第105話 ダンジョン体験RTA―2
「あ、先生、ちょっといいですか?」
「何かな」
「この間のクエストのレポート、読んでくれました?」
「ああ、読みましたよ」
「あれって、どこに提出するんですか?」
「県庁とダン技研です」
「そうですか。もう提出しました?」
「ええ、提出しました。
おっと、伝え忘れていました。
そのままでは不適切な表現があったので、一部削除しました」
「ダメなところがあったんですか?」
「えっと、何と言いましょうか。
あのぅ、『山上十和さんが、エロかった』という表現ですね。
そこは削除しました」
廊下にいた桜庭が、山上十和という名前にピクッと反応した。
「ああ、そこダメだったんですね。そこはピーですか。
じゃあまだ、父さんのところには届いていないのかな」
「ピーの部分はお父さんには知られないようにしました
だから、大丈夫ですよ。
でも、最上君がレポートのことを聞いて来るなんて珍しいですね。
何かあったんですか?」
「懸賞金の件です」
「ああ、ありましたね。そんな記述も」
「まさか、そこもカットしちゃったとか」
「カットしました。
事件性が無いと警察から連絡がありましたので」
「えーーーーーーーー!!!!!!
ダメですよ、先生! そこカットしちゃダメな部分!
って、ことは、父さんに伝わっていないんですね」
「あれ? そこ重要だったんですか?
ノリで書いたのかと思いました。最上君のことだから」
「ノリなわけないですよ。
あそこ、超重要ポイントですよ。
賞金狙いで俺を襲いに来る奴がいるかもしれませんよ。
ユズリハとハヤブサさんから聞いた話だと、
東京校のアスリート系探索者が、
この文化祭にいっぱい来ているんですよ」
「ハハハハハ……最上君を襲いに来るわけがないでしょう。
ここは学校ですよ。大丈夫です。漫画の読みすぎです。
じゃ、スライム回収、頑張ってくださいね」
小松先生には事の重大さがまったく伝わらなかった。
そのあと、俺はブツブツ言いながらスライムを回収した。
知らねえからな、知らねえからな……、
文化祭が戦場になったって知らねえからな……
「おい、最上。
次のお客さまを入れるまでの五分間で、回収作業終わらせろよ」
クラスの男子が俺に命令した。
何だよ!
五分以内にスライムをできるだけ回収しろって、
それこそ、リアルタイムアタックじゃねぇか。
ブツブツ、ブツブツ……
父さんに俺が狙われていることが、伝わっていなかったのか。
父さんは海外出張だし、
電話しても当然でないし、
俺はここでリアルタイムアタックしてるし、
愚痴をこぼしながらスライムを回収した。
「そろそろ、次のお客さまを入れまーす。
最上、回収終わったか?」
「ああ、完了した」
桜庭が近づいてきて確認しに来た。
「最上君、何個回収した?」
「わかんねぇ。とにかく取った。ほい、これな」
俺は回収したスライムが入ったアイテムバックを桜庭に渡した。
ドサッ
袋の重さで受け取った桜庭の腕が落ちる。
「重っ! 数を数えてって先生も言っていたでしょ。
わかんねえじゃ困るのよ。
あ、お客さまが入って来た。
じゃ、出口のところに立って。
お客さんが安全に出てきているか確認して。
ちゃんと、お礼も言うのよ。わかった?」
「あいよー」
これ以上、桜庭に怒られないように指示に素直に従うか。
二人組のお客さまが出てきた。
「あれー? これで終わり? スライム無かったよね。
全部獲られちゃったのかな」
「つまんなかったねー。これじゃただの迷路じゃん」
あれ? 俺、ブツブツ言いながら五分間で全部回収しちゃったかな。
とりあえず、お礼は言っておくか。
「ありがとうございました。
またのお越しをお待ちしておりまーす」
「もう来ないよ。
全然スライム無いんだもん。
リアルタイムアタックできなかったじゃん」
「あれぇ? おっかしいですね。
みんな獲られちゃったんでしょうか。
どうも、すみませーん」
俺は頭をペコリと下げて謝罪した。
そのタイミングで気配を感じた。
頭の横を黒い虫が飛んで来たから、反射的に手で捕まえた。
ここは高原だから、蜂とかアブとかよく飛んでくる。
握った手のひらを開いて、何の虫かを確認する。
俺が捕まえたものが手のひらのうえで光っていた。
コガネムシ?
いや、銀色の銃弾だ。
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