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みちのくダンジョン・ハイスクール・ボーイ~ランキングより好きに生きていいですか?何か問題でも~  作者: 白神ブナ
第2章 秘密のダンジョン第5層界快適化計画

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第29話 快適化計画に協力者

「んだば、ダンジョンさ運ぶべ。

それにしても、こんなにいっぺぇの荷物、忍一人で運ぶのは大変だな。

悪いけども、爺ちゃんはダンジョンなんておっかね所に行けない」



「うん、友達を呼んでるから大丈夫」


すると、ペンション白鷺に、いつも野菜をくれる親戚のおじさんの軽トラがやって来た。


「おはようさん。忍に頼まれて高専の寮から友達を乗せて来たどー!」


「おはえんし、おらの忍がそんなことを頼んで迷惑かげだんし」



「何ともねえ。連れで来たのは、友達だけじゃねぇで。

荷台に野菜の苗が積んである。

ジャガイモ、ニンジン、玉ねぎ、カボチャ、キュウリ、トマト。

こんなもんでいいか?」


軽トラからの窓から狩野が顔を出す。


「おはようございまーす。毎度、狩野運送でーす」



「おはよう、お前の言うジョークは相変わらずしょうもない」



「なんだ冗談か。爺ちゃんはてっきり、

本当に狩野君は運送会社やってるかと思ったで。

アハハ、おもしれぇわらしだなぁ」


お爺ちゃんは狩野のジョークにウケて笑ってくれたからいいようなものの、そうじゃなかったら寒い風が通り抜けるところだった。

おじさんの軽トラから降りようとする狩野を俺は止めた。


「あ、狩野、降りないで」


「え、つまらない冗談を言ったから罰ゲーム?」


「そうじゃないよ。このまま軽トラ二台でダンジョンに向かった方が効率的じゃん」


「なんだ、そいうことか。最上に嫌われたかと思った」



10分後、二台の軽トラでダンジョン前に到着すると、荷物を降ろしてもらい、爺ちゃんとおじさんはペンションへと戻って行った。

ダンジョンの第5層界まで、荷物を運ぶのに何回か往復して、すでに俺と狩野は汗だくになってしまった。

最後に一番大きい自動販売機が残っている。

狩野がタオルで汗を拭きながら言う。


「この自動販売機をどうやって第5層界まで運ぼうか。

かなり重いぞ。僕とお前だけでいけるかな」


「え、こんなの俺一人で十分だよ」


「よせよ最上、腰を痛めるぞ」


「そうかな、平気だよ。

俺がキツくなったら、手を貸してくれ」


「今はそれでもいいけどさ。

運び終わったら、今度は現地で設置作業とかしなきゃいけないだろ。

他に誰か助っ人を呼ぼうよ」


「助っ人って言ったって、このダンジョンに潜れるやつが他にいるか?」


「いる。ハヤブサさんを呼ぼう」


「ハヤブサさんかぁ、いつも仕事が忙しそうにしてる。来るかな?」


「ハヤブサさんなら、ペンション白鷺の場所を知っているし、

近くまで来れそうじゃん」


そう言いながら、狩野は既に妹の桜庭へ携帯電話をかけている。

狩野でも、さすがにハヤブサの電話番号は知らないらしい。


「もしもし、桜庭? 狩野だけど、

ちょっと話したいんだけど今大丈夫?

・・・・じゃ、ちょっと最上に代わるね」


いきなり代わるのかよ。

もうちょっと前置きしてくれよ。

狩野から無理やり渡された携帯を受け取って、電話に出た。


「ああ、俺だけど。ちょっと助けが欲しいんだ。いいかな」


「最上君がわたしに助けを求めてくるなんて珍しいわね。

嬉しい!最上君のためなら喜んで・・・」


「あ、あの勘違いしているようだから、はじめに言っとくけど

ハヤブサさんに助けてほしいんだ」


「は? わたしじゃなくてお兄ちゃん? さあ、どうかしらねぇ。

お兄ちゃんは最近機嫌が悪いから来てくれるかしら」


「機嫌が悪い? 仕事が忙しいのかな」


「最上君がユズリハ・チャンネルにハチ王子で出演したことを怒っているみたいで」


「え、なんで? 俺が原因?」


「ハチ王子はお兄ちゃんのパーティなのにって言ってる」


「だって、あれは君がマネージャーになって出演許可したんじゃないか」


「それはわかってるわ。

だからわたしがマネジメントしたとお兄ちゃんに謝ったんだけど。

そしたら・・・・」


「そしたら?」


「『いつの間にマネージャーになったの? 

そんな大変な仕事をあずさ一人に負わせない。

これからは、お兄ちゃんもマネージャーになるからね』って」


「はあ」


そうだった。

ハヤブサは生粋のシスコンだ。


「じゃあしかたがないかぁ。わかった。俺と狩野でやるから」


「ちょっ、待って! 助けが欲しいなら内容だけでも教えて・・・・」


「じゃ、またな」


俺は電話を切って狩野に返した。


「さてと、自動販売機を運んだら、休憩しよう」



***



秘密のダンジョンを見つけたのはちょうど一年前だった。

迷宮探索高等専門学校 東北分校に入学してまだ三か月半。

ダンジョン探索について習い始めの一学期を終え、初めての夏休みをここ田沢湖高原で過ごしていた。

たいていの生徒は親元を離れて寮生活しているので、夏休みに入るとそれぞれの実家へ帰省する。

俺の場合、実家は東京だが、母さんの実家がこのペンションだ。

そこで、俺ではなく母さんがこっちに帰省してきた。


繁忙期を迎えたペンション白鷺は猫の手を借りたいほど忙しい。

オーナーである爺ちゃんと婆ちゃんのお手伝いをする日々を俺と母さんは過ごしていた。

母さんが客室清掃をしている間、俺はお客さまを連れて観光案内係。


ある日、観光案内中にひとつの洞穴を見つけた。

熊の寝床かもしれない。

お客様も俺も熊鈴を身につけていたが、

安全のためその場から離れて別ルートでペンションに戻った。


そんな出来事があった日の翌日。

夜が明けてペンションの手伝いに追われる前に、

あの洞窟が気になって一人で朝早くペンションを出発した。

それが秘密のダンジョン発見の第一歩であり、俺の自己流探索の始まりだった。



***



秘密のダンジョン第5層界。

俺がコンポストトイレを制作していると携帯電話が鳴った。


ピコピコピコ! ピコピコピコ! 


「はい。爺ちゃん、どうしたの? 

え?友達が訪ねて来た・・・二人も!?

うん・・・・うん、わかった。今から向かう」


二人の友達と言ったら、桜庭兄妹しか思いつかない。

爺ちゃんはてっきり手伝いに来てくれたものだと勘違いして、

二人をダンジョン入り口まで連れて行くからと言っている。

爺ちゃん、違うんだ。

お手伝いに来てくれたんじゃなくて、たぶん怒りに来たんだ。


電話を切ると狩野が聞いてきた。


「どうしたぁ? 最上、何かあったんか」


「桜庭とハヤブサさんが来たみたいだ。

爺ちゃんがダンジョン入口まで連れてくるから、

俺、迎えに行ってくる」


「やった! 助っ人参上か」


「残念だけど違うと思う。

俺がユズリハ・チャンネルに出演して、

ハヤブサさんは怒っているらしいから」


「そんな・・・マジか。

ぼ、僕はここで材木を採集してるから・・・、

うまく謝っておいて」


「な、何? お前も同罪だろが」


「どうか、最上さまお願いします。

ここで馬車馬のごとく働きますんで」


ったく、都合のいいやつだ。

だけどそこが憎めなくて好きなんだが。


10分後、ダンジョン出入り口待っていると、爺ちゃんの軽トラが桜庭兄弟を乗せてやってきた。


ハヤブサが荷台から颯爽と下りてくる。

相変わらずかっこいい。

でも、軽トラの荷台に人を乗せるのはダメなはず。

警察に見つかったら捕まるんじゃない?


「最上君、どういうことだね」


やっぱり、ハヤブサはお怒りのご様子だ。


「妹が『電話をいきなり切られた』と泣きながら連絡してきたんだが、

どういうことなんだ!」


あ、そっち?


「忍、友達がまた来てくれて、えがったなぁ。爺ちゃんは嬉しいよ」


爺ちゃんの言葉に、ハヤブサは急ににこやかな笑顔になって応える。


「ご親切にどうもありがとうございます」


そして、俺の方を向くと厳しい表情に急変する。


「ったく、それに君のお爺ちゃんが何か勘違いしちゃって、

ここまで連れてこられたんだぞ」


わかってます、手伝いにきてくれたんじゃないのは。

そりゃそうだよね。


爺ちゃんは嬉しそうにしながら、荷台から大きな風呂敷包みを取り出し手渡してくれた。


「これは婆ちゃんから差し入れだ。

ランチボックス持ってきたからみんなで食べなさい。

じゃ、お爺ちゃんは戻るがらな。

何かあったら電話せな」


「本当に、何から何まですみませーん。ありがとうございましたぁ」


さわやかな笑顔で爺ちゃんに手を振るハヤブサ。

しかし、こっちを向くと冷たい目線で俺を睨んだ。

この人、やっぱり怖い。


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるのっ……!」


と思ってくださったら


下にある☆☆☆☆☆から、

ぜひ、作品への応援お願いいたします。


面白かったら星5つ、

つまらなかったら星1つ、

正直に感じた気持ちでちろん結構です!


ブックマークもいただけるとさらに泣いて喜びます。


何卒よろしくお願いいたします。


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