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7話 封印魔法

 

 ───────魔術訓練場。

 暴走したウォーレン・バッカスとユーゴの

 戦いは続いていたが、終幕へと向かって行った。

 激しい魔術の攻防が繰り返される中

 それを見ていた生徒達はー。


 「アレが首席入学者の実力か…?」


 「凄すぎる!」


 「魔法陣の構築すら無しでここまでの戦闘を行える

 ものなのか?!」


 騒めきは止まない。


 「本来、魔術は魔法陣構築の工程を省いたら

 まともな威力を発揮しないどころか

 発動すらしない…筈っすよね…。」


 「ええ、ごく一部の人間王国の上層部や

 王国魔導士(ザ・ウィザード)の幹部クラスと

 学院長ぐらいしか使えないと聞かされてますわ。

 それと魔人族にも何人か居るとか…。」


 「それをユーゴは学生の身分でやってるって

 言うんすか…最早、学生の範疇を超えてる

 じゃないっすか!」


 ──────────────。


 「そろそろ終わらせないと誤魔化しきれなく

 なりそうだな。

 おい、アンタ!いい加減に正気を取り戻せ!」

 

 「んゔおおおおおおお────!」


 (こりゃ、いよいよ化け物だな。

 このままじゃ更なる被害者を生みかねない。)


 「アンタには悪いが、カタをつけさせてもらう

 ぞ。無傷…って訳にはいかなそうだが

 一気に体力を削るのが得策か…なら……!」


 ───────白い光がユーゴを包む。


 ───────聖なる十字架(ホーリークロス)───────

 「聖属性!?」


 「こりゃどっちが化け物か分かんないっすね…。」


 魔法名と共に白い十字架がウォーレン・バッカスに

 降り注ぐ。


 「何て威力ですの…。」


 「決まった…っすか?」


 辺りに砂埃が舞い、その中から人影が…。


 「どっち…ですの…?」


 そして、姿を現したのは気絶した

 ウォーレンを抱えたユーゴ…

 その瞬間、生徒達から大歓声が上がった。


 「うおーーーーーーーー!!!!!」


 一部始終を陰から見ていた者が居た─────。

 その後、騒音を聞き他の教師達が駆け付け

 負傷した生徒の手当てを…。

 アウラとディオンは既にユーゴから治療を

 受けていた為、教師達に事の顛末(てんまつ)

 説明する事となった。

 そしてユーゴは───────。


 ───────学院長室───────


 まさか1日に2度もこの大図書空間に来る事になると

 は思いもしなかった。


 「またやらかしたみたいだな小僧?」


 ミゼラは少し楽しげにユーゴに尋ねた。

 しかし、それも一瞬であった。


 「ユーゴ・ニルヴァーナよ。話は大体

 把握しているつもりだが、小僧の口から

 説明してはくれないか?」


 「はい───────。」


 ユーゴは何が起きたかを一から包み隠さず全てを

 ミゼラに説明した。


 「───────成る程。」


 「やむを得ないとは言え、騒ぎを起こした

 事に変わりはありません。

 処分は如何様(いかよう)にも…。」


 「うむ。先ずは顔を上げろ。」


 「はっ。」


 「私の目を視ろ!」


 言われるがまま、ミゼラの目を見つめた。


 「成る程…やはりか。」


 「何か“視えた“んですか?」


 「あぁ、少し記憶が戻った様だな?」


 「はい。」


 「貴様にかけられた封印魔法が一つ

 枷を外れたみたいだ。その結果

 一部の記憶と、多少の魔力も戻ったらしい。」


 (それにしても、我が学院の魔術専任教師を

 魔術で負かす程の魔力…それで魔力の一部とは…

 此奴の潜在能力は測りしれんものがある。

 これはそろそろ本腰を入れて調査すべきか…)


 「学院長?」


 「ん?あぁ、すまん。小僧にかけられた封印魔法

 だがな…少し厄介な代物の様だ。」


 「…。」


 「それで…一つ提案なのだが。私の研究に

 付き合ってはくれぬか?」


 「学院長の研究…とは?」


 「うむ。私は転移魔法を研究していてな。」


 「転移…魔法…。」


 「そう、転移魔法。それはこの世と別世界を

 繋ぐ魔法。だがこの魔法は一般には知られてない

 国宝機密レベルの魔法の一つだ。」


 「その様な魔法が…。しかし何故俺を?」


 「単刀直入に言う。小僧の知識を貸してほしい。」


 「俺の知識ですか。でも俺にはそんな知識は…」


 「分かっておる。だが、貴様の知識の中に

 私ですら知らぬ知識が存在している。

 その知識が私の研究に役立つやもしれん。

 で、だ。小僧は私の研究に協力を、

 私は小僧にかけられた封印魔法の解除に

 協力を。小僧の封印された知識と記憶が

 私の研究に役立つかもしれん。」


 「成る程…了解しました。」


 「それと、Sクラスに戻す…とまではいかんが

 毎度毎度、能力(ちから)を使う度に大事に

 なるのも面倒だろう。

 だから、そう言った面倒事に目を瞑ってやる。

 小僧にとって悪い条件では無かろう?」


 「…そう言う事なら是非。」


 「よし、決まりだな。後、これは言わずとも

 分かっているだろうが…」


 「この話は他言無用…とゆう事ですね。」


 「分かってるなら良し。これからも

 勉学共に励むがいい。行け。」


 「失礼します。」


 「あ、それとこれを持っておけ。」


 ユーゴはミゼラと協力関係を築きその場を後にし

 た。


 ───────Dクラス・教室───────


 話を終えたユーゴは自分の教室へと戻り──。


 「ユーゴ!」


 ディオンとアウラが真っ先に駆け寄ってきた。


 「ユーゴ、母様に呼ばれたと聞きましたが

 何か言われましたの!?」


 余程心配していたのか、その声は

 教室に響き渡った。


 「大丈夫だ。俺もお前達と同じ様に一部始終を

 説明を問われただけだ。」


 「でも、何でわざわざ学院長なんすか?」


 「…。まぁ、解決した者として変わった事が

 無かったか、学院側の落ち度も考慮して

 穏便に済ませたかったんじゃないか?」


 「あー、成る程っす…。」


 「お前達の方はどうだったんだ?」


 「私達の方は、簡単な事情説明って事で

 解放されましたわ。」


 「そうか…。」


 突然の魔力暴走、学院側の教師までもが

 暴走した事、そしてそれを解決した1人の生徒。

 多少の尾ヒレはついたが、一大事には変わらず

 話は一気に学院中に広まり、その日の午後の

 授業は休校となった。

 そして、去り際に渡された通信魔具が反応する。


 「───言い忘れた事があってな、貴様は

 これから学院寮住まいとする。」


 「監視…とゆう訳ですか。」


 「違う。小僧の能力(ちから)は未知数で強大

 だ。そして、少なからず見ていた者も居るだろ

 う。それを悪用しようとする輩も居るかもしれん

 からな。監視と言うより保護と言う事だな。」


 「ですが、そんな急に…」


 「案ずるな。ロウにも話はつけてある。

 まぁ、そおゆう事で学院寮までの案内も

 待たせている。ではな。」


 一方的な話は一方的に終わった。


 「待たせているって言ってたが、場所も

 誰かも聞いてないんだが…。」


 激しい足音が近付いてくる。

 それは目の前で止まり───────。


 「兄さん!!」


 「リーシャ?どうした急に。」


 「どうした急に。じゃないわよ!話を聞いたわ!

 授業での出来事、それと学院寮に入るって事!」


 「心配かけたな。すまん。」


 「そりゃ勿論…で、兄さんは学院寮については

 了承したの?もしかして無理矢理…」


 「いや、俺の意思で決めた事だ。」


 「でもそんな急に寮生活なんて…まさか父さん

 と学院長とで話がついてたって事?!」


 「そうみたいだな。」


 「そんな…酷い。勝手に決めるなんて…。」


 「まぁ、ニルヴァーナ家にこれ以上

 迷惑をかける訳にもいかないしな。」


 「迷惑だなんて!兄さんは人が良すぎなんだよ。」


 「それに、お前とは学院で毎日会えるしな。」


 その真っ直ぐな瞳とストレートな発言に

 リーシャは顔を赤らめた。

 そして、また一つの足音が近付いてくる。


 「学院寮の場所とかは聞いてるの?」


 「いや、それはこれから…」


 「こちらにいらっしゃったんですのね!?

 門前でずっと待ってましたが一向に来る気配が

 無かったのでまさかと思い教室まで

 戻って来たら…」


 「案内人とはお前の事だったのか…」


 「またブラコンおてんば娘ですの?!」


 「何ですってえええええ!」


 ─────────────────────



 ──────そうして、激動の1日が終わり

 ユーゴ達は帰路についた。──────

第7話も最後まで読んで頂きありがとうございます!

まだまだ続きますので、お付き合いください。

もし楽しんでもらえたなら評価やブクマしてもらえるととても嬉しいです!

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次回、学院編8話 昇級試験

お楽しみください!

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