第114話 魔王
「やれやれ、やっと瞑層界に来たかと思ったら、
長々とつまらんコントを繰り広げやがって。
瞑層界に着いたら、勇者は普通緊張するか、武者震いするか、
もっとこう、クライマックスに向けての感情の昂ぶりってものがあるだろう」
暗闇のなかの声は、『瞑層界に着いたら』と言った。
「あのぅ、ちょっといいですか?
瞑層界ってのは、こんなに真っ暗なんですか?」
誰だかわからない声に対して、俺は質問を投げかけた。
「いかにも、ここが瞑層界だ。
……だが、確かに暗すぎるかな。
これだと誰がしゃべっているのかわからんじゃないか。
ええい、誰か! 宮殿に灯りをつけろ。
いくらなんでも、照明を全部落とす奴があるか。
これでは、せっかくの魔王との対峙シーンが見えないじゃないか」
魔王? 今 魔王って言わなかったか?
奥の方で家臣なのか、「ははぁ、ただいまー」という声が聞こえて、
ポッポッポッと、所々にロウソクの炎がつき始めた。
「まだ暗い。人間の視力に合わせて天井から全体にシーリングライトを点けろ」
「ははぁ、申し訳ございません。
先日、魔王様が節電対策と称して、全照明を切ってしまわれて、
そのままになっておりました」
「言い訳は聞きたくない。さっさと灯りをつけぃ!!!!」
魔王と呼ばれた男の咆哮が響き渡り、天井から全体に徐々に明るくなってきた。
すると目の前には、玉座に座る魔王の姿が浮かび上がった。
黒に金の刺繍をしたマントを羽織り、頭にはヤギの角のようなものが二本生えている。
漆黒の長い髪、切れ長の目、想像していた恐ろしい顔とは違った。
控えめに言って、たぶんイケオジ。
ドンパンが悲鳴を上げた。
「うぉぉおおお! 本物の魔王がいる!」
「本物ってわざわざ付けたら変だよ。
まるで偽物の魔王もいるみたいじゃん」
「あ、そうか。
職業柄、魔王に変装することもあるから、つい」
魔王はドンパンを睨みつけ、
「わしに変装すると言ったか? 無断借用は認めん。
しかし、お前はなかなか頭脳明晰な男よの。
あの階段のパズルをよくぞ解いた。褒めて進ぜよう」
「お褒めの言葉をいただき、ありがとうございます。
怪盗ドンパン、幸せ至極に存じます」
「だが、コントはいただけん。
聞いていて寒くなった。うう、今夜は冷えるのう」
「はっ、申し訳ございません。
お笑いにも一生懸命精進いたします。
って、ちがーーーーう!!」
突然ドンパンは、ナチュラルなドンパンに戻った。
それから、俺の方に向き直して言った。
「ここが瞑層界ということです。これでわたしの任務は終了です。
ハチ王子を瞑層界まで連れて行くこと。
これがクライアントからのご用命でしたから。
多少、オプションと時間外労働が入りましたが、
無事に任務完了しました。
じゃあ、わたしはこれで……」
俺が止めるより先に、魔王がドンパンを止めた。
「お前、無事に帰れると思っているのか」
「はっ、そうだった……、
帰るのも一苦労じゃないか、ここは。
わたしはエバンスに騙されたのか。
エバンスめ、謀ったな」
「ふん、エバンスか。あれは、わしの配下の人間だ。
わしの要求通りに動く便利な捨て駒だよ、やつは。
つまり、そこの少年を連れて来いとエバンスに要求したのは、このわしだ」
「発注元は誰でもいいです。
問題はお代をいただくことです。
ハチ王子をここに連れて来るのはボランティアじゃないんだ。
ここから、どうやってエバンスに代金請求すれば……
やられたーーー!」
「それは難儀であったな。
だが、発注元が誰でもいいってことはないだろう」
魔王とドンパンのやりとりは続いている。
最初は、ドンパンに拉致されていたが、
今は連れて来られたとは思っていない。
どっちかといと、俺がドンパンを連れて来たという認識だが……
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