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みちのくダンジョン・ハイスクール・ボーイ~ランキングより好きに生きていいですか?何か問題でも~  作者: 白神ブナ
第3章 レベル999(スリーナイン)、知らんけど

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第57話 寒風山回転展望台

「君、もう展望台は閉館だよ」


「すみません。人を待っているんで」


「でも、もう日が暮れたらこの辺は真っ暗になるよ。

もう誰も来ないと思うから、一旦お家に帰りなさい」


「・・・そうですか、わかりました。そうします」


寒風山回転展望台で働くおじさんが、俺がずっと外にいるものだから心配して声をかけてきた。


とわちゃんは、まだ来ないのかなぁ。


途中までトボトボと山を下りても、やっぱりとわちゃんは来るかもしれないと思い、足を止めた。

そして、来た道を引き返して登り始める。


俺の勘違いだったのかなぁ・・・


道路の外灯の灯りで手紙を開けて、もう一度中身を読み返してみた。



『男鹿半島ダンジョン近く、寒風山回転展望台で会ってくれませんか?

海を見ながらお話がしたいです。

そこで返事を待ってます。』



あれ、日時が書いていないじゃん。

書き忘れたのかもしれないな。

まったく、おっちょこちょいなんだから。

しょうがないな、こういう子は俺が守ってやらなきゃな。


俺は展望台の駐車場まで戻って、とわちゃんが来るのを再び待つことにした。


・・・・ああ、腹が減ってきた。

そうだ、昼のお弁当食べていなかった。

今食べたら危険な状態かなぁ。


お弁当箱を開けて見たら大丈夫そうだったので、急いでお腹にかき込んだ。

お腹が満腹になると急に睡魔が襲ってくる。

いくらなんでも夜中には来ないよな。

・・・・・・・

俺は駐車場でずっと体操座りのままで待っていた。

座ったまま寝るなんて、野営訓練みたいだ。

俺にとっては得意な分野だし、慣れてるから平気、平気。



―とわちゃんは、岩が積みあがった場所にいた。


「ごめんなさい。道に迷っちゃって、

山を登っていたらこんな岩がゴロゴロしているところに来ちゃったの」


「ああ、大丈夫だよ」


「ここだけ、岩が積みあがっているのよ。何かしら」


「ここね、鬼の隠れ里と言うんだ」


「えー!鬼が出るのかしら。怖ーい」


「昔昔、鬼たちがせっせと岩を積み上げて、

ここの奥の間に寝泊まりしていたなんて伝説があるんだよ」


「すごい、そんなことまで知っているんですか最上先輩」


「こんなの大したことないよ」


「じゃあ、その奥の間に行って見てください」


「え?」


「だって、先輩強いんですもの。

鬼なんかへっちゃらですよね」


そう言って俺の目を見つめるとわちゃんは、急に桜庭あずさの顔に変化した。


「桜庭?」


「最上君、行ってごらんなさいよ。

大したことないんでしょ」


「いや、あの、鬼より怖い物もあるんだよ」


「はぁ?! 鬼より怖い物って何かしら?」


やめて、怒らないで桜庭・・・


―という夢を見た。



翌朝、駐車場にトラックや、従業員の車が入ってくる音がして目が覚めた。


なんで、桜庭の夢なんか見たんだろ。

今頃、あいつ何しているのかな。


ってか、違う、違う!

俺は今、かわいい後輩の花館十和はなだて とわちゃんを待っているんだった。

今日は来るかもしれない。

とわちゃん、俺はずっと待っているからね。



それなのに、それなのに、それなのに・・・・

今日も太陽は日本海に沈んでいく。

何故だ。

とわちゃんに何かあったのかなぁ。

日付が書いていなかったから、一週間後のつもりだったとか。

ドジっ子なのかもしれない。

電話して確認するか。

あれ、連絡先も知らない。

おいおい、ドジっ子とわちゃん、先輩をあんまり困らせるなよ。

電話番号ぐらい書いててね。

しょうがないなぁ、今夜も野営訓練するか。


―妄想


「最上先輩、すごいですね。座ったまま寝られるんですか?」


「野営訓練のたまものさ。

いつ何時敵に襲われれるかわからないから、

野営するときは座ったままで寝るんだよ」


「すごいです。今度わたしにも教えてください」


―妄想終わり


それにしても、

早く来ないかなぁ。

正直、座ったまま寝るのも二日目はキツイって。


ここの駐車場にずっといると、展望台のレストランや売店で働く人たちからの視線も気になって来た。


ふと見降ろすと、ここから離れた所に小さな木造のあずまやを見つけた。

駐車場にある案内板によると、小展望台と書いてある。


そうか、わかった。

俺は完全に理解した。

とわちゃんは、こっちの展望台と間違ってそこで待っているんだ。


さっそく、回転展望台の山から急いで小展望台へと向かうことにした。

カバンからノートを取り出し、1ページをビリっと引き裂いて文章を書き始める。

もしも、とわちゃんとすれ違いになるといけないから、メモを残しておこう。


とわちゃんへ


俺は小展望台にいる。


  ハチ王子こと最上忍


書いた後で眺めてみると、とわちゃんのかわいい字と違って、俺の字は汚い。

ま、へたくそな字でも読めればいいのだ。

よし、これなら安心して屋根のある場所に移動できるぞ。

メモが風で飛ばされないように、石を置いてから、

俺は、転がるように山を駆け下りて、小展望台に着いた。


何も遮るものがない眼下には、男鹿半島の夜景が宝石のように輝いていた。


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるのっ……!」


と思ってくださったら


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ぜひ、作品への応援お願いいたします。


面白かったら星5つ、

つまらなかったら星1つ、

正直に感じた気持ちでちろん結構です!


ブックマークもいただけるとさらに泣いて喜びます。


何卒よろしくお願いいたします。


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