37話暴喰の宴と天界への門
魔王城三階層
「はぁ はぁ はぁまさかここまで強いなんて聞いてないよ。」フレデリックは、ようやく自分と戦っている相手が圧倒的格上だということに気づいた。
「こんなものなんですか?守護者って。」(やっと強い相手だと思ったのに、残念です。)
「これだけは使いたくなかったんだけど、仕方ないよね。僕の命を代償に君を殺す。[死共鎖]」フレデリックとマナが鎖で繋がれる。
「これはなんです?」
「これは[死共鎖]。片方が死ねばもう片方も死ぬ、この世界で僕だけが使える道連れ専用の技だよ。」マナの問いにフレデリックは答える。
「確かに君は、僕よりも圧倒的に強い。だがこの技なら君を確実に殺せる。さあ終わりだ。」そう言うとフレデリックは手に持っていた剣で自分の腕を切る。するとマナの腕も切れ、地面に落ちた。
「厄介な能力。これは下品だからパパの前では使わないようにしてた技だけど、今はいないから使うです。[暴喰の宴]」突然マナの影が化物のような形になり鎖を食べた。するとフレデリックとマナを繋いでいた鎖が消えた。
「そんな馬鹿な!僕の[死共鎖]が消えるなんてあり得ない。何をした。」
「[暴喰の宴]は、全てを食べる私のユニークスキル。このスキルは飢えを満たすまで止まらない。そして全てを食べ尽くす。」
「くそっ[ダークボール][ダークボール][ダークボール][ダークボール][ダークボール][ダークボール]!!」フレデリックは、ひたすら[ダークボール]を打った。だがそれらは全て化物に喰われていく。そしてそれは、フレデリックの存在すらも喰った。
「さよならです。」幼き少女は笑顔で言う。
「それじゃあ私も魔力を与えるです。」暴喰の宴[]の欠点、それは飢えを満たすことができなければ、使用者本人さえも喰らってしまうことだろう。
「今日は結構少なかったです。」すると階段から足音が聞こえてくる。
「誰ですか?」マナは落ちていた腕をくっ付け戦闘体勢をとる。だが上がってきたのはルーシェとレーネを担いだロイだった。
「えっと、確か君は。」
「マナです。」
「マナちゃん!!良かった無事だったんだね。」レーネは、飛び降りてマナに抱きつく。
「苦しいですよ。レーネそれに私は強いですから。それで何故その人がここにいてレーネ達を担いでいたのですか?」
「それは................」レーネは、今までのことを全て話した。
「そうなんですか。アルヘルトさんは死んだんですか。それは、パパが悲しんでしまうです。アルヘルトさんの為にも速く上にいきましょう。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
魔王城四階層
「大口を叩いた割には弱いね」ギスランは、渉と戦っていた。だがこの闘いは、渉の防戦一方のように見えた。
「僕には僕の闘いかたがあるんだ。」渉は[ダンタリオン]を構えながら盾魔法で攻撃を防ぎつつ、ギスランのまわりを走りながら戦っている。
「俺は一歩も動いてないよ」
「いやこれでいいんだ。」
「何を企んでいるかは知らないけど、この体は全てのコアを破壊しないと再生するし、さらに並の魔法じゃ傷すらもつけられないほどに固いんだから。」渉は、そんなことはわかっていた。(この作戦を成功させるには…)次の瞬間渉は攻撃を受けその場に倒れた。
「あ~あこれで終わりだね。[地獄の業火]」黒い焔が渉を襲ったように見えた。しかし、既にそれは発動していた。
「天界への門!!」それは、[地獄の業火]を防いだ後扉が開き、ある人物達が出てきた。
続く




