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みちのくダンジョン・ハイスクール・ボーイ~ランキングより好きに生きていいですか?何か問題でも~  作者: 白神ブナ
第1章 迷宮探索高専 東北分校

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第20話 ダンジョン探索技術研究所 田沢湖支部

 翌日狩野に聞いて、ダン技研の田沢湖支部が学校の近くにあることを知った。

何しろ初めてのことなので、狩野に付いてきてもらった。


「このあいだ、アイテムボックスを教えたとき、

ずいぶん魔石を持っているんだなと思ったんだよ。

でも、まさか提出するのを知らなかったとは思わなかった。

全部提出したら、相当な金額になるんじゃないか?」


俺は「ああ」とだけ返事をした。


「どうした、浮かない顔して。報奨金がもらえるんだぞ」


「それは嬉しいけど、秘密のダンジョンの第5層界知っているだろ。

あの第5層界で魔石をエネルギーとして使っていたからな。

今後、どこからエネルギーを作り出そうかと考えていた」


「そこかよ!」


本当に落ち込んでいる俺を見て、狩野はあわてて言い直した。


「ごめん。最上にとっては大きな問題、いや、僕にとっても大問題だ。

あの第5層界は、僕も大好きだし僕たちの隠れ家だしな。」


「当面は、先日採集したスライムを干してあるから、

それで燃料は出来ると思うんだが」


「げ? そんなことしているの? スルメイカかよ」



ダンジョン探索技術研究所、略してダン技研に着いた。

田沢湖支部があるということは、県内には他にもあるのだろう。

ゲームでいうギルドみたいな所だと狩野は言っていた。

県内にはあと秋田市に秋田支部があることも教えてくれた。


受付で探索者IDを入力すると、別室に案内される。

なんだか病院みたいに無機質で、こういう雰囲気は好きじゃない。

調査室と書かれた部屋には、白衣を着た研究者が待っていた。

30歳代くらいのメガネをかけた男性だ。

ザ・研究者を地でいっている感じの人。


「名前と生年月日をおっしゃってください」


「え、あ、・・・・最上忍・・・えっと、」


「緊張しなくても大丈夫ですよ」


「すみません。初めて来たので」


「みなさん、最初はそうですから。

では、この半球体に右手を置いてください」


言われるままに、ほのかに光っている半球体に右手を置くと、ブーンと低い音がした。

この機械でステイタス画面を読み込んでいるのだと研究者は説明してくれた。

これで、俺のレベルもポイントも魔石も全部のデータをダン技研に報告したことになる。


「魔石、ずいぶんとありますね。

全部提出していただいてよろしいですか?」


「いやだけど、義務なんでしょ」


「そんな、わたしたちは鬼じゃないですから睨まないでくださいよ」


「だって・・・、わかりました。全部提出します」


「はい、承知しました。

あと、ポイントも溜まってますよ。これも換金しますか?」


「はい、お願いします」


これは換金のためにポイ活していたのだから即答で了承する。


「それと、ゴールドも溜まっていますが、換金しますか?」


「えーと、・・・そうですねぇ、それはそのままでお願いします」


「わかりました」


ブーンという重低音が耳障りだ。


「はい、終了しました。報奨金等は、後日銀行口座に振り込みされます」


緊張した割には、あっけなく終わった。

調査室の外に出ると狩野が待っていた。


「お疲れー。どうだった?」


「あっけなかった」


「ハッハッハ、最上は緊張しいなんだよ」


ダン技研田沢湖支部を出て、思いっきり空気を吸い込んだ。

ああいう建物の中にいると窒息しそうになる。

やっぱり、俺は外で動き回っている方が性に合っている。


「なあ、狩野。行かないか?」


「待ってました! 第5層界だろ。

僕がダン技研に付き添ったお礼に何かおもしろいことしてくれると期待してたんだ」


「馬に乗って、第5層界を探検しようよ」


「いいね! 行こう、行こう」




第5層界は今日も快晴だ。

雨が降る事もあるが、俺がいない夜に降ることが多いようだ。

雨が降った痕跡しか見たことがない。

それでも、比較的乾燥しているので、スライムを干していても大丈夫だった。


「これがお前の言ってた例の干しスライム? 

すっげー多くないか。百枚くらいあるぞ。よくこれだけ採集したな」


「これな、どこにあったと思う?」


「どこにって、ダンジョンだろ。どこかの第1層の」


「さて、どこのダンジョンでしょう。

正解したら、白い馬に乗っていいよ」


「マジか。えーっと、えーーっと、角館ダンジョン」


「ブブー」


「田沢湖第2ダンジョン」


「ブブー」


「わかるわけないじゃん! もしかして、また未発見のダンジョンか?」


「お、正解に近づいた」


「えええーーーー! また新しいダンジョン発見したのかよ。

そんなの無理だよ。わかるわけないじゃん」


「降参?」


「降参!」


「正解は、ムーミン谷ダンジョンでした」


「うっそ! ムーミン谷でダンジョン見つけたのか」


「そうだよ。誰も入ったことないから、スライムがうようよいる。

驚くのはそれだけじゃないんだ。

ムーミン谷ダンジョンとここ第5層界は繋がっていたんだ」


「は?」


「この間の野営訓練で、ムーミン谷ダンジョンを探索していたら、

転移石のボタンに偶然触ってしまって、気が付いたら第5層界に来ていたんだ」


「まさか! 本当か? 大発見じゃないか」


「それで、俺はここで温泉に入り、新じゃがスープを作って寝袋で寝た」


「ははぁ、それでわかったぞ。寝袋をここに置き忘れたんだな。

謎が解けた。お前が寝袋を取りに行くときに山と反対方向へ走って行った謎が。

お前は、秘密のダンジョンから第5層界に寝袋を取りに来たんだ」


「ピンポーン! ご名答」


「やべえな、他のダンジョンと繋がっているなんて」



俺たちは厩へ行って馬たちを撫ででやった。

トウモロコシは俺がいない間に勝手に食べてしまうから、最近は厩の中に干し草とニンジンを置くようにしてある。


「シロに乗ってみる?」


「いいのか?」


狩野は喜んでシロの手綱をとったが、シロが嫌がって狩野から離れようとしてしまう。


「シロはちょっと気難しいんだ。慣れるまでに時間がかかるかも」


「残念だけど、僕はブチでもいいよ」


ブチは人懐っこく、すでに狩野が気に入ったらしく顔を擦り付けている。


「ブチ、僕が乗ってもいいかな」


ブチはおとなしく狩野が乗るのを待っている。

相当狩野を気に入ったようだ。

俺はシロにまたがり、俺たちは馬で探検に出かけた。

馬に乗りながら、喜んでいる友達の笑顔をみるのは幸せな時間だ。


「さっきさ、俺はダン技研で全部換金しなかったんだ。

ゴールドだけ手元に残したんだよ」


「なんでゴールドだけ残したの?」


「ちょっと考えがあって」


「何それ、気になるな」


「さっきの、第5層界がムーミン谷ダンジョンと繋がっているっていう話。

ということは、他のダンジョンとも繋がっていているかもしれない。

他のダンジョンから人が来ても不思議じゃないだろ」


「第5層界に人が増えるかもしれないということか?」


「うん、考えられるだろ」


「ああ、いい人が増えればいいけど、

盗賊みたいな人が来たら嫌だな。物騒になるじゃん」


「それも考えた。でもさ、ここを開拓したのは俺だから、

ここで物や知識を持っているのは俺だと思うんだよ」


「確かに・・・お前、まさか警察官になろうって考えてる?」


「それはないよ。そんなことより、不便さを感じている人たちが増えたら、

それを解決できるような商売ができるんじゃないかと思って」


「商売? 最上の発想が突飛すぎて付いていけない」


「だから、ゴールドをここの通貨にするんだよ。

ここで財を築くのも面白そうだと思わないか?」


「ダンジョンで魔物を狩るのもいいけど、商売も悪くないな」


「よし! 走るぞ。向こうの丘まで競争だ」


「ちょっ、待てよ! おいていくな」


狩野、悪いな。

足の速さはシロのほうが断然速いのだ。

伝えるのを忘れていた。

ブチは愛嬌があるけど、走りには向いていないって。


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるのっ……!」


と思ってくださったら


下にある☆☆☆☆☆から、

ぜひ、作品への応援お願いいたします。


面白かったら星5つ、

つまらなかったら星1つ、

正直に感じた気持ちでちろん結構です!


ブックマークもいただけるとさらに泣いて喜びます。


何卒よろしくお願いいたします。


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