25.超越する時間2。
シュート編。
『グレイシア王子』とは場所も、変わって治安が悪い街、ディーデルの街。ここでも、“カリン”として、暗躍しております。よりによって、こんなところで、攻略対象を生活させないでほしい・・・と思うのですが、制作会社に文句を言えない立場になってしまいました。やろうとすれば、出来るかもですが。
『シュート』様をお救い致します。救うだなんて、烏滸がましいのかもしれませんが。でも、これも破滅フラグ・・・いえ、ヒロイン枠に移っておりましたね。メアリー・ラーゼ・フォンラージュ。その身に、“悪しき魔女”の力を宿しながらも、世界を救うー・・・。
早速ですが、『シュート』様を見つけました。『シュート』様はこの年でも、独学で魔法を学ばれ、ギルドで兄弟達を養っております。しかし、大半が両親に取られてしまいます。私は、ついダークな考えに陥ってしまいます。
あぁ、この両親がいなければ、兄弟達は平穏に暮らせる・・・。
:(;゛゜'ω゜'):
いけません。そんな事をしては、“先代の悪しき魔女”と同じ事をしてしまいます・・・。平和的に解決しましょう。
ギルドに向かう『シュート』様はクエストを受けようとしています。私は、『シュート』様に声をかけます。
「貴方、私とパーティを組みませんか?」
『シュート』様はこの上なく嫌そうな顔をします。
「はぁ!?何で、あんたみたいな、何も汚い事をしていません。みたいな、人とパーティを組まないといけない訳?」
・・・いえ、もう汚い事には手を出している最中なのですがね。過去を変えるという、史上最悪の汚い事を・・・ね?しかし、ツンデレ超えて、ただの毒舌少年じゃないですか。
「あら、それは心外だわ。私だって、綺麗な事ばかりしている訳ではなくてよ?」
「そういうところ、本当にムカつく。・・・しかし、今回だけは手を組んであげる。金が欲しいものでね。」
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私が、Bランクという事で、ギガントモンスターを討伐クエストに行きました。普通、二人で行くものではありませんけど、今回だけは私もさらに、チート能力を使いますよー!!
普通のミノタウロスです。変異型ではない奴。・・・と思っていたのも、ほんの少しだけ。かなりの変異型でした。
まず、“虚無魔法”に近い空間を破壊する魔法を使用していました。近付けません。それで、遠目から作戦会議です。
「あれは、規格外過ぎる。あれを、どう退治しろと?」
「寧ろ、“虚無魔法”に近いですね。倒したら、物凄いお金持ちになれますね!」
マジックボックスから魔剣・デュランダルを取り出して、早速、攻撃を仕掛ける私。しかし、物理攻撃が効かないです。というより、近付けません。
岩場に隠れている『シュート』様のところに戻る私。『シュート』様は呆れた様子。
「あんた、バカなの?どうやって、近付くのかが問題になっているのに、何の策も講じずに、近付ける訳ないでしょ?」
「何か、隙があれば別なんですけどね・・・。」
そこに、ミノタウロスの前に呑気に出てくる人達が。あれこそ、バカですよ!!私は、ふとその人達の様子を見ると・・・。どこか、『シュート』様に似ている気がしました。でも、『シュート』様はミノタウロスの前に近付いている人達に気が付いていない様子。寧ろ、作戦会議を続行している。
「・・・だから、人の話を聞け!」
怒鳴るほどに、作戦を展開しております。ミノタウロスには気が向いていないのに。『シュート』様は作戦を言いました。『シュート』様は風魔法と土魔法を併用して、囮になるから、その隙に物理攻撃を仕掛けろとのお達しです。
私は、チラッとミノタウロスの様子を再度窺うと、近くにいた人達は消えていました。え?爆発は使用しているのは、音からして聞こえなかった。つまり、ミノタウロスに食べられたんですか!?いーやー!?しかし、体内を覗くと先程いた人達が胃の中にいて消化されていました。
グロイっ!!もしかしたら、『シュート』様のご両親ですよ!?私は、やけになって、遠隔操作で地獄の門を展開します。そして、死神の案内で、ミノタウロスの命共々刈り取ってしまいます。死神の案内は分解と同様の効果を発揮します。
これには、『シュート』様は驚きが隠せません。
「遠距離から攻撃できるなら、最初から、そうしとけー!?」
「すみませんでしたー!?しかし、グロイですっ!」
魔物はドロップアイテムと大量の金貨を落としていきます。何故に!?この世界の魔物は金貨を落としませんよ!?食べられた人の持ち物・・・でしょうか・・・?しかし、居た堪れない気持ちが心の中を支配し続けました。
ちょっと、グロ注意。




