日常的な非日常
街に着いた。
本当の事を言うとコンビニは何件か有った。コンビニの種類で寄らなかったわけじゃない。
少し遠くに走りたかった。
息が切れ、みぞおち辺りが少し痛くなってきた。
僕は止まらず歩く、止まっているより歩くほうが楽な気がした。
それにしても暑い日だ。
夢中で走っていたら喉が乾いていることに気づかなかったのか。
隣に自動販売機が立っていた。
自動販売機には色々な飲み物があるが、その中で左端にヤバイ色の飲み物を見つけた。
緑と黄色の水玉を伸ばした様なラベルのペットボトル・・・160円、普段はこんなジュース飲まないが買った。
結局飲み物を買って飲む間ずっと立ち止まっていた。
歩きながら炭酸を飲めるほど器用じゃない。
半分ほど飲んだ。
街角を適当に右に曲がったり左に曲がったり、目的も無くプラプラ歩いていた。
適当と言ったが実は法則はある。日陰が有る所に移動するを繰り返している。
ただ問題も有る、もうそろそろ太陽が真上に出てきそうという事。
僕「暑すぎる」
ふと見ると目の前に建物を見つけた。
見るからに古い食堂、ふらっと呼び込まれるように中に入る。
ここで昼飯を食べる事にしよう。
店に入るとレジの横に30cmほどの招き猫、高い位置のテレビ、座席。
動かない丸い椅子に座ってベタベタの色あせたメニューを見る。
店員のおばさんが水を持ってきた。水滴がカウンターテーブルに落ちる。
唐揚げ定食を注文した。唐揚げは好きだ、子供の頃から。
母親の作った唐揚げはいくらでも食べれた。ちゃんと作り方を聞いておけばよかった。
実家に帰ったら作ってくれて、毎回同じ味。
出てきた唐揚げ定食は美味しかった。チェーン店とは違う店の味。
ゴロッとした肉に狐色の衣。最初は柔らかく噛んだ時に肉汁が熱い。
最後は衣が少し固くなり冷めてもまた楽しめる最高のおかずだった。
750円を払って店を出る。この店にはまた来たいと思い携帯にメモしようと思った・・・。
あれ?
そう言えば携帯トイレに水没してた・・・ショップ寄らないとな。
景色を見ながら家に帰ろう。歩いているうちに陽は沈み始めていた。