表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
12/14

学院編最終話 卒業と涙が示す道筋

班な投稿ですいません!


気に入ってもらえたらコメント、感想、評価、ブクマしてもらえると大変嬉しいです!


 「出ろ、ディオン・マクシミリア!」


 ───────頼んだぞ…───────


 ────何すか?オイラに頼むだの何だの、

 オイラが言う通りに動くかどうかなんて

 分からない筈っす。もしオイラが

 言う通りに動かなかったら?それ以前に

 そもそもオイラの無事すら保証さえされて

 無いってのに!自分勝手が過ぎるっすよ。

 じゃあ何でオイラにこんな事を頼んだか…

 答えは…オイラの正体を知っていた

 学院長先生。なら両親の事も…

 それを知りたがってるのを見抜いていた?

 いやその先に何があるのかも…

 そして、それには少なくとも協力者が必要で

 中には当然あの人の協力も──────


 「全部筋書き通りって事っすか…。」


 小さく笑いながらディオンは呟いた。


 「何か言ったかディオン・マクシミリア?」


 「何でも無いっすよ。で、何処に連れてく

 つもりっすか?」


 「…。上層部の方々がお待ちだ。」


 「やっと対面って訳っすね〜。」


 (何故って言う疑問は残るっすけど…)


 ────ガルバイン城・客室───────


 「お連れしました。」


 「入れ。」


 扉の向こうから聞こえてくる低い男の声。

 そしてディオンは中へと入り、その男と対面した。


 ───────ガルバイン国立学院───────


 その頃、各教室ではHRが開かれていた。


 「いいか、お前達!毎年の事だが、いよいよ

 未来を決める為の時間だ。どの道に進むにせよ

 自分で決めるんだ。自分の可能性を!」


 各生徒は昇級を望み学院に残る者、

 昇級を諦め家に帰る者、最上のクラスで

 自由に道を決める者と定められた道を進む者。

 様々に分かれるが悩める時間は多くはない。

 各々、色んな思いを胸に抱き葛藤する時期。

 ユーゴ達もまた例外ではなく────。


 「ユーゴは何か決まってんのか?」


 「ん?あぁ。ヒューズは?」


 「俺はまだ何も決まってねえなあ。」


 「私は決まっているよ!」


 「誰もアンタの道なんて興味無いわよ〜。」


 「リーシャ君!あんまりじゃないか!」


 「リーシャって相変わらず容赦無いよねぇ?」


 「アルティ。で、そんなアルティは?

 何か決まってるの?」


 「あたしはとりあえず家に戻ろうと思ってる!」


 「そうなんだ…やっぱり体の事で?」


 「うん。でもずっと家にこもるつもりは無いよ!」


 「アルティナ君も大変だねぇ。でも、安心

 したまえ!私が研究者となって様々な知識を

 身に付けたあかつきには君の病弱体質も

 何とかしてみせるさ!」


 「え?!バーゲンさんは【王国魔術研究者(リサーチャー)

 志望だったんですかぁ?」


 「意外かウィ?まぁ私も色々考える事があってね

 自身の体質や病に苦しむ人達の為になりたいと

 思ったのだよ…。」


 「バーゲン…。」


 (恐らく、家の事がキッカケなのだろう。)


 「アウラさんは、どうするんですかぁ?」


 「私…ですの?私は…」


 皆がアウラに注目しているが、暫く沈黙が続く。

 長い沈黙の後、口を開く。


 「私は、母様を探します!例えどれだけ

 時間がかかったとしても!」


 そこには強い意思があった。誰も反対はせず

 しかし肯定も出来ずにいた。

 そして皆がそれぞれの思いを抱き運命の日を

 迎える事となった。


 ───────学生寮・男子棟───────


 いつも通り学院から寮へと帰るユーゴ達は自分達の

 部屋へ戻るユーゴとヒューズは部屋の扉を開け

 直ぐに異様な魔力を感じた。


 「この魔力は…確か!」


 特に部屋を荒らされた形跡もなく、ただ机に

 一通の手紙が置いてあるだけだった。


 「これは…ディオンからだ。内容は……?!」


 「どうしたユーゴ!何て書いてあるんだ?」


 「この内容が事実なら…ヒューズ。この内容は

 聞いたら後戻りは出来ないが、それでも

 知りたいか?」


 「少なくともお前はその内容を知った。なら

 俺が関わるには十分だぜ。」


 ───────翌日。


 ユーゴ達はいつものメンバーで集まった。


 「今日集まってもらったのは皆に

 聞いてほしい事があるからだ。だが

 聞く義務は無い。」


 「でも兄さんはこうして皆を集めた。

 少なくとも聞く権利はある筈だわ!」


 「まぁ、そうだな。これから話す内容は

 皆の未来を変えてしまうかもしれない内容だ。

 そして…アウラ。お前は知っておくべきだ!」


 「…私?」


 「ああ。実は昨日、俺達の部屋に手紙が

 置いてあった。そしてその内容は───。」


 ──────────────


 「母様が地下牢に囚われてる…ですって?

 一体何故…それに何でディオンが!」


 「落ち着けアウラ!」


 「落ち着ける訳ありませんわ!今すぐ助けに

 行かないと!」


 「気持ちは分かるわ!でもこれはそんな

 簡単に動いて何とかなるとも思えない。」


 「それで?ユーゴ君はどうするつもりだウィ?

 今私達に話したと言う事は何か解決策でも

 考えているんじゃないかね?」


 「そうだ。だがそれが正しい事とは限らないし

 必ずしも望んだ結果が得られるとも限らない。

 …それでも聞く覚悟はあるか?」


 皆の顔には迷いが無く、覚悟を決めていた様だ。


 「え〜っとぉ、あたしは力不足かもですけどぉ、

 皆の力になれるなら協力したいって思いますぅ。」


 「流石アルティね!兄さん、私も同じ気持ちよ!」


 「勿論私もだよユーゴ君!是非私の力も

 利用したまえ!」


 「よし、分かった。なら聞いてくれ、ミゼラ

 学院長の救出作戦を────。」


 ───────作戦当日。


 朝早くから皆は集まり作戦の準備を始める。

 皆の決意は固くアウラの目には闘志が宿っている。


 「よし、これより作戦の再確認をする。

 先ずは撹乱するチームと救出するチームに

 分かれる。撹乱にはヒューズ、リーシャ、

 バーゲン。存分に暴れてくれ!」


 「おうよ!任せとけ!」


 「そして救出チームには俺とアウラ、そして

 アルティナだ。こっちはいかに慎重に

 地下牢まで辿り着けるかが鍵になる。」


 「勿論ですわ!」


 「頑張りますぅ。」


 「でも撹乱に3人だけって大丈夫なの?

 仮にも王国を相手にするって事なんだけど…」


 「心配は無用だ。よし作戦を開始する。

 頼んだぞお前達!」


 「うん!」


 「任せたまえ!」


 ───────ガルバイン城・門前───────


 「何だ貴様等?!変な格好で怪しい奴等め!」


 「捕らえろ!」


 「そう簡単に捕まる訳にはいかないのだよ!

 先ずは私から行かせてもらおう!」


 ───────【砂嵐(サンドストーム)】───────

 「くそっ!砂が、目に!!!」


 辺り一帯を砂荒らしが襲い門番兵の

 視界を奪った。


 ───────救出チーム───────


 「よし、向こうのチームは上手く始めたみたい

 だな。俺達も行こう!」


 城の裏側から侵入するユーゴ達。


 「本当に裏から入れますの?」


 「下調べは済んであるし、城内の構図も

 頭に入ったある。」


 「ユーゴさんってぇ、何者なんですかぁ?」


 「さぁな。お喋りはここまでにしてそろそろ

 動くぞ。」


 ユーゴは知っていた。地下牢への入り口が

 城の裏側にある事を、身をもって知っていた。


 ───────撹乱チーム───────


 門前では未だ戦闘が続き、城から応援が

 駆けつけ更に激しさが増す。


 「早速は城守ってるだけはあるわね。」


 「感心してる場合かよ!このままじゃ

 ジリ貧だぜ。」


 「私の魔力もそろそろ尽きそうだよ。」


 撹乱チームは相手の数に圧倒され始めた頃…。


 「そんなもんっすかあ?【黒闇(こくえん)】!」


 「この声は?!」


 「ディオン!!!アンタ地下牢に居る筈じゃ?!」


 「結構前に解放されたっすよ〜。それより

 今は目の前の敵っすよ!」


 「頼もしい限りだ!」


 ディオンが加わった事で一気に戦況が変わった。


 ───────救出チーム───────


 奥深くへ続く長い廊下に長い階段を駆け下りて

 いくユーゴ達はやっとの事で地下牢に辿り着いた。


 「ここまで誰にも気付かれないどころか

 誰とも合いませんでしたが王城っていつも

 こんな感じなのかしら?」


 「皆出掛けてるんですかねぇ?」


 「いや、この地下牢に続く廊下には基本人は

 居ない。恐らく今は地下牢にも人は

 配備されてないだろう。」


 「お詳しいんですのね?」


 「…。それよりここからは手分けして探すぞ。」


 ユーゴとアウラとアルティナは3つに分かれて

 ミゼラを探す事にした。


 「母様!?何処にいらっしゃるんですの?」


 「学院長〜?居たら返事してくださ〜い。」


 (何処だ?何処に居る?まさか…もう…。)



 少ししてユーゴはある物を見つけ───────




 ───────「アウラ!」


 アルティナとアウラはユーゴの元へ

 駆け寄った。


 「見つけましたのユーゴ?!」


 「見つかりましたかぁ?」


 アウラはユーゴの手に目をやる。


 「そ、それは母様の…腕輪…」


 「あぁ。いつも身に付けていた腕輪だな。

 そしてアウラ、それがここに落ちてると言う事は

 そう言う事だろう。」


 「い…や…。嫌、嫌ああああああああ!」


 アウラの叫び声は地下牢に響き渡った。


 「アウラ!しっかりしろ!とにかくここから

 出るぞ!」


 ユーゴが叫び続けるアウラを外へ連れ出そうと

 するが、アウラはそれを聞こうとはしない。


 「アルティナ!」


 「ひゃい!」


 急に呼ばれ慌てるアルティナ。


 「アウラに睡眠魔法をかけろ!」


 「わ、分かりましたぁ。【スリープ】。」


 「い…や…」


 嫌がる無理やりアウラを眠らせユーゴはアウラを

 抱えて城から脱出をし、撹乱チームに知らせる為の

 信号弾を打ち上げた。


 ───────撹乱チーム───────


 「おい、ユーゴ達が出てきたぞ!撤収だ!」


 「兄さん…やったのね。」


 リーシャ達が逃げようとしている事に兵は気付き

 声を挙げた。


 「奴等を絶対に逃すなああ!」


 「ちっ、そう簡単にはいかないっすね!」


 「私に任せたまえ!!【砂流壁(サンドウォール)】!」

 地面から広範囲に砂の壁が現れ敵を囲み込む。


 「よし、今の内にずらかろうぜ!」


 リーシャ達はバーゲンの魔法により足止めされてる

 兵から逃げ出した。


 ──────────────。



 ───────合流地点───────


 後から合流したリーシャ達は既に辿り着いていた

 ユーゴ達を見てただならない雰囲気である事を

 悟った。

 そしてアウラは俯いていた。


 「リーシャ…お前達も無事だったか。やっぱり

 来てくれたんだなディオン。」


 「そりゃ来るっすよ〜。で、作戦は…成功

 って訳にはいかなかったっすか…。」


 「あぁ。一足遅かったみたいだ…」


 (予想はしてたっすけど…。)


 「アウラ…。こんな時に何か出来れば…。

 私は何て無力なの…!」


 リーシャは血が出るほど唇を噛みしめた。


 「アウラさん。学院長、お母様の事は

 本当にお気の毒でしたぁ。ですけどぉ、

 何が起きても、前に進み続けないと駄目ですぅ。」


 「ちょっ、アルティ!?」


 「リーシャは黙っててくださいぃ。アウラさん。

 前に進む為には何か目標や目的が必要ですぅ。

 ですけどぉ、悲しい時は泣いても良いんですぅ。

 涙は出せる時に出さないとぉ、そのまま進むと

 出し方忘れちゃいますよぉ?

 そして、泣いたらその分前に進みましょ〜!」


 「アルティナ君…確かに君の言う通りだ!」


 「母様…母様…!」


 そのままアウラは膝から崩れる様に泣き崩れた。

 泣いて泣いて泣き叫んで…涙が枯れるまで。


 ──────────────。


 「皆さん、みっともない姿をお見せしましたわ。」


 「仕方ねえよ。テメェの親が死んじまったんだ。

 泣いて当然だ!」


 「ありがとうございます。皆さんのおかげで

 決心がつきましたわ!」


 「決心?」


 「ええ。学院を出た後に何をするかを。

 それを実行する決心を!」


 「こんな時に…いや、こんな時だから

 こそっすか。」


 「そうね。こんな時だからこそ私達も

 覚悟するべきよね。」


 「…そうだな。」


 「皆で助け合いましょ〜!」


 そうして、それぞれ進むべき道を自身で再確認し

 新たに決意を新たにし覚悟を決めた。

 

 ─────────────────────


 月日が経ち───────。



 ───────卒業式───────


 学院長から生徒達へ送られる様々な言葉。

 涙する生徒や教師達。

 ユーゴ達も全員出席していたが涙は流す事は

 無かった。

 そのまま卒業式は無事終わりユーゴ達は集まった。


 「皆揃ったな。ディオンが居ないのは仕方がない

 として…。」


 「まぁ彼は魔人だしねぇ。」


 「魔人が卒業ってのも笑えるわなあ!」


 「そんな訳だ。今後恐らくこうして皆が

 顔を合わせる事も難しいだろう。だが

 各自、すべき事は明らかになった!

 進む道は違っても何れ集まる事もあるだろう。

 だから今はこれだけ伝えておく。

 またいつか、何処かで会おう!」


 「十分ですわ!」


 「そうですねぇ。またお会いしましょ〜!」


 「ウィ〜!楽しみにしているっ!」


 こうしてまた会おうと言う言葉を胸に

 それぞれの道を歩み出した。


 ─────────────────────


 ──────────────


 ───────


 そして時は経ち────。



 ────ガルバイン国立学院・学院長室───


 ───────コン、コン。


 「入りなさい。」


 「失礼します。本年度の新入生の試験結果が

 出揃いました。」


 「成る程…これはこれは。」


 「どうか…なさいましたか?」


 「いえ、本年度は中々の粒揃いですのでつい…」


 「そうでしたか。

 しかしその様に笑われるのは

 初めて目にしました…。」


 「ふふ。そうかしら?」


 「ええ…」


 ───────。


 ───アウラ・ニュー・ファーリア学院長。──

12話も最後まで読んで頂きありがとうございます!


第一章学院編はこれで一区切りになります!

まだまだ続きますので、宜しくお願い致します!

もし楽しんでもらえたなら評価やブクマしてもらえるととても大変嬉しいです!

評価は下の方にボタンがあるのでポチッとお願い致します。

※設定やタイトル、サブタイトル、その他細かな部分などちょこちょこ変えたりしますがご了承下さい。


次回新章 王国騒乱編 1話 それぞれの道と忍び寄る影

お楽しみください!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ