4.初めての教育係。
ミヒャルド様回。
まさかの事態でございます。ミヒャルド様が私の教育係になりました。あれから、ミヒャルド様は妹さんと共に学校に通われているのですが、たまたま、私の父がディアラント王立学園の訪問をしていた際、ミヒャルド様達、兄妹を見て、うちに来て、私の学業の教育してくれないかと頼んだそうなのです。フォンラージュ家とシューリッヒ家は縁があったようで、それでミヒャルド様達は快く了承したのです。
・・・。
私は平気ですよね?ちゃんと、幻影で誤魔化していましたよね!?なら、大丈夫なはずです。なら、張り切っていきましょう。
~~~~~~~~
「もしかして、私達を助けてくれた方ではないですか?」
ミヒャルド様は私を見るなり、こう発言なさいました。・・・これ、私の父の事を言っているのですよね?そうですよね?そうであってほしい!!
「あ、私の父の事ですか?それならば、問題ないのですよ。」
しかし、ミヒャルド様は断言なさいます。
「いえ、あの時私に学園に通えるだけの金貨を渡してくださったお方ですよね?」
ミヒャルド様の瞳はもう、隠せないぞと言っているようでございました。何でですか!?私の幻影は完璧だったはずです。バレる要素なんて、どこにもないはずですよ?
「・・・そんな事はないですよ。私はちゃんと自邸におりました。貴方の勘違いなのでは?」
「いえ、私の観察眼は伊達ではありませんよ。記憶のある限り、貴方で間違いないかと。闇魔法をお使いになるのですね?今度、旦那様に申し付けておきますね。」
ちょっと待って!!私は魔法を使えない設定で、自邸では過ごしておりました。ここで、魔法を使う事が知れ渡ると、私の人生に大きな問題が発生してしまいます!!しかし、すたすたと行ってしまうミヒャルド様。止めようとすれば、確実に今度は風魔法が使える事がバレてしまいます。ここは、我慢するしかないようですね。
くっ。私は将来平穏に暮らしたいだけなんです!!出来るなら、貴族から籍を抜けて、平民になって、過ごしたいものですね。前世では普通の女子高生だったのですから。
~~~~~~~~
早速ですが、お父様から喜びの声が上がりました。この世界では、闇魔法が危険とかそういうのはないのです。ただ、貴重なだけなんです!!しかし、ミヒャルド様は私の防御壁をぶち破るだけの魔力があり、魔法が使えるはずなのです。実際に、学園に通ったら、刺激を受けて、光魔法を発動なされたのだとか。
そもそも、それのせいで、防御壁をぶち壊されたのですが。はぁ・・・。私もまだまだという事でしょうね。ミヒャルド様は攻略対象の中で、一番の天才ですからね。二番目はランドール様ですが。流石に、ミヒャルド様から好かれる事はない・・・と踏んでいたのですが、たまに私の事を熱を帯びた視線で見つめてくるのです。
・・・どうか、私の勘違いであってほしいところですね。それとも、ロリコンですか!?私は5歳ですよ!?ミヒャルド様の妹さん、レイナ様とは仲良くさせて頂いております。ミヒャルド様とは、双子の兄妹なのです。無事に生きていけるだけの生活が送れて、大変嬉しく思っております。
レイナ様も、過剰なスキンシップが気になるのですが・・・。これは、友愛の印とでも思っておきましょうか。ゲームでは多くは語られなかったキャラクター。謎が多いのです。レイナ様も大変優秀なお方ですね。この方も光魔法を発動なさるなんて、やっぱり兄妹なのですね。
「メアリー様は大変、成績が優秀なのですね。私が逆に教わってしまいそうです。」
「そうですわね。お兄様。メアリー様は大変優秀な方ですわ。」
「ありがとうございます。大変優秀な方にそんな事を言われると嬉しく思います。」
確かに、学業で困る事はございませんもの。二人に来てもらうのは、大変申し訳ないと思うの。でも、そうしたら、今度は二人が路頭に迷う事になってしまうと思うと厚意に感謝しなくてはなりませんね。今度、何かお礼でもしようかしら。
私は、こっそりと街に出て、少しばかりプレゼントを用意しました。そして、私は二人にあげたのです。ネックレスを。可愛かったので、私もお揃いのネックレスを買ってしまいました。レイナ様向けに趣向を凝らしたので、ミヒャルド様には少しばかりお恥ずかしい思いをさせてしまうかもしれませんが、とてもお喜びになって嬉しかったです。
教育係の話なのに、全然勉強していませんね。