6.4人目の攻略対象と5人目の攻略対象登場。
月曜日から金曜日までの連載にさせて頂きます。そして、ストック切れになったら、週に2、3日の掲載になるかもですが。
私とした事が、うっかりしておりましたわ。ミヒャルド様兄妹を出し抜いて、辺境の地へと仕事をしに来たのですが、自邸から抜け出す事ばかりに集中してしまい、つい攻略対象のいる街に瞬間移動してしまうとは、私としては、本当に不覚です!!
ちなみに、今自邸には分身の魔法を発動しており、並行して物事を進めております。正直、時間移動を使っても良かったのですが、何が起きているのか、整理しなくてはいけず、面倒です。しかし、同時に、物事を進めるのもつらいですよ。映像が同時に反映されます。けれども、頭脳は一つですから、こちらも中々情報が追いつきませんが、時間移動よりは、魔力の消費も抑えられます。
・・・何が言いたいかと申しますと、私は度々ギルドでの仕事をしに、街を転々としているのです。そうすれば、下手に人の記憶に残る事はないですし、もうミヒャルド様みたいな出来事は勘弁ですの。今度の街は、エスカルドの街で海に面しており、他国との貿易も盛んであります。人も大勢おりますし、そう簡単には攻略対象に出会う事はないでしょう。
さて、ギルドに向かいますよ。
~~~~~~~~
この街のギルドは人で賑わっており、私が軽く仕事をしても、ギルドを運営している人達の記憶にはあまり残らないのは、好都合なのかもしれません。今日も一仕事しましょうか。
と言った傍から、問題発生です。性質の悪い人達に絡まれてしまいました。簡単に言えば、パーティの勧誘ですが、どうにも胡散臭い気が致します。ちょっと、心を読んで、調べてみましょうか。
☆☆☆☆
・・・なるほど。この方達は弱そうな方、好みに合う方、その時の気分次第で、自分達のパーティに勧誘して、パーティを組んだら、人気のないところで痛めつけ、最終的にはその方を殺してしまう。所謂闇パーティですね。どう致しましょう?私が軽くその存在ごと消して差し上げましょうか?
そんなダークな一面を見せながら、誘いを受けようとしたその時。私を後ろから抱き締め、闇パーティの方々の誘いを断る声が上がる。後ろを振り返ると、この前のお茶会では、会わなかった辺境伯の息子、つまり攻略対象に出会い、助けられた形になりましたね。
「この人は、俺達のパーティのメンバーだから、俺が代わりに断るわ。」
・・・断ってしまったら、この人達はまた犯行に及んでしまいますよ!私はキッと軽く睨み付けます。しかし、気にせず私を闇パーティの人達から遠ざけました。流石、辺境伯の息子。正義感はかなりお持ちの様子。
離れた場所で、その人、ラファエル・リーフェ・グライシエ様は険しい表情を浮かべ、私に注意する。
「お前、ここら辺じゃ見かけない顔だが、あいつらいい噂聞かねーから、俺に感謝しろよ。」
ラファエル様は相変わらず上から目線ですね。辺境伯の息子で、生まれ育った街にはとても愛着と誇りを持っており、そこで行われる犯罪には目を凝らしています。よりいい街にしたいからでしょうね。正義感が高いのは良い事ですが、でも、上から目線は頂けないですね。
・・・いや?それを利用しましょうか。好意を持たれないように。って、私も大概、勘違い野郎な感じもしますね。野郎ではないですが。私は腕を組み、ふてぶてしい態度を、雰囲気を漂わせる。
「あら、別に私がどのパーティに入ろうと、貴方には関係ないではありませんか?」
そうすると、ラファエル様はやはり挑発に乗ってきます。
「てめっ、俺が誰とも知らねーで、のうのうと。」
そこに、とある人が割り込んできます。
「まぁ、落ち着いて。ラファエル。ここら辺で見かけない人なら、この街に初めて来た人かもしれないし。ラファエルの事も知らないのかもしれないよ?」
唯一の、元々から平民である攻略対象。ルーマ・トルテ・シスプラン様。ラファエル様の、貴族ー平民の身分差を越えた唯一無二のご親友であります。性格は、穏やかで、爽やかイケメンです。ラファエル様に対しては砕けた口調で話しかけられます。
この人に関しては、常識人であると思うので、特に策を考えなくてもいいかもしれませんね。ラファエル様に関しては、上から目線で嫌われましょう。この人は、人を好きになったら一直線ですから。
「私の邪魔をなさらないで、くださいね?」
悪役令嬢らしく、口角を上げて笑う。(ただし、目は笑っていませんが)
あぁ、どうやって、先程の人達を一網打尽に致しましょうか?
今回、メアリー様ダークです。