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みちのくダンジョン・ハイスクール・ボーイ~ランキングより好きに生きていいですか?何か問題でも~  作者: 白神ブナ
第1章 迷宮探索高専 東北分校

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第12話 バズるよりも畑が気になる

 気のせいかもしれないが・・・

登校すると、皆の視線が俺に集中しているような気がする。

俺、何か悪いことしたっけ。


昇降口の下足棚に靴を突っ込む。

まさか、上履きに何かいたずらされているんじゃないだろうな。

上履きをひっくり返して、中に何か入れられていないか確認する。

大丈夫だ、何もない。


それでも、周りからの視線が気になる。

指さしてひそひそ話している生徒もいる。

俺、いったい何をやらかしたんだ。


 狩野が首に包帯を巻いた姿で登校してきた。

昨日、魔狼に噛まれて怪我を負ったが、桜庭に手当をしてもらって治りは早かったようだ。


「おはよう、狩野。大丈夫か?」


「僕にあまり話しかけない方がいいぞ」


「え、俺嫌われた? 昨日さっさと帰ったことを怒ってるのか?」


「違う」


「じゃ、あれか。お前の携帯を盗み見したことか?」


「携帯を盗み見したのかよ!」


違うのか。まずいことを言った。

俺は今、墓穴を掘ってしまった。

言わなければよかった・・・・


「ちょっと、こっち来い」


狩野は俺の腕を引っ張って、誰もいない理科室に連れて入った。

え? まさか、告白?

ごめんなさい。

俺にも選ぶ権利があるので、男からの告白はちょっと・・・


「いいか、よく聞け」


「え、あの、その、一応聞くけど、ごめんなさい!

告白されてもお前の気持ちに答えられない」


「何、勘違いしてんだ。違うよ。

昨日の配信がかなりバズって、お前身バレしたかもしれないって話だよ」


あれ、想像していたのと違う。

それは告白ではなく忠告だった。


「は?」


「ハヤブサ・チャンネルのリスナーは多いから、

この学校でも見た生徒は多い。

僕は顔出しでカリノと呼ばれてるし、

身バレは当然想定してたからいいけど。

お前、秋田犬のアバターでハチ公とか、

ハチ王子とか呼ばれてバズってるぞ。

ハヤブサさんと校庭で戦った件を知っているやつは、

ハチ王子は最上じゃないかと噂している。

一緒にいた僕と仲がいいのも、ハチ王子と疑われる要因になっているし」


「嘘だろ。アバターは意味なかったってことか」


「少なくとも、この学校ではね」


「ま、この学校ならしょうがないかな。

バレてしまったもんは今さら隠しても無駄だしな」


「いいのかよ。あきらめ早っ」


「だって、配信はもうあれで終わりだ。

もう俺は出ないから、そのうちみんな忘れるさ」


「配信に出ないのか? こんなに話題になっているのに」


「出ない。興味ない」


「でも、配信というミッションがきたらどうする」


「うーん、悩むなぁ。その時はその時に考える」


すると、ガラッと理科室の戸を開けて五十嵐先生が入って来た。


「こら! こんなところで何をしている。

さっさと教室に行け。朝礼が始まるぞ」


「はーい、すみませーん!」




なるほど、教室に入るとクラスの視線は俺と狩野に集中している。

なぜハヤブサ・チャンネルに出たくらいで注目されるのかわからない。

みんなが持っているような炎とか水とか氷とか、見栄えのするスキルを持っていないし、自慢するような技もない。

狼は倒したが、あれは動物の本能を知っていたからにすぎない。

みんな、盛り上がりすぎだ。


「連絡事項だ。明日の演習は野営訓練を行う。

ダンジョン探索は、経験の浅いうちは第4層以上進まない事。

なぜだかわかるか。最上。・・・最上、聞いているか」


「はい、聞いています」


また名指しで注意された。


「聞いていたなら、答えなさい。

何故、第4層以上進んではいけないのか」


「さあ・・・・・わかりません」


「あきれたやつだ。基本中の基本だろが」


おっしゃる通り、俺は基本がわからない。

いつも秘密のダンジョンで自己流で探索しているから。


「第4層以上進むと、日帰りできない可能性がある。

万が一、日帰りが不可能になった場合は、野営しなければならない。

だから、経験が浅い初心者は、第4層以上進んではいけない」


先生はそう説明したが、俺にはそれが疑問だ。

俺がいつも籠っているダンジョンでは、転移の石がボタンのように埋め込まれて、エレベーターのように簡単に移動できるのだが。

先生の言っているのは、昔のダンジョンなのだろうか。


「わかったか、最上」


「はあ、なんとなく」


「なんとなくではダメだ。

ちゃんとわかるように演習ではきっちり指導するからな」


嫌だな、また俺だけきっちりしごくからなと聞こえる。

指導という名のしごきを受けるのは勘弁願いたい。




学校から家に帰っても、先生が言っていた第4層以上はダメという意味を自分で確認したくてたまらない。

いつもの秘密ダンジョンへ行ってみることにした。


確かに第4層までは、トラップがあったり魔物が出たりして大変といえば大変だ。

だが、この秘密ダンジョンの最初の方はもう何度もクリアしているから、あっという間に終わる。


そして、第5層界は比較的平和な世界が広がっている。

ここに俺は小屋を建てたり、温泉を掘ったりして、スローライフを楽しんでいる。

ここに来るまでだって転移の石を使えば、余裕で日帰りできる。

この先の第6、第7、第8、第9層にも、転移の石があるのは確認できている。

確かに楽にクリアできる層ではなくなるが、日帰りは可能だ。


たとえば、第9階層でミッションクリアしたとする。

そのあとで、第5層界でのんびり過ごすのがお決まりのコースだ。

それでも、余裕で日帰りしている。


そういえば、第5層界に収穫して多すぎて持ち帰れなかったトウモロコシがあるはずだ。

昨日はそのトウモロコシを小屋の前に並べ、“一個10ゴールド”と書いた札を立てておいた。

俺しかいない世界だけど、冗談半分で無人販売所を作っておいた。


小屋の前に来ると、トウモロコシが一本無くなっていた。

代わりに10ゴールドコインが一個おいてあった。

嘘だろ。

誰かいるのか。

俺はあたりを見回して確認する。

小屋の反対側も足音を忍ばせながら歩いていると、誰かの気配を感じる。


すると、どこからかのんきな鼻歌が聞こえてきた。

誰かいる!!

俺はアイテムボックスを開いて、こん棒を取り出し、鼻歌の聞こえてくる方向へ向かった。


温泉に誰かが入っている。


「誰だ、うちの温泉に入っているのは!」


こん棒を振り上げてそいつの背後に迫った。


「うわぁ!」


「うわぁぁぁ! びっくりした。待って、待って、殴らないで僕だよ、狩野だよ」


「なんだ、狩野か。こんなところで何してるんだ」


「ごめんよ。勝手に入ってきちゃって。ごめんなさい!」


「トウモロコシにお金払ったのもお前か?」


「あ、そうです。僕です」


「いいけどさ。勝手に入ってくるなよ。驚くじゃん」


「すまん、服、着てもいい?」


狩野は秘密のダンジョンの第5層界まで勝手に入って来た。

ダンジョンへの道も、ダンジョン内の転移装置も、

彼には一回しか見せていないのに。

もう覚えたとは、凄い記憶力の持ち主だ。


「だってさ、一個10ゴールドって書いてあったよ。

誰かに買ってもらいたくて書いたんだろ?」


「冗談のつもりで書いた。

本当に買うやつがいるとは思ってなかった」


「自己完結型の冗談か。最上らしいな」


無断で敷地内に入って来たくせに、家主をバカにするとはいい根性だ。


俺は周辺にある枯れ枝を拾いながら、狩野が来たのが嬉しくてニヤニヤしていた。


「ニヤニヤしながら何してんだよ」


「生でトウモロコシは食べられないだろ、焼きトウモロコシ食べてみないか」


「いいね! 僕も手伝うよ。しまった、醤油持ってくればよかった」


そうだ、調味料のことを考えていなかった。

ま、いっか。


狩野は二つの石をポケットから出して俺に渡した。


「何これ?」


不思議がる俺に


「いつか何かの役にたつだろ。今日のお礼だ」


狩野はトウモロコシを焼くことに夢中になりながら、笑っていた。


「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるのっ……!」


と思ってくださったら


下にある☆☆☆☆☆から、

ぜひ、作品への応援お願いいたします。


面白かったら星5つ、

つまらなかったら星1つ、

正直に感じた気持ちでちろん結構です!


ブックマークもいただけるとさらに泣いて喜びます。


何卒よろしくお願いいたします。


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