表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
みちのくダンジョン・ハイスクール・ボーイ~ランキングより好きに生きていいですか?何か問題でも~  作者: 白神ブナ
第1章 迷宮探索高専 東北分校

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

17/122

第17話 迷宮探索政策室長の追及

 校長室に入ると、立派な応接セットが置いてあって、その中のソファーのひとつに見覚えのある男が座って待っていた。

校長先生は、俺と五十嵐先生を見つけると近づいてきて言った。


「五十嵐先生、演習ご苦労さんでした。最上君、緊張しなくて大丈夫ですよ。

今さら紹介するのも変だが・・・知っていると思うが・・・

こちら、通商産業省、迷宮探索政策室長の最上さんだ」


「父さん!」


「忍、久しぶりだな。

桜庭くんから昨夜連絡をもらって、朝一番の新幹線で来たんだけど

東北分校は遠いなぁ」


校長先生は父さんにペコペコと頭を下げている。

バッタみたいに。


「遠いところをわざわざ御出でいただいて、申し訳ございません」


「いいえ、今回は息子のためではなく、わたくしは公の仕事で来ています。

公務ですよ、公務。どうかお気になさらずに」


「はあ、公務といいますと・・・」


「単刀直入に申し上げましょう。

昨夜、野営訓練で生徒が一人行方不明になった件です。

校長はご存じでしたか?」


「え? そうなんですか。初耳でございます」


「そうですか、校長はご存じないと。

では、担任の五十嵐先生はご存じですよね。

昨日の夜、生徒が一人野営から戻ってこなかった」


父さんは、保護者としてではなく官僚の立場でやって来たのだ。

だから、俺の名前は言わずにわざと“生徒が一人”と言っている。

それなのに、うっかり五十嵐先生は具体的な内容を出した。


「何もないですよ、最上さん。

あなたの息子さんのことをおっしゃっているなら、

ここにこうして元気に立っていますし」


「なるほど。

わたくしは生徒の名前を出していませんが、

最上忍のことだと理解できたのですね」


「そ、それは・・・

最上忍だけが行動計画通りに戻ってこなかっただけで・・・」


「ほう、戻ってこなかった。

ちょっと、確認させてもらえませんかね、その行動計画とやらを」



―8:30 集合、バスで田沢湖スポーツセンター

―9:00 オリエンテーション

―10:00 各班ごとにテント設営。場所はラグビー競技場、サッカー競技場

―12:00 昼食

―13:00 各テント設営を確認

―14:30 集合、オリエンテーション

―15:00 田沢湖スポーツセンターにて、入浴等

―18:00 夕食

―21:00 消灯、就寝


翌日

―6:00 起床

―7:00 朝食

―8:00 オリエンテーション

―9:00 テント撤収、清掃

―10:00 反省会

―11:00 バスにて学校、解散



「なるほど、野営とは言っても、テントを設営するだけで、

夜にはスポーツセンターに戻ってくる計画なんですね」


「そうです。計画に無理はありません」


夜にスポーツセンターに戻るとは知りませんでしたと、俺は白状すべきか今すごく迷っている。


迷宮探索政策室長としての父さんは、銀縁の眼鏡をクイッと上げた。



「ちょっと疑問なのですが、いいですか?

ここに班ごとにテント、場所はラグビー競技場などと書いてあります。

が、息子・・・いや、最上忍は、

一体どの班に属していたのですか」


「どの班にも属していません。彼は特別メニューでした」


「特別メニューを受けた生徒は最上忍以外にいましたか?」


「いえ、最上忍だけです」


「一人だけだったと・・・それで、特別メニューとは」


「彼はこの周辺をよく知っておりまして、訓練にならないため、

演習の意味を理解させるために別の場所に行かせました」


「別の場所。それはどこですか」


「秋田駒ケ岳のムーミン谷です」


校長が驚いて聞き返す。


「ムーミン谷?!」


「わたくしはこの辺の地理はよくわからないので、教えていただきたい。

校長、ムーミン谷へはどういうルートで行くのですか」


「通常は、田沢湖スポーツセンターより先のバス乗り場から

さらに30分行って、秋田駒ケ岳八合目まで行きます。

そこから、尾根を歩いてムーミン谷に到着するのが初心者向けのコースです」


「なるほど、では田沢湖スポーツセンターから登るルートはあるのですか」


「水沢ルートというのがありますが、初心者向けではありません。

急な坂道で道も笹で覆われているため、そこを登る登山客はあまりいません。

慣れている登山家でないと迷いますし、熊も出ますし・・・」


「では、五十嵐先生に伺います。

あなたが最上忍にとった特別メニューとは、この水沢ルートでしたか」


「うっ・・・そ、そうです」


「最上忍、あなたが登ったのは水沢ルートで間違いありませんか」


「はい、間違いありません」


「高校生に、しかも集団ではなく個人で水沢ルートを行かせた。

これは問題ですねぇ」


「訓練ですから」


「訓練ですか。無茶なしごきのようにも思えますが。

パワーハラスメントではありませんか?」


「訓練です。あくまでも特別訓練」


「しかし、実際、最上忍は午後2時半、

もしくは3時になっても戻ってこなかった。

この時点であなたはおかしいと思わなかったのですか」


「彼はよく忘れ物をする生徒なので、

戻る時間を忘れているのだろうと思っていました」


五十嵐先生のいうことは確かに一理あると、俺はうなずいてしまった。




「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるのっ……!」


と思ってくださったら


下にある☆☆☆☆☆から、

ぜひ、作品への応援お願いいたします。


面白かったら星5つ、

つまらなかったら星1つ、

正直に感じた気持ちでちろん結構です!


ブックマークもいただけるとさらに泣いて喜びます。


何卒よろしくお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ