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みちのくダンジョン・ハイスクール・ボーイ~ランキングより好きに生きていいですか?何か問題でも~  作者: 白神ブナ
第2章 秘密のダンジョン第5層界快適化計画

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第32話 初の商談成立

 野生馬が生息する草原に到着。

岩陰にシロを止めると、ジュリアは先に降りて草原を見回した。


「すごい! 馬がいっぱい。これ全部野生の馬?」


「気を付けないと後ろ足で蹴られますよ。

急に後ろから近づかないでくださいね」


「OK、OK」


ジュリアは気に入った馬を見つけて、そろそろと近づくが、馬はすぐ人間の気配に気が付き逃げていく。

何度かそんなことを繰り返しているうちに、ジュリアが音を上げた。


「全然だめね。出来ない」


「馬と同じ目線、同じ気持ちで

少しづつ距離を縮めて近づくんですよ。

馬の警戒心を解かなきゃ、なかなか触れません」


「なんで、それをもっと早く言わないのよ」


「言おうとしても、ジュリアさんが急いで行っちゃうから」


「少年、わたし用の馬を捕まえなさい」


「え?」


「できるでしょう。

今言ったみたいやればいいんだから。やって」


この人、なんで命令口調なんだ。

でも、馬を買うつもりだったから商談に応じるかもしれない。


「タダでやるんですか?」


「え?お金を取るの?」


「そりゃあ、ここまで乗せてきたタクシー代、それから捕獲の手間賃、

合わせて2万ゴールドですね」


「高っ! ぼったくりじゃないの。もう少し安くならないの?」


彼女は高いと文句は言うが、お金を払わないとは言ってこない。

これは、今後の営業のためになるかもしれない。


「じゃ、特別ですよ。1万8千ゴールドで」


「1万5千よ」


「野生の馬を捕獲するんです。勘弁してくださいよ。話になりませんね」


「1万6千!」


「すいませーん。

じゃあ、俺はここで帰ります、あとはどうぞご自由に」


ジュリアは焦り始めた。

ここから自分で馬を捕獲して、来た道を戻る自信などあるわけがない。


「待って! わかったわ、

1万8千よ! 1万8千ゴールドで! 

そのかわりいい馬を選んでちょうだい」


「毎度あり!」


 馬は臆病な動物だ。

いきなり触ろうとしたりすると馬はびっくりして身を守ろうと暴れる可能性もある。

馬が驚かないように、正面から声をかけて、俺の存在を認識させることから始める。

俺の姿が見えると馬は安心するのだ。

それから声をかけながらゆっくりと近づく。


馬の耳が後ろに伏せていたら警戒しているサイン。

こういう時はそれ以上近寄らない。

反対に馬の耳が真っすぐ上に立っているときは、俺に興味を持っているサインだ。

そんな馬に近づいたら鼻の近くにそっと手をのばして、俺の匂いをかがせると馬も安心する。

鼻を触らせてもらえれば頬も触らせてくれる。

それから首を軽く叩いてやると、人間に褒められたように感じて喜んでくれるのだ。


「いい子だね。いい子だ。君は可愛いね」


馬は人間の言葉は話せなくても、優しくしてくれる人はしっかり記憶してくれる。


「こわくないよ。こわくない。

そうだ、いい子だ。こっちにおいで」


栗毛色のおとなしい馬を優しく撫でてあげながら、一緒に歩いてみる。

だいぶ懐いてきたところで、ジュリアのところまで連れてきた。


「連れてきましたよ。

足が速いかどうかはわかりませんが、性格はおとなしい子です」


「サンキュー。じゃ、ステイタス画面からお支払いするわ」


お互いステイタス画面を開いて、コインのやり取りをして売買は完了した。

ジュリアは栗毛色の馬を気に入ったらしく、何度もやさしく撫でている。

馬も、ジュリアに警戒はしていないようだ。


「ジュリアさん、気になる事があるんですが・・・」


「何かしら? なんでも聞いて。

こんなにかわいい馬を見つけてくれたんだもの。

遠慮なく言ってちょうだい」


「まさか、裸馬に乗るつもりじゃないですよね」


「え? このまま乗っちゃいけないの?」


「鞍などの馬具は持っていないんですか?」


「持ってないわ」


「しょうがないなぁ。初回なんで特別サービスしますよ」


俺はアイテムボックスから、馬具ワンセットを選び出して、栗毛の馬に取りつけてあげた。

俺だってそんなに馬具をいっぱい持っているわけではないから、サービスするのはかなり痛いがしかたがない。


「いいの? こんなにサービスしてもらって」


「まさかそのまま乗せるわけにいかないですよ。

馬だって逃げちまいます」


「ありがとう、少年。この親切は絶対忘れない」


「また贔屓にしてくれれば、OKです」


今後の営業のために、初回サービスは当然だ。

きっとまた何かの用事で立ち寄ってくれるだろう。


 帰り道は二頭の馬で帰って来た。

ジュリアは馬を手に入れても、つないでおく木はもちろん、厩もまだ持っていない。


「そうだわ少年、栗毛ちゃんを預かってもらってもいい?

 預かり料金はいくら?」


「いいですよ。無料で預かります」


「ダメそんなの。

馬具までサービスしちゃって、君が損するじゃないの」


「じゃあ・・・そのかわり、俺がいない時に、

厩にいる馬たちの面倒見てやってください。

その方が俺は嬉しいんで」


「オーライ! そうするわ。ありがとう」


そう言って、ジュリアは手を振りながらやってきた道を帰って行った。

果たして、いつまで栗毛の馬を預かることになるのやら、見当もつかない。


今後は建築業も請け負う必要があるな。

本格的にやるなら人手が足りない。

それなら、ハヤブサが言っていたように魔法を使えばいい。

魔法を使うには、資材が要る。

鉱石とか、木の実とか、集めるべきだな・・・・


今後のことを考えながら、俺は家路についた。


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるのっ……!」


と思ってくださったら


下にある☆☆☆☆☆から、

ぜひ、作品への応援お願いいたします。


面白かったら星5つ、

つまらなかったら星1つ、

正直に感じた気持ちでちろん結構です!


ブックマークもいただけるとさらに泣いて喜びます。


何卒よろしくお願いいたします。


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