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みちのくダンジョン・ハイスクール・ボーイ~ランキングより好きに生きていいですか?何か問題でも~  作者: 白神ブナ
第1章 迷宮探索高専 東北分校

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第14話 ムーミン谷ダンジョン

 秋田駒ケ岳の見どころポイントの中でも、ムーミン谷は人気のエリアだ。


ときおり、ガスっている雲が途切れる。

途切れた先には青い空と周辺の山が見える。

その山に囲まれた谷には、白い高山植物の群生が広がっている。

これは写真に撮ったら映えるスポットだ。

白い花が一面に広がる風景を写真に収めようとする登山客は多い。

俺も、演習中であることを忘れて、携帯で撮影しまくる。


 演習はここで野営することになっているが・・・

こんなに人が多いところで、木道から外れてテントを張ったら怒られそう。

いや、間違いなく怒られる。

どうしたものか。

そうだ、人影が少なくなってから行動するのがいいかもしれない。

それまでは、阿弥陀池の避難小屋へ行って休憩することにしよう。

避難小屋へ行けばトイレもあるし、おにぎりを食べるスペースぐらいあるだろう。


先生は確か野営とは言っても、「トイレを使うように」って言っていた。

ちゃんとこういう場所を選んでくれたんだな。

感謝、感謝。


だが、ここのトイレはチップ制100円と書いてある。

俺、お金なんか持ってきてないぞ。

どうしよう。

トイレ使えないじゃん。

さっきの感謝、撤回します。

チップ制だから強制ではないけれど、ただで使わせてもらうには気が引ける。

・・・どういう選択をすべきか。


ここで、考えられるありとあらゆる選択肢を考えた。


パターン1。

誰かから100円借りる。

一番無難かもしれないが、

俺には、見ず知らずの人に借金する勇気はない。



パターン2

トイレを我慢して失敗する。

最悪だ。

これだけは避けたい。


パターン3

藪の中に排泄したあと埋めてしまう。

野営訓練だし、本来ならこれか。

しかし、人が多いから見つかった場合、悲劇。


パターン4

「ごめんなさい、今手持ちがありません」と言って、使わせていただく。

終わった後に頭を下げて、謝罪する。



4だな。

パターン4、実践!

ダメなら、テントを張ったら自分で穴を掘るしかない・・・



パターン4を実践した後は、誰かに見られているような気がして、その場から逃げるように立ち去った。

たぶん、誰も咎めないとは思うけれど、俺の中の自意識が過剰に反応している。


ムーミン谷に戻るには、普通は尾根をぐるっと回って、遠回りでもゆっくり安全な道を通る。

でも、今の俺はここからとにかく立ち去りたい。


ムーミン谷までの最短距離を行く。

阿弥陀池避難小屋とムーミン谷の間にそびえる横岳と男岳の尾根。

これを一気に超えるのだ。

横岳の尾根まで一直線に、急な勾配を全速力で登って行った。

ほぼ垂直に移動だ。


尾根までは草原のように見えるが、実は低木の高山植物。

尾根に近づくと藪は腰くらいの高さになる。

俺は、いきなり藪から尾根に飛び出した。


「おお、びっくりしたぁ。なんでこんなとこから人が・・・」


「すみません」


尾根を歩いていた登山客を驚かしてしまった。


尾根を越えたら今度は下りだ。

足元は細かい砂利道に似ている。

と、砂利に足を取られてバランスを崩した。


「ヤバっ!」


高山植物の群生地帯に倒れこんだ。

倒れた場所には、穴が開いていた。

植物で隠れてそんな穴があるとは知らず、おもいっきり穴の中に落ちてしまった。


「痛っ!!」


こんなところに落とし穴かよ。

油断していて、顔面から着陸するのはさすがに痛い。


「こんな穴に落ちるなんて、我ながら情けない」


落ちた穴から、上空を見上げると雲が低く漂っていた。

周辺がガスっている状態では、誰もこの事故を見ていなかった可能性がある。

誰も助けには来ないだろう。


幸い、どこも怪我していないようだ。

ならば、ついでにここで休んじゃえ。

ここで休んでから自力で這い上がろう。

重かったリュックを降ろして、ため息をついた。


みんなはもうテントの設営が終わって、おにぎりでも食べているのかな。

そうだ、おにぎり、おにぎり。

思い出したようにリュックの中をゴソゴソと探し、おにぎりを出して頬張る。


「こんな暗い穴の中でおにぎりを食べるとは思わなかったな。

さっき、田沢湖を望む男岳で食べればよかった。

そしたら、美しい風景を楽しみながら食事できたのに」


誰に言うわけではなく、自分に言い聞かせるように大きな独り言を言う。



リュックの中に入っている二個の石に気が付いた。

そういえば、これは狩野から第5層界でお礼だと言ってもらった石だ。

「何かの役にたつだろ」と、狩野が言っていたことを思い出す。

何の役に立つのかは聞いていない。

一個を手に持って、まじまじと石を観察してみる。


「なんとなく、転移石に似ているような気がするが・・・・・

ん? 今、なんか・・・風が吹いてこなかったか?」


優しい風が頬を撫でて行った。

横穴があるのか?

暗闇に慣れてきて、よく見てみると横に洞窟が広がっていた。


まさか、ダンジョンってことはないよな。

また未発見のダンジョンを見つけてしまったりして。

そんなことはないよなと思いながらも先に進んでみる。

洞窟を進むと、スライムがポコポコ湧いて出てくる。


「そんなことあった! ダンジョンじゃん。スライムがいる」


せっかくだから、スライムを狩ってマジックバッグに取り込んでいく。

何かの燃料くらいにはなるかもしれない。

こんなにスライムが出るということは、誰も入ったことが無いのだろう。


と、そうなると奥がどうなっているのか気になる。

魔物が出たら出たで戦えば、魔石も手に入れることができる。

もしかして、レアドロップとかあったらラッキー。


だが、行けども、行けども、スライムは出ても魔物どころかコウモリも出ない。


「ああ、もう疲れた」


探索はもう打ち切ろうと、壁に手をついてため息をつく。


すると、偶然、壁にあった石に触ってしまったらしく、いきなり周辺の景色が高速で飛んで行く。

やばっ!

転移石に触ってしまったようだ。

階層が変わるとクエストしなくちゃいけないじゃないか。

ムリ、ムリ、ムリ、ムリ・・・

お願いだから、一休みさせてくれぃ!





念じた効果があったのか、転移した世界はのどかな風景が広がっていた。

それは、どこかで見たことのある世界。

あの山の形は、秘密のダンジョン第5層界に似ている。


東の方角から見覚えのある馬が走って来る。

ブチだ、俺の馬のブチだ。

ブチは俺を見つけると、嬉しそうに顔を寄せてきた。

ブチがいるということは、ここは第5層界なのか。


「ブチ、家に連れて行ってくれ」


俺はブチにまたがり、荒野を走っていく。

ムーミン谷ダンジョンと、俺の第5層界が繋がっていることは大発見だ。


ということは、ひょっとして他のダンジョンと繋がっている可能性もある。

他のダンジョンからここに到着する人がいても不思議ではない。

知らない間に、ここに他の住人が増えていくことも考えられる。

今までは自由に馬を放牧していたが、それも出来なくなるかもしれない。


「ま、あれこれ今から心配してもしょうがない。晩飯の支度でもするか」


俺は自分の小屋にたどり着いて、ブチから降りた。


「いい子だな。シロは家にいたんだな。よーしよし、おりこうさんだ」


二頭の馬たちにトウモロコシをあげて、可愛がっていると心が癒される。

それにここにはトイレもあるし、テントを張らなくても小屋で寝ることができる。


ムーミン谷ダンジョンがあってよかった。

まさか第5層界と繋がっているとは・・・

そうだ、回収したスライムを干して燃料にしよう。

今夜は、じゃがいものスープでも作るか。

最近収穫したばかりの新じゃがと新玉ねぎで、温かいスープを作ろう。


食後は星を見ながらゆっくり温泉に入って疲れをとり、小屋の屋根裏で寝袋に入った。

窓からは、満天の星空。

今日はなんだか疲れた。

明日はどうすればいいのだろう。


「あ!」


思わず声に出してしまった。

のんびりくつろいでいて、すっかり忘れていた。

まだ野営訓練の最中だった。

確か、翌朝9時にテントを撤収し清掃することって書いてあったような気がする。

ような気がするではダメだ。


確認しよう。

行動計画表はどこだ?


しまった、ムーミン谷ダンジョンにリュックごと置いてきてしまった。

帰るには帰れるけど、ここから帰ったら家の近くのダンジョンに戻ってしまうではないか。

待て、待て、ムーミン谷ダンジョンに通じていた場所に戻ればいい話じゃないか?

それはかったるい。

戻るのはかったるい。

・・・・・・

そんなことを考えているうちに、俺はだんだん眠くなってしまった。


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるのっ……!」


と思ってくださったら


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面白かったら星5つ、

つまらなかったら星1つ、

正直に感じた気持ちでちろん結構です!


ブックマークもいただけるとさらに泣いて喜びます。


何卒よろしくお願いいたします。


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