第120話 ダンジョン運営の権利
アイテムボックスから、鳥海山ビジターセンターで履き替えた上履きを取り出した。
上履きを見てドン引きのドンパン。
「おい、それはない。
それって、さっき履き替えていたやつじゃないか。
そんなものを渡して大丈夫か? 臭わないか?」
「俺の臭いがあった方が説得力あると思うんだけど。
それに、ここに最上って名前が書いてあるし、
これこそ、最強の証明だ」
ドンパンは慌てて上履き最強説を否定しにかかった。
「臭いで説得力って、どういう説得力だよ」
「それがいい。ちょっと、その上履きを借りるとしよう」
「って、いいんですか? それで。
子孫が子孫なら、先祖も先祖だ。こんな血筋は嫌だ」
しかし、魔王は不安だった。
「心配なのは他の人間と会った場合だ。
最上の館では、確かノマド・キャンパーも来るはずだが」
「マオ爺ちゃん、よく知っているなぁ。
そうだよ。でも、それも上履きを見せれば信じてくれるよ。
俺の爺ちゃんだと言えばいいじゃん。
本当の事だし」
ドンパンがあきれ顔で言った。
「上履きを通行パスにするつもりかよ」
魔王はしばらく考えていた。
「トレスチャンはわかる。
だが、ノマド・キャンパーたちは受け入れてくれるだろうか。
わしを怖がって、最上の館に来なくなってしまったら、
最上忍に迷惑をかけてしまう」
「俺もなるべく早く最上の館に行く。
その後もちょくちょく、マオ爺ちゃんの顔を見に行くから。
安心して、静養していればいいよ。」
「良いのか?」
「それから大事なことを決めておかないとね。
休暇中の呼び出しがないように、代役を立てておこうよ。
そうすれば、ゆっくり休めるでしょ」
「冥層界に来るような代役など居ない。
誰が来るというのだ」
「来なくても、呼べばいいじゃん。
空間異動で連れて来ちゃうとか」
「誰を」
俺とドンパンは、顔を見合わせて頷き同時にその名を言った。
「「エバンスを!」」
「あいつか」
「前から連絡取り合っている仲なんでしょ。
魔法で呼んできて代役やらせちゃったらいいじゃん。
冥層界に閉じ込めておくには、うってつけの人材だ」
ドンパンも賛成した。
「わたしもそう思います。
そして魔王さんが復活した暁には、
煮るなり焼くなりどうぞご自由に」
「うむ、良い案である」
魔王は崩れた天井を見上げながらつぶやいた。
「第5層界で静養していたら、会いに来てくれるのか、最上忍は」
「もちろん! 畑の採れたて野菜で、みそ汁を作ってあげよう。
ノマドのアニーさんが焼くパンケーキも絶品なんだから」
「あパンケーキ、いいなぁ。わたしも食べてみたいなぁ、ハチ王子」
「ドンパンもおいでよ。
マオ爺ちゃんもドンパンも、みんなで一緒に食べようぜ」
「また、こいつ……わしを泣かせにかかって…、
わかった。わしは決めた。
最上忍をわしの後継者にさせることは放棄する」
そんな大げさな。
普通に諦めたって言えばいいのに。
「その代わり、
最上忍にダンジョン運営の権利を与える。
特に第5層界について、
所有権の奪い合いにならぬようにしっかり守ってくれ。
わしの静養場所だからな。頼んだぞ。」
「凄いじゃん、ハチ王子。魔王から、のれん分けだぞ」
ドンパン、それとは微妙に違うと思うが。
魔王は宮殿の奥の家臣たちに向かって叫んだ。
「聞いていただろう。
お前らもそのことをしかと心得よ」
「ははぁー」
「破壊した宮殿の修理は、いつものところへ頼んでおくように」
「ははあー」
「では、そろそろラスボスとの戦は幕引きだ」
魔王は腕を高く掲げ、パチンと指を鳴らした。
「今日の戦いは、最高ランクであった。
最上忍とドンパンは人間界へ帰るのだ。
帰還せよ!!」
魔王が召喚魔法の逆作用で俺たちを帰還させる。
今度こそ闇ではなく、光の渦が俺を包み込んだ。
「うわっ! まぶしい!…これ、言ってみたかったんだ」
「ヒュゥ♪ やったね」
「でも、将来は魔王の座を継いでもいいかなって……」
「何か言ったか、ハチ王子」
「え、別に…何も」
光の渦が消えると、俺の目の前に広がった光景は、
ダンジョン高専の校舎、その屋上…
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