17.伝導体と属性魔法。
メアリー様、チートなはずなんですけどね。周りがチート化していく。
エスカルドの街を抜けて、付近の高原、エスカドニア高原に突如として現れたギガントモンスターの討伐クエスト。ごく最近、現れてエスカルドの住人達は困っていたようです。
エスカドニア高原には、様々な鉱石が採取できるエスカドニア鉱山の通り道で、エスカドニア高原を通らずとも、行けるが、回り道をしなければならないらしい。そこに現れたギガントモンスター。腕が鳴りますね!
そして、アリシア様に稽古をつけながらも、ギガントモンスターの元に到着。どうやら、ミノタウロスですね!流石に、ギガントモンスター。大きいですし、私もギガントモンスターを討伐した事はありませんから。
闇魔法を使い、ミノタウロスの背後を取ります。流石に、ミノタウロス大きいですね。レイナ様は斧を持ったミノタウロスを見て、驚愕されます。
「このミノタウロス、変異型じゃない!!」
・・・変異型。それは、普通の魔物とは違い、魔力が異常に多く、学習能力に長けた魔物。普通はS~SSSランクの方しか討伐クエストを受けれない設定になっているのですけどね。どうなっているんでしょうか?
ここは、一瞬で片を付けてしまいましょう。加速で秒速で動き、地獄の門で魔物の魂を刈り取る。ついでに、分解しましょう。そして、数秒後、ミノタウロスは倒れるかと思いましたが、分解できたのは、片腕だけ。斧を持っている腕は残っています。しかし、魂は刈り取ったはずです。誰かに、操られているとしか思えません。
『私は、シャルル・フィン・クライバー!お前らの命、頂戴する!!そして、私の手となり、足となるのだ!!』
魔物言葉でそう宣言します。皆さんはその言葉が聞こえないはず・・・だったのですが、アリシア様はミノタウロスの言葉が聞こえた模様です。他の皆さんには雄たけびにしか聞こえないはずですが。
「きゃああぁぁぁぁ!!!悪魔の囁きが聞こえるわ!!」
「ただの、雄たけびだって!!」
「違うわよ!私が闇に引き込まれる時に聞いた声と同じだもの!!」
「はぁ!?何言ってんだ!?」
ラファエル様とルーマ様はアリシア様の興奮を抑えようと躍起になっていますが、事実です。アリシア様はやけになって、炎を出します。ニヤリ。私はちょうど魔法導入できるタイミングだと思いました。加速で、秒速行動。即魔法導入します。・・・そうですね。どの属性がいいでしょうか?アリシア様の今考えている想像に任せましょう。
そうすると、光り輝く炎の完成です。しかーし!問題は、魔法導入が他の皆さんにも届いてしまったようです。簡単に言うと、アリシア様がパニックを起こしていて、他の属性魔法を伝達する伝導体になってしまったようなのです。そして、この場にいないと思っていたミヒャルド様、登場です。他の魔物を倒している間に来たんでしょうね。タイミング悪く、ミヒャルド様も新しい魔法が使えるようになった模様です。
ミヒャルド様は光魔法しか使わないのに、闇魔法を習得した模様です。咄嗟に、闇の蝶々を召喚して、剣が形成され、それで攻撃していました。本人も驚きです。レイナ様も負けじと、ミヒャルド様の攻撃を真似します。・・・普通に、使えましたね。あちゃー。
ラファエル様とルーマ様は揃って、火魔法の習得です。アリシア様は光魔法ですね。本人達、使えるの自覚していないですけれど。
けれど、ミノタウロスは強く、かつミヒャルド様がかんかんに怒っていらっしゃいます。
「・・・レイナ。これは、一体どういう事か。後で、説明してもらいますからね。」
にっこり笑顔がとても怖く感じるのは私だけではないはず。ゾクリとしながらも、体はミノタウロスに集中する。
そうすると、“先代の悪しき魔女”はこう続ける。
『新しい生贄の登場か。これは、面白い。』
・・・私達、完全に“先代の悪しき魔女”をこの世界に復活させてしまったようです。私は杖を叩き折ります。そうすると、声は悲鳴を上げて弱くなってくる。
『ぎゃあぁぁぁ。何をする。私の大切な杖に!・・・まぁ、私の杖は・・・まだ・・・世界に多く・・・在する・・・。』
ミヒャルド様とレイナ様は顔を見合わせる。今度は声が聞こえた模様です。
「「今の声は・・・?」」
「やっぱり、悪魔の囁きが聞こえるわ!!」
「アリシア様、あれは“悪しき魔女”の声です!!貴方は一度、彼女に身体を乗っ取られようとしたから声が聞こえるのです!!」
そして、ミノタウロスは消滅していく。ついでに、ドロップアイテムとして、ミノタウロスの角を落としました。
「・・・“悪しき魔女”、シャルル・フィン・クライバー公爵令嬢の魂・・・。」
しかし、公爵令嬢の気品溢れる姿は消えていますけどね。レイナ様とミヒャルド様は私の言葉に反応する。
「メアリー様は、アリシア様の言っている言葉の意味に気付いていらっしゃったのですね。」
「“悪しき魔女”・・・。屍のミノタウロスを操る、いや屍だけじゃない生きている者を操る能力があるのでしょうね・・・。」
あぁ、“先代の悪しき魔女”が存在するなら、何も私がラスボスにならなくても、良かったんじゃないですかね?ため息をついた時、空から人が降ってきました。
超展開。




