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ムラマサの子供【三】

「ふむ。これはちと、予想外じゃな」

 マミゾウは大量に集まって来た動物達を空から見渡しながら、ポツリと呟く。

 マミゾウの計画では動物に作用するなんらかの能力で動物を減少させ、物価の値が上がってから動物を捕らえて売り捌くつもりでいた。

 勿論、足の付かぬようにこっそり行う気であったが、マミゾウの誤算は雷鼓の思いと妖力を受け継いだムラマサの娘が全然、言う事を聞かぬところと幻想郷中の全ての動物を集めてしまったところであった。

「まさか、動物を惹き付ける程度の能力とはのう。

 儂が犯人の片棒とはバレる事はないじゃろうが、このままではボロが出るやも知れん。

 ーーとは言え、子分達まで儂の命令を聞かなくなる程に魅了されるとは」

 マミゾウは腕を組んで考え込むと瞼を閉じて心の赴くままに奏でるムラマサの娘を一瞥する。

「やはり、あやつをどうすべきかかのう」

 そんな風に考え込んでいるとパシャリとシャッター音がした。

 頭上を見れば、烏天狗の射命丸文しゃめいまる あやがいた。

「あ、ありゃ?お前さん、いつからそこにいたのかの?」

「貴女が予定外と言った段階ですよ」

 そう言って文はニッコリと笑うともう一枚写真を撮る。

「これが化け狸の仕業と解れば、里の人間はどう思うでしょうねえ?」

「……目標はなんじゃ?ーーとは、聞かなくとも解る」

「そうですか」

 文はそう告げると真剣な表情になり、天狗の団扇を手にする。

「イレギュラーなんですよ、貴女は。やり過ぎたんです」

「おやおや、天狗も今回の件に関してはご立腹かの?」

「妖怪の山の動物達を解放しなさい。

 これは大天狗様直々のご命令です」

「そうしたいのは山々じゃが、あやつが素直に従うか……」

 そう言って視線をムラマサの娘に向けると彼女もそれに気付いたのか、曲を変える。

 その瞬間、動物達が一斉にマミゾウ達に集まって来た。

「お?此方の意図が解ったかの?」

「なんだ。彼女も解っているじゃないですか?」

 そう言いながら二人が着地して動物達に触れようとした瞬間、曲が突然、止まる。

 それを合図にして凶暴化した動物達が一斉に彼女らに飛び掛かって行く。

「いたたたたた!これ!噛むでない!」

「ちょっーー誰ですか、私の羽をむしるの!?」

 そんな凶暴化した動物達とマミゾウ達が格闘している間にムラマサの娘は姿を消す。

「しもうた!逃げられたわい!」

「何をやっているんですかっ!このっ!獣風情が調子に乗らないで下さい!」

「なにやってんのあんたら?」

 そんな事をしていると霊夢達がやって来て、二人を見下ろす。

「おおっ!霊夢か!丁度良い!

 この獣達を鎮めてくれ!」

「悪いけど、あんたらは後回しよ」

「そんな殺生な事は言わないで下さいよ!

 お礼にこの化け狸の仕業について、お教えしますから!」

「なっ!?汚いぞ、烏天狗!自分だけ助かろうなど卑怯にも程がある!」

「残念ですが、私は妖怪の山の動物を解放が目的であって、貴女の計画に加担した訳ではありません」

 罪を擦り付け合うーーもとい、一蓮托生と言わんばかりに叫ぶマミゾウに文はそう告げると霊夢を見る。

「霊夢さん。今回の一件については天狗はシロです。断言しても構いません」

「ふうん。あ、そ。まあ、詳しい事は魔理沙にでも説明なさい」

「ちょ、ちょっーー私を置いていく気か!?」

「私はこの異変を起こした奴を退治する。

 あんたは事情聴取する。嫌とは言わせないわよ」

「ーーったく、仕方ないんだぜ。精々、気を付けろよ」

「解っているわ」

 霊夢は魔理沙にそう告げると直感に任せて飛び去って行く。

 それを見送ってから魔理沙は動物に噛まれるマミゾウと文の二人を眺める。

「さて、どんな悪巧みを考えていたか、話して貰うぜ」


 ーーー


 ーー


 ー


 霊夢は森の中で気配を探り、ムラマサの娘と対峙する。

「あんたが今回の黒幕ね?」

 その言葉にムラマサの娘は首を捻る。

「惚けたって無駄よ。あんたがした事は異変なの。

 異変である以上、私はあんたを退治する……それだけよ」

 霊夢が戦闘モードになり、飛び掛かって行く。

 その瞬間、ムラマサの娘が飛ぶ斬擊を放つ。

「小細工が私に通用する訳ないでしょ!」

 霊夢は陰陽弾を飛ばし、彼女を封じんとする。

 それを回避するとムラマサの娘が笛剣を奏でる。

 それは勇ましい曲であった。


 ーー次の瞬間、ムラマサの娘の姿が金色の鎧を纏う姿に変わる。

「本気になった様ね?ーーでも、勝つのは私よ!」

 そう言って満月に照らされた薄暗い森で霊夢とムラマサの娘の弾幕バトルが開始されるのだった。


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