第101話 ノマド・キャンバーの協力
学校が終わって、ダンジョン第5層界に来てみた。
すると、小屋の横に大きなキャンピングカーが2台止まっていた。
執事のトレスチャンが、中に入ろうとしている人たちを阻んでいるのが見えた。
「どうした? トレスチャン。あれ? ビリーさん。お久しぶりです」
最上の館に来ていたのはノマド・キャンパーのビリーさんと、その仲間のアニーとリンダだった。
「トレスチャン、
この方たちは俺の友達だから通して大丈夫だよ」
「お帰りなさいませ。旦那様。
大変失礼いたしました」
ビリーさんたちは驚いていたが、俺をみると安心したと同時に、久しい友人と会えたと言って喜んだ。
「おお、ハチ王子。
自動販売機のある小屋をリンダが見つけたというから、
君に会いたくて急に訪ねてしまったんだよ」
「このトレスチャンって、魔物のトレントじゃないの?」
「元トレントですよ。正確にいうと」
「あらまあ、よくできた執事だこと。
わたし達を一歩も敷地に入れないのよ」
「そうだったんだ。失礼しました。
でも、ビリーさんたちは運がいいほうですよ。
怪しい人は、トレスチャンに吊り上げられますから」
「じゃ、わたし達は怪しくはなかったってことでいいのかしら」
ビリーは笑いながら、リンダの頭をなでて右手でgoodサインをしてみせた。
「敷地に入っていいかな、ハチ王子」
「どうぞ、どうぞ!
ビリーさんたちなら勝手に入っても構いませんよ」
「広い畑だね。これをひとりで管理するのは大変だろう」
「はい、今のところ友達が来て仕事したり、
トレスチャンの部下が手伝ったりして、なんとかやっています。
でも、なかなか思うように進まなくて困っているんですよ」
「実はね、リンダたちがここの畑で働きたいというんだが。
以前、ここの給金は無しだと聞いていたからね。
ブラック企業だからよしなさいって言ったんだよ」
ビリーさんが冗談半分でからかって笑った。
「そりゃ、精霊に賃金は払いませんよ。
でも、人間だったら話は別だなぁ。
あ、友達は人間だけど、好意に甘えちゃっています。
そういえば、確か、リンダさんは
『こういう畑があればノマド達が働けるのに』って言っていましたよね。
そうだなぁ。お願いしようかな」
リンダさんとアニーが子供のように目を輝かした。
「本当? 働いてもいいの?」
「でも、申し訳ないけど、そんなに高い賃金は出せなくて。
会計はトレスチャンに任せっきりなんで、
トレスチャンに聞いてもいいですか。
トレスチャン、
例えば三人を雇うとしたら日給いくらくらいなら払える?」
「そうですねぇ、
……日給300ゴールドしか払えないでしょう。
三人で900ゴールドになります」
「せめて500ゴールドは払いたいんだけど」
「無理です。自動販売機の収益だけではそれは厳しいです」
「もうちょい、上げることは出来ないかな」
「頑張っても、400です。それ以上は払えません」
「そうかぁ、ビリーさん、ごめんなさい。
日給400ゴールド(日本円4000円)しか出せません。
そのかわり、畑の物は自由に獲って食べてください。
温泉も自由に浸かっていいです」
ビリーさんは大きな胸で俺を抱きしめた。
「報酬があれば越したことはないが、
わたしたちはそれが目的じゃないんだ。
誰かの役に立ちたいだけなんだよ。
わたしたちの知識や技術を誰かのために使いたいだけなんだ」
「ビリーさん…」
「わたし達は社会のシステムにはうんざりなんだ。
ノマド・キャンパーズ・コロニーは、
それぞれが出来ることを提供して成り立っている。
無償の愛と言ったら、かっこよすぎるか」
俺は、ダンジョンで財を成すなんて夢を語ったことが恥ずかしくなった。
リンダが手を挙げた。
「ちょっと、いいかしら」
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