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みちのくダンジョン・ハイスクール・ボーイ~ランキングより好きに生きていいですか?何か問題でも~  作者: 白神ブナ
第5章 秀麗無比なる

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第114話 魔王


「やれやれ、やっと瞑層界に来たかと思ったら、

長々とつまらんコントを繰り広げやがって。

瞑層界に着いたら、勇者は普通緊張するか、武者震いするか、

もっとこう、クライマックスに向けての感情の昂ぶりってものがあるだろう」


暗闇のなかの声は、『瞑層界に着いたら』と言った。


「あのぅ、ちょっといいですか?

瞑層界ってのは、こんなに真っ暗なんですか?」


誰だかわからない声に対して、俺は質問を投げかけた。


「いかにも、ここが瞑層界だ。

……だが、確かに暗すぎるかな。

これだと誰がしゃべっているのかわからんじゃないか。

ええい、誰か! 宮殿に灯りをつけろ。

いくらなんでも、照明を全部落とす奴があるか。

これでは、せっかくの魔王との対峙シーンが見えないじゃないか」


魔王? 今 魔王って言わなかったか?


奥の方で家臣なのか、「ははぁ、ただいまー」という声が聞こえて、

ポッポッポッと、所々にロウソクの炎がつき始めた。


「まだ暗い。人間の視力に合わせて天井から全体にシーリングライトを点けろ」


「ははぁ、申し訳ございません。

先日、魔王様が節電対策と称して、全照明を切ってしまわれて、

そのままになっておりました」


「言い訳は聞きたくない。さっさと灯りをつけぃ!!!!」


魔王と呼ばれた男の咆哮が響き渡り、天井から全体に徐々に明るくなってきた。

すると目の前には、玉座に座る魔王の姿が浮かび上がった。

黒に金の刺繍をしたマントを羽織り、頭にはヤギの角のようなものが二本生えている。

漆黒の長い髪、切れ長の目、想像していた恐ろしい顔とは違った。

控えめに言って、たぶんイケオジ。


ドンパンが悲鳴を上げた。


「うぉぉおおお! 本物の魔王がいる!」


「本物ってわざわざ付けたら変だよ。

まるで偽物の魔王もいるみたいじゃん」


「あ、そうか。

職業柄、魔王に変装することもあるから、つい」


魔王はドンパンを睨みつけ、


「わしに変装すると言ったか? 無断借用は認めん。

しかし、お前はなかなか頭脳明晰な男よの。

あの階段のパズルをよくぞ解いた。褒めて進ぜよう」


「お褒めの言葉をいただき、ありがとうございます。

怪盗ドンパン、幸せ至極に存じます」


「だが、コントはいただけん。

聞いていて寒くなった。うう、今夜は冷えるのう」


「はっ、申し訳ございません。

お笑いにも一生懸命精進いたします。

って、ちがーーーーう!!」


突然ドンパンは、ナチュラルなドンパンに戻った。

それから、俺の方に向き直して言った。


「ここが瞑層界ということです。これでわたしの任務は終了です。

ハチ王子を瞑層界まで連れて行くこと。

これがクライアントからのご用命でしたから。

多少、オプションと時間外労働が入りましたが、

無事に任務完了しました。

じゃあ、わたしはこれで……」


俺が止めるより先に、魔王がドンパンを止めた。


「お前、無事に帰れると思っているのか」


「はっ、そうだった……、

帰るのも一苦労じゃないか、ここは。

わたしはエバンスに騙されたのか。

エバンスめ、謀ったな」


「ふん、エバンスか。あれは、わしの配下の人間だ。

わしの要求通りに動く便利な捨て駒だよ、やつは。

つまり、そこの少年を連れて来いとエバンスに要求したのは、このわしだ」


「発注元は誰でもいいです。

問題はお代をいただくことです。

ハチ王子をここに連れて来るのはボランティアじゃないんだ。

ここから、どうやってエバンスに代金請求すれば……

やられたーーー!」


「それは難儀であったな。

だが、発注元が誰でもいいってことはないだろう」


魔王とドンパンのやりとりは続いている。


最初は、ドンパンに拉致されていたが、

今は連れて来られたとは思っていない。

どっちかといと、俺がドンパンを連れて来たという認識だが……



「面白かった!」


「続きが気になる、読みたい!」


「今後どうなるのっ……!」


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