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おやすみ前にホットミルクを(コメディ・SS・シロと隆と晴美ちゃんシリーズ②)

作者: 源公子

「またミルクに膜が貼っちゃった。おばあちゃんならこんなことなかったのに。中学生にもなって僕ってだめだな」  


 おやすみ前のホットミルクを温め損なった隆くんが、ため息をついてスプーンで膜をすくう。


「これ嫌いなんだよな。でも捨てたら、死んだおばあちゃん、もったいないって怒るだろうな」


(しょうがないわね、私の出番だわ)

 子猫のシロが、隆くんの持っていたスプーンをペロペロと舐め出した。


「シロ、食べてくれるの、ありがとう! シロはほんとに優しいな、おばあちゃんみたいだ。スプーンなめたのママには内緒だよ」


 隆君は一生懸命に水道でスプーンを洗っている。

 隆くんは知らない。猫のシロが、死んだおばあちゃんの生まれ変わりだってことを。






 今日はガールフレンドの晴美ちゃんが来ている。

 大学に入ってから、もう長い付き合いになるのに、キスもしてくれないから、晴美ちゃんちょっと焦れてる。

 でも奥手の隆くんは気づいていない。


 話し込んですっかり遅くなって、もう終電の時間。

 晴美ちゃんは電子レンジに、隆くんのお休み前のホットミルクをセットする。


「ミルクは温めすぎないでね。膜が張るとまた爆発するわよ、必ず500Wで様子みてね」


「ハイハイ、気をつけます。もう遅いし駅まで送るよ」


 2人は笑いながら玄関に向かう。


(わたしの出番ね)

 電子レンジをスイッチオン。ただし500Wじゃなくて1000W。


 バン!


「え、何?」

「何の音だ?」


 慌てて戻ってくる2人、電子レンジの中でミルクが爆発したのだ。



「きゃーミルクが! なんで1000Wになってるの?」

「シロがスイッチに触ったのかな?」

「中がめちゃめちゃよ、早く掃除しないと、こびりついて大変だわ。私すぐ掃除する」

「掃除は僕がするよ、もう電車の時間が……」

「ここまでひどいと隆くんには無理よ。そのかわり今晩泊めてね、私タクシー代ないから」


「え?」


(後はよろしくやってください)

 シロがくるりと顔を洗った。



              了


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― 新着の感想 ―
[一言] 猫に生まれ変わったおばあちゃん、なかなかの策士ですね。 案外生前、おじいさんを射止めたのも何かの作戦の末に射止めたのかも? そんなことも考えてしまいました。
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