18.実兄登場、ただし、前世です。
なんという偶然。空から降ってきた人物は私の前世の実兄でした。私は闇魔法の捕捉で優しく地面に下ろす。彼は、私の愛用していたゲーム機とソフトを持っていて、ゲームソフトのタイトルに驚いた。“裏表LOVERS!!Ⅱ”。なんと、私の死後、続編が出ていたのですか。私はゲームのデータをローディングする。そうすると、ゲームの内容が明らかになる。
メアリー・ラーゼ・フォンラージュは悪役ながら人気の高いキャラクターでした。その為、彼女を救うエンディング、そしてヒロイン枠に移っていました。悪役は、“先代の悪しき魔女”、シャルル・フィン・クライバー公爵令嬢。彼女が現代に復活するという内容でした。
そして、私の前世の実兄、海晴は神様からすごいチート能力を得たそうです。神様からもらった能力、ガチャスキル。そして、何故か、私と同い年くらいまで戻ってしまっているそうです。神様の考慮だそうですよ?妹と同じ年齢まで戻る事で、この世界の事情を知る事ができる機会を得る為に。
『なぁ、ここどこ?』
海晴はそう近くにいた私に尋ねる。そうすると、ミヒャルド様が私の前に出て、牽制すると共に、私にしてみれば、衝撃の事をおっしゃられる。
「おっと、メアリーお嬢様に近付かないでください。貴方が、何をおっしゃっているのか、知りませんが。」
・・・!?海晴の言っている言葉が通じない!?海晴が話しているのは“日本語”である。しかし、言葉が通じないのは・・・あ。この世界では、スキル習得で言語を習得するのでしたね。海晴はこの世界の言語習得していないのですね。そこは、神様に頂かなかったのですね。自分で、引けと?
私は、ミヒャルド様をよそに、“日本語”で、海晴に話しかけます。
『海晴兄さん。お久しぶりです。私が死んで以来ですかね?』
その言葉で、私が海晴の実妹“カリン”だと気付いたようです。私達、二人兄妹ですからね。兄は大学生、18歳です。私とは違い、そのままの姿で転生したようです。
『お前、姿変わっているけど、花鈴か!?だったら、この状況教えてくれよ!!』
『寧ろ、こっちが聞きたいところですね。』
ニッコリと笑顔で答えます。
『・・・いや、俺もあまりよく分かっていないんだけど。神様にうっかり殺されてさー。この世界に来ちゃったっぽい。』
『それは、貴方の記憶覗きましたよ。何故、殺されたのですか?』
『お前の好きだったゲームが続編が発売されていたから、買って仏壇に飾ろうとしたら、頭の上からやかん落とされてそれでぽっくりと。神様がうっかり天界から落としちゃったみたい。それで、お詫びにチート能力を得て、転生したんだ!』
私達の会話に参加できないレイナ様がふと私に抱き着いて、頬を膨らませる。
「この方、何て言っているんですの?私達、全く理解できないんですけど。」
「・・・あぁ、少ししたら皆さんの分かる言葉で、話しますから、ご安心下さい。」
『海晴兄さん。その神様から頂いた能力で、言語習得していただけませんか?この世界は、スキルで言語習得しますから。スキルが大事です!』
急く私に、海晴も答える。
『・・・あ?あぁ、分かった!神から頂いた“ガチャスキル”で、言語習得してやるぜ!!ガチャスタート!』
ポップアップ画面が出て、ガチャスタート!どうやら、これは私と海晴しか見えていないようです。そうして、10連ガチャが始まり、大きな成果として、光魔法を習得と聖剣・エクスカリバーの入手、そして上級言語理解能力を入手致しました。
「どうだ。」
海晴はドヤ顔です。ちょっと、ムカつきますね。
「あー、ちゃんと、スキルを発動しておりますね。これで、ようやくお話が出来ますね。“ヒナタ”さん?」
「何故に苗字!?」
「そちらの方が、好都合でして。ヒナタさん、自己紹介を・・・いえ、貴方ただの旅人と伺いましたね。」
ルーマ様が先立って、挨拶をなされる。平民同士気が合うのでしょうか?いえ、人柄がいいのでしょうね。
「えーっと、ヒナタさん。俺はルーマ・リーディアと言います。よろしくお願いします。」
「ルーマ?えっと、よろしくな!つーか、リンリンここどこ?」
「エスカド二ア高原です。ヒナタはまず、ギルドに所属しましょう。案内しますよ。」
ヒナタは亡くなる前まで呼んでいた愛称で私を呼びます。私は、あまり気にしていませんでした。しかし、ミヒャルド様は気に障ったようです。
「いきなり、メアリーお嬢様を、変な愛称で呼ばないでいただけませんか?ただの旅人さん風情が。」
いきなり、笑顔で答えるので、その笑顔に戦々恐々してしまいます。ミヒャルド様、笑顔がとても怖いです。威嚇なさらないでください。しかし、能天気なのがヒナタのいいところであり、悪いところでもあります。あまり気にならなかった様子。
「えっと、よく分かんねーけど、よろしくな!ギルドに行って、俺は最強になるんだ!」
その言葉に驚くルーマ様。
「えっ?ギルドに所属していないの?旅人なのに?」
あっ。私とした事が墓穴を掘りました。でも、まぁ。まず、この場から去りましょうか?
メアリー様、メタ発言しております。海晴とミヒャルド。よく似ている気がしましたので、そうさせて頂きました。




