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裏・神隠し【一】

 人間の里を巡回しながら返り血を浴び過ぎて赤黒くなったボロボロの着物の裾を靡かせ、俺は辺りに変化がないか見渡す。

 すると俺は如何にも外の世界からやって来ましたって服装のガキに近付く。

「よう」

 俺が声を掛けるとそのガキはビクリと肩を震わせ、恐る恐る此方を見る。

「な、なんだ、お前は?」

「おいおい、なんだはないだろ?

 ビビり過ぎだぜ、ガキ。その様子じゃ、幻想郷に来てから間もないって感じだな?」

 俺はそう言うとニタリと笑って真紅の瞳でガキを見下ろす。

 それを見て、ガキが歯をガチガチさせ、恐怖で震える。

「俺の名は妖刀ムラマサ。かの有名な妖刀村正伝説から産まれた刀の付喪神だ」

「つ、つくもがみ?」

「まあ、分かりやすく言うのなら、妖怪ーーまたは化けモンって事だ」

「よ、ようかい!?」

「だから、ビビり過ぎだって言ってんだろ?ーーったく、こちとら、親切で声を掛けてるだけだっつうの」

「ご、ごめんなさい」

「そう思うなら、ビビるんじゃねえよ。

 別に取って喰ったりしねえから」

「ほ、ほんとうに?」

「ああ。俺の役目は幻想郷を影から守る事だ。

 お前みたいなガキを守るのも俺の役目みたいなモンだしな」

「あの、げんそうきょうって?」

「あん?幻想郷が解らないって?

 最近じゃ、久しいパターンだな?」

 俺はそう言うと笑みを強めた。

 それを見て、ガキが更に震え、今にも小便を漏らしちまいそうな泣きそうな顔になる……そんなに怖いか、俺って?

 こう言う時、あいつがいると良いんだが……。

「あ、ムラマサの兄さん!」

「おう、雷鼓か。丁度良い時に来たな?」

 俺は人混みから手を振って駆け寄って来る赤い髪の女ーー雷鼓に振り返る。

「こんな大通りでどうしたんですか?」

「ああ。また外来人がな?」

 俺はそう言うとガキに顔を向ける。

 雷鼓も視線をそちらへ向けると優しく微笑む。

「あら、これはまた可愛い外来人ですね?」

 雷鼓はそう言うとしゃがみこんでガキの視線に目を合わせる。

「ボク、幾つ?」

「な、七才になりましゅ!」

 一丁前にガキは雷鼓は色気付いたらしく、頬を赤らめながら雷鼓の顔を見詰めて返事する。

 さっきまで俺にビビっていたのが嘘みたいだ。

「私は堀川雷鼓ほりかわ らいこだよ。えっとーー」

「ぼ、ぼく、ツトムって言います!」

「ツトム君か。改めて宜しくね?」

「は、はい!よろしくおねがいします!」

 俺はチラチラと雷鼓の下を気にするツトムに声を掛ける。

「あっと、ツトムだったな?」

「は、はい!」

「話の続きだ。幻想郷ってのは、まあ、人間と妖怪なんかの共存する楽園だ。

 幻想郷は外の世界と隔離され、あっちで忘れ去られた存在や無意識な者などしか来れない。

 だから、大抵、発見される外から来る奴ーー外来人は意識や記憶を失ってるってパターンが多い訳だ」

「ど、どうすれば、帰れますか?」

「あん?戻りたい場合か?」

「ひぐっ!?」

「兄さん。ツトム君を怖がらせちゃ駄目ですよー」

「俺としちゃあ、そんなつもりは全くないんだがな」

 俺はビビるツトムを抱き締める雷鼓にそう言って頭を掻く。

「帰りたいなら博麗神社へ行きな。

 そこにいる現在の巫女ーー博麗霊夢はくれい れいむに事情を説明すると良い」

「はくれいじんじゃですね?……わかりました!」

「まあ、それも無事に霊夢の元に着ければだがな?」

「兄さん!怖がらせちゃ駄目ですよ!」

 俺がボソッと呟くと雷鼓が嗜める。

 だから、俺にそんな気はねえって言ってんだろうが?

 俺は溜め息を吐いて肩を竦めると雷鼓はツトムの頭を撫でながら優しく囁く。

「大丈夫。お姉さんとムラマサの兄さんが神社までついてって上げるから」

「おい。何を勝手に俺まで巻き込んでやがんだ?」

「たまには良いじゃないですか?

 私のお願いを聞いて下さいよ?」

「ーーったく、仕方ねえな」

 俺はもう一度、溜め息を吐くと雷鼓と共にツトムを神社まで送ろうとする。


 ーー悲鳴が上がったのは、その時だ。


「すまんな、雷鼓。後を任せる」

「え?ちょっーー兄さん!?」

 俺は雷鼓の叫びを聞きながら、悲鳴の上がった方へと疾走する。

 そこで見たのは腰を抜かす里の人間達と血塗れの子供の遺体だ。

「おいおい、マジかよ?」

 俺はその遺体の顔を見て呟く。

 その顔はツトムのものだった。


 なら、さっきの奴は?


 俺は急いで来た道を引き返す。

 来た道を戻ると雷鼓とツトムの後ろ姿が見えーー


 ーー眼前で消えた。


 やれやれ。こりゃあ、また厄介な事になりそうだ。

 俺はそう思いながら、霊夢の元へと向かう。

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