースを抱え、それをロープで引き上げてもらう。

原始的な方法だが、もっとも確実かつ丁寧に輸送できる。

岸壁から降ろされたロープは一本だけではない。

4本のロープから自衛隊員がそれぞれ下りてくる。


その間もユタカは着岸したボートをずっと抱きかかえ、動かないようにしていた。

無事に、差し押さえ品は海から陸へと輸送完了した。


「ありがとう、ユタカ。君のおかげで助かった。

あの貨物船を君に返したいんだが、

犯罪の証拠品になるらしくて、

うまく君に返せないかもしれない。ごめんよ」


「あっし、平気。大丈夫。

旦那の役に立つこと嬉しい。また呼んで欲しい」


「ユタカ、お前ってやつは・・・」


ユタカは何か言いたそうにモジモジしている。


「なんだよ、何かいいたいなら言えよ」


「旦那とまた海で遊ぶ。約束ほしい」


「ああ、今回はユタカの大活躍だったしな。

この仕事が終わったら死ぬほど遊んでやる」


「死ぬ、困る」


「あ、ごめん。飽きるほど遊んでやる」


「旦那、嬉しい。また会う、約束しよう」


表情ユタカはゆっくりと海中に沈んで行った。


「おーい、最上。

最後にお前を引き上げないと、僕はハヤブサさんに怒られる。

僕たちの仕事はまだこれからだぞ。早く上がってこい」


「了解。

じゃあ、海上保安官の皆さん、ありがとうございました。

俺はこれから陸上にあがります」


「最上君、将来はぜひ海上保安官になってみないか。

わたしは待っているぞ」


ボートは巡視船に戻り、そこから南の海岸目指して帰って行った。


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるのっ……!」


と思ってくださったら


下にある☆☆☆☆☆から、

ぜひ、作品への応援お願いいたします。


面白かったら星5つ、

つまらなかったら星1つ、

正直に感じた気持ちでちろん結構です!


ブックマークもいただけるとさらに泣いて喜びます。


何卒よろしくお願いいたします。


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