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みちのくダンジョン・ハイスクール・ボーイ~ランキングより好きに生きていいですか?何か問題でも~  作者: 白神ブナ
第2章 秘密のダンジョン第5層界快適化計画

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第31話 新たな村人発見

 夏休みになったら、みんなで第5層界にお泊り会しないかと提案した。

しかし、狩野は仙台に帰省するし、桜庭兄妹は岩手の花巻に帰省するという。


普通、寮生は夏休みに入ると実家に帰る者が多いことを、俺は完全に忘れて浮かれていた。

浮かれていた分、仲間に断られたことで、心は深い湖の底に沈んでしまった。


深い湖。

まるで田沢湖だ。


 さらに、沈んだ俺にもう二度と浮上出来ないよう重りを付けられるような事があった。

俺は実家が東京だから、母さんがここ田沢湖高原に帰省してくるという。

去年の夏休みもそうだった。

ペンションが忙しくなる時期だから、俺も母さんもペンションの手伝いをすることになる。

つまり、過干渉な母さんに監視される夏休みを送らなければならない。


夏休みのどこか数日だけでも、皆とお泊り会できたら楽しいはずなのに。

そんなことを考えているうちに夏休みに入ってしまった。



「忍、朝ごはんを食べたら、お風呂掃除お願いね」


「はーい。わかったよ母さん」


お婆ちゃんが見かねて助け船を出してくれた。


「そんなに忍に用事を言いつけなくても、

自分からするからほっといたらええなだ」


「お婆ちゃんは忍に甘すぎるわ。

夏休みこそしっかり働いてもらわないと。

どうせ、閑散期は遊びまわってるんだから」


「遊びまわってると言っても、

ここさは東京と違って遊ぶ場所なんかねえべ。

自然の中で遊びまわるしかねえんだから、

それでいいんでねーが」


そうだ、婆ちゃんの言う通り。


「東京校じゃなくて東北分校に入学させたんだのは、

忍をこき使うためだったんでねぇべ」


「それはそうだけど・・・」


「働き手だったら、バイトを雇えばええ話だ」


「うちにそんな余裕あるの?」


「ある。心配すな。忍、ダンジョンさ行って来い」


母さんは、実の母親に言われればしかたがないと諦めたようだ。


「ありがとう、婆ちゃん。行ってきます」



今日のミッション通知も、『開拓』。

この一週間ほどミッションは『開拓』が続いている。

けれども、それはちっとも苦ではない。

魔物と争うよりも、ここを開拓している方が俺の性分に合っているからだ。


厩から、シロとブチを出してやり、丁寧にブラッシングしてやる。

爺ちゃんが良く歌っている「ルージュのなんとか」という曲が、俺の脳にすっかり刷り込まれ、無意識に俺も歌ってしまう。


 シロが何かに警戒して逃げようと暴れだす。


どうしたんだ。

何を警戒しているのか。


「ねえ、ここ、最上さいじょうの館っていうの?」


背後から声をかけられたが、俺はシロを落ち着かせるため振り向かずに答える。


「あ、それね。友達がふざけて書いた看板なんだ。そのうちそれ捨てるから」


「ふうん、そう」


あれ? 今誰かが話しかけてきた。

不思議に思い改めて振り向くと、そこには美しい女性が立っていた。


女性はすらりとした体形で、ブロンドの長い髪。

緩いパーマをかけたような癖毛が邪魔にならないよう一本にまとめていた。

白い肌に青い瞳、まるでハリウッド女優のような美しい女性だ。

冒険映画に出てくるような西部劇スタイルのシャツとスラックスを履いている。


「あれ? どこから来たんですか」


「あっちからよ。少年はここに住んでいるの?」


「あっちって・・・

いや、俺はここに住んではいないけど、

別荘みたいなもので・・・」


最上さいじょうの館って。

最高ランクのホテルという意味かしら」


「いや、これは(さいじょう)とは読まなくて

(もがみ)と読みます。

俺の苗字です。

漢字・・・・読めるんですか?」


「まあね。わたしの母が日本人で7歳までは日本にいたから」


「じゃ、今はどこに」


「アメリカ西海岸、ロサンゼルス。

ダンジョン探索したらここに行きついたの。

散策していたら、小屋が見えたので来てみたんだけど、

少年は日本人ね」


女性が言う少年とは、どうやら俺の事らしい。


「最上忍といいます」


「わたしはジュリアよ、初めましてよろしく」


「よろしく・・・です」


「ご両親は?」


「あ、日本にいます。ダンジョンの外の」


「じゃあ、この小屋や畑は、少年ひとりで作ったの?」


「ええまあ、最近は仲間にも手伝ってもらっていますが・・・」


「仲間がいるのね。どこに」


「今日は来てないです」


「そうなんだ。ちょっと日陰で休みたいんだけどいい?」


アメリカから来たジュリアは、物おじせずにズカズカと小屋の庇が作った日陰に腰かけた。


「あ、なんか飲みます?」


「飲み物があるの? いいわね。ビールちょうだい」


「あいにくアルコール類はなくて・・・・」


「あぁ、ごめん、ごめん。水でも何でもいいわ」


部屋の奥に置いてある冷蔵庫から、冷たい玄米茶をコップに注いで持ってきた。


「お茶しかないけど」


ジュリアは、コップを受け取ると冷たい玄米茶を一口飲んだ。


「冷たい!それに美味しい! 何これ。君がつくったの?」


作ったのは桜庭で、ひやしたのはハヤブサだ。

これは桜庭兄妹が、俺のために作り置きしておいてくれたお茶だった。


「俺じゃありません。仲間です」


「君の仲間、天才ね」


「はぁ・・・」


俺の予想した通り、第5層界は他のダンジョンとも繋がっている。

俺が馬の手入れをしている間、ジュリアは玄米茶を飲みながらじっと見ていた。


「ねえ、その馬、欲しい。いくらで売ってくれる?」


買いたいという申し出だ。

どうやら、お客のようだ。

しかし、この馬は愛着があるから最初から売る気は毛頭ない。


「こいつは、売れません。

俺になついているから手放したくないので」


「なんだ残念。

じゃあ、馬が欲しかったらどうしたらいいのか教えてよ」


「それなら、西の山裾に草原があります。

そこに野生の馬がいますよ。

この馬もそこから連れて来たんで」


「ああ、あの山裾ね。随分と遠いなあ。

少年、わたしをそこに連れていって」


「え? 今からですか?」


「ええ、一頭の馬に相乗りして行けば早いでしょ。

帰りはわたしがそこで見つけた馬に乗って帰るから」


「相乗り・・・するんですか」


「早いうちがいいわ。どっちの馬が早い?」


「シロなら早いけど・・・」


「じゃ、それに乗って。

少年が手綱をとる。わたしは後ろに乗るわ」


強引な取引きだ。

俺はまだ承諾していないのに、一方的に物事を進めていく。

ジュリアの言葉に脅される感じで、俺はシロにまたがる。

すると、いとも簡単にひょいとジュリアが俺の後ろに乗って来た。


「さ、連れて行って」


ジュリアの両腕が俺の体を抱き込む形になり、背中に温かい何かがあたる。


「い、いいんですか?」


「早く、急いで!」


「はい」


さっき出会ったばかりの女性を馬の後ろに乗せて、俺は荒野を駆け抜ける。

いいんですかっていうのは、こんなにくっついてもいいんですかという意味だった。

あまり意識して落馬するといけないから、ジュリアのことは考えないようにした。


「いいね! 気持ちいいわ、風が」


「風ね、風・・・」


女性だと意識するからいけないんだ。

彼女は大切なお客さま第一号。

今後の商売に大きな影響を与えるかもしれない。

さあ、どうやって商談にこぎつけよう。


アメリカ西海岸のダンジョンからやってきた新たな村人ジュリアを乗せ、俺は白馬にまたがり草原を目指した。




「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるのっ……!」


と思ってくださったら


下にある☆☆☆☆☆から、

ぜひ、作品への応援お願いいたします。


面白かったら星5つ、

つまらなかったら星1つ、

正直に感じた気持ちでちろん結構です!


ブックマークもいただけるとさらに泣いて喜びます。


何卒よろしくお願いいたします。


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