15.彼女の深層意識。
歌詞センス皆無。展開もちょっと唐突なものになってしまって、すみません。
「まぁ、これはおそらく“悪しき魔女”の杖の影響だと思います・・・。私、落としてしまいましたし、この部屋の有様・・・。本当にごめんなさい。」
レイナ様はそう言う私を慰めます。部屋は一室だけ、黒焦げになっています。元々、属性魔法の素質がなかっただけに、威力は小さいのですけど。
「こんな状況含めて、私が何とかしますわよ!だから、自分を責めないでくださいまし。寧ろ、“虚無魔法”ほどの能力で、闇魔法を打ち砕けたのですわ。感謝されますわよ。」
そう言うと、レイナ様はアリシア様の方に向かい、魔力を送り、アリシア様の顔色が良くなっていきます。綺麗な光を出して、魔力を送る姿に見惚れてしまいます。綺麗ですね、レイナ様。私も軽く、レイナ様が握っている手とは反対側の手を握ると、意識に軽く揺さぶりをかけます。・・・これで、目をすぐに覚ますでしょう。
そして、案の定レイナ様が魔力を送っている最中に、目を覚まして・・・。あれ?目が覚めませんね?私の魔法、効きませんか?これ、別の要因がありそうですね。魔力切れ以外に、何が彼女を襲っているのでしょう?
ちょっと、彼女の深層意識を深く探ってみましょう。私は、歌う。彼女の意識に入る為に。
「いつからか、傍にあった未来を~♪~~♪」
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彼女の深層意識に入り込む事に成功しました。曲が終わるまでは、アリシア様の意識に入る事が出来ます。そして、このゲームのEDを歌っております。私が入った場所には光が差し込んでいます。ダブルヴィジョンです。歌も聞こえますよ。
アリシア様は独り。意識を失っておりました。そして、闇に引きずり込まれております。闇に引きずり込もうとしているのは、シャルル・フィン・クライバー公爵令嬢と思われるお方でした。
まさか、この杖、シャルル様を封じていたのでしょうか?いえ、完全に封じられていた訳ではなく、愛用していたものに、“勇者”に討伐された時に、執念が宿ったのでしょう。でも、私も“悪しき魔女”の力を持つ者。現・“悪しき魔女”に勝てる人はいない・・・と思いたいですね。
私は闇に引きずり込まれていく、アリシア様を光が照らす方へと連れて行く。
「アリシア様!あちらで、ルーマ様がお待ちになっておりますよ!!そして、心配している家族が貴方にはいるのです。闇に負けてはいけませんよ!!」
まず、彼女の意識を回復させましょう。私はアリシア様に強く呼びかけます。しかし、悪魔の囁きが聞こえる。
「お前は、私のものだ。そう簡単に渡してなるものか!!」
「アリシア様!!あちらで、皆様待っていらっしゃいますよ!!どうか、お戻りください!!」
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“先代の悪しき魔女”と押し問答が続く。こうしている間にも、歌が終わる。まずい、と思ったその瞬間、アリシア様が目を覚ました。
「アリシア様!!目を覚ましてくださったのですね!!さぁ、光の差し込んでいる場所へ一緒に向かいましょう。」
私はホッと一安心した笑顔を見せる。アリシア様は私の手をつかんで、一緒に光の射す方へ向かわれる。悪魔の囁きを振り切って。嫌な言葉を残して。
『今回は、これくらいにしておくが、次は絶対に我は復活してやる!!』
そうして、光が私達を包み込んだ時、アリシア様はやっと現実世界でも目を覚ました。
「ここは・・・?」
「アリシア!目が覚めたんだね!!」
ルーマ様の瞳には涙が見える。そこまで、感極まっていたのですか!?涙腺弱いですね・・・!?ルーマ様が説明された後、アリシア様は何が起きたのかを説明されようとされる。
「・・・そうなのね。でも、私は、確か、誰かに、闇の中に引きずり込まれて・・・でも、そこに女神様が現れて・・・。私は女神様の示す光の方へと向かったの。これも、私に光を射し示してくれた女神様のおかげね。」
・・・?女神様?一体、誰の事でしょう?それは、他の人も同じ事を思ったようで、アリシア様の一番下の弟さんが声を上げる。
「お姉ちゃん、何言ってるのー?女神様って言えば、このお姉ちゃんの歌声は女神様のようだったのー。」
弟さんが私を指差す。アリシア様はハッと気付く。
「そう言えば、歌も聞こえたわ。とても綺麗だった。その声に惹かれて、光の射す方へ向かったのよ。笑顔がとても素敵だったの。」
レイナ様は答える。
「でも、歌っていらしたのは、メアリー様よ?」
アリシア様は私を見て、唸ってしまう。
「でも、メアリー様、とは姿も見た目年齢も年上だったような・・・?それに、私が見たのは、黒髪でおさげで、黒ぶち眼鏡の女性だったわ!どこかの民族衣装?みたいなのを着ていたわ!・・・瞳は見えなかったのだけど。」
あっ。それ、私の前世の姿ではありませんか?女子高生でしたもんね。私の前世の最期の姿で、見えたのでしょう。民族衣装と言うのも、おそらくはセーラー服ですね!!この世界、セーラー服という文化ないですからね。深層意識というのは、本来の姿で見えるものなんですね。
深層意識というものを初めて知りました。




