第115話 魔王―2
魔王とドンパンが会話しいている間、俺はひとりぼっちにされた。
「あのー、すみません。俺もいるんですが、会話に入ってもいいでしょうか」
「ん? いかん、わしとしたことが……、
目の前のことに気をとられてしまうと、本来の目的を忘れてしまう。
最近、こういう物忘れが多くてな。
そう! 貴様だ! 貴様こそが、この瞑層界に呼び寄せた勇者であった」
「俺、勇者なんすか?」
「何を気の抜けたことを言っておるのだ。
お前は、ダンジョン探索者の最上忍であろう」
「へぇ、俺の名前。どうして知っているの?」
魔王は薄気味悪い笑みを浮かべて答えた。
「貴様こそ、わしの後継者になるべき血筋の者だ。
最上忍が、この冥層界についにやって来た。
わしはこの日を、今か今かと待ちわびていたのだ。
なぜ、もっと早くここに来なかった」
「だって、第9層界はめっちゃ難しかったんだもん。
命がけで挑戦する価値あるのかなって。
それよりも、第5層界で畑やってたほうが楽しいし」
「だって、だって、だって!
貴様はいつも言い訳ばかり。
命がけで挑戦する価値、あるだろが!!
わしがせっかく見つけた後継者だというのに。
貴様が強いというのは、嘘なのか」
「さぁ、どうなんでしょ」
「貴様は今どこに立っている。
魔王の目の前にいるのだぞ。
もう少し震えあがるとか、緊張とかないのか
リアクションが薄い!」
「ないっすねー。
だいたい、一方的に『待っておったのだぁ』とか言われてもな。
俺は待ってくださいって言った覚えはない」
「ここに来た意味がわからんとでも?」
「ああ、わかんないね。戦いたいのかな」
「バカ者! さっきの宝箱に手帳が入っていただろう」
「ああ、サラリーマンが持つような黒い手帳があった」
「それに、貴様をここに呼んだ意味も、
魔王として貴様を後継者にする理由も
全て書いてあっただろう。読まなかったのか」
「読んでいない」
「あちゃー! 貴様は読書が嫌いだろ。
文字や文章を読む癖は、つけたほうが良いぞ」
「いやいや、そういう問題じゃないよ」
「何、他に理由があるとでも……」
「読む前に、停電になっちゃって、
真っ暗闇だったんだもの。読めるわけがない」
「そうだったのか。それはこちら側のミスだった。
家臣には、あれほどタイミングを間違えるなと注意していたのに!!
あいつら、謁見の間をウサギ飛び十周の刑にしてやる」
謁見の間の奥の方から
「申し訳ございませーん」と陳謝する声が聞こえてくる。
ドンパンは手帳に興味があったのか、魔王に問いかけた。
「で? 何が書いてあったんです?」
「それは、時をさかのぼること1300年前。
わしがまだ人間で、若かった頃の話だ。
美しい娘と恋に落ちた。その娘の名は……」
「ちょっと、すみません、それって長くなります?
だったら、いいです。
校長先生の話と、来賓の挨拶は長いから嫌いです。
早いとこ、魔王とチャンチャンバラバラやっちゃって、
俺が勝ったぞ、ワッハッハーで終わらせちゃいましょう」
「いや待て、待て。
そうはいかん。わしが魔王になった物語を聞かずに戦うわけにはいかない。
いいか、物語にはちゃんと意味があるのだ。
校長先生の話と同じにするな」
「めんどくせーけど、しかたがないか。
ドンパン、君はどう思う?」
「わたしは、ハチ王子を連れてくるだけでしたから、戦いは関係ないからね。
恐い思いをするのは、さっきのマグマのダンジョンで凝りました」
「おい、ここまできたら一心同体だぞ」
「だって、相手は魔王なんだぞ。勝てると思っているのか?」
「うん、負ける気がしねぇ」
「君の自信はどこから来るのか、謎だ」
魔王がキレた。
「何をごちゃごちゃとほざいておるのだ。
これから、わしの魔王としての壮大な物語を聞かせてやる。
そこ、座っていてもいいから、よく聞け」
「はーい」
「あーい」
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