12.ラッキースケベも嬉しくない。
話が進みませんね。
理由は分からないものの、了承してくれたルーマ様。流石に、ラファエル様もこれには同意をしかねる。ラファエル様自身が屋敷に泊まらないかと提案があった程である。
でも、破滅フラグは折った事にこした事はありませんから、お断り致しました。
ルーマ様の家に泊まる事で、強盗犯を捕まえる事が出来ます。ラファエル様の屋敷からでは、“虚無魔法”を使う事が出来ない中で、捕まえる事が困難だと思いました。・・・色々、バレるリスクを負いたくありませんから。
レイナ様には申し訳ありませんが。ルーマ様の自宅で過ごさせてもらいます。
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「俺ん家、狭いけど、それでもゆっくりしてもらえたら。」
私は、ルーマ様の家の前に到着すると、未来予知で見た隣の家を見ました。随分騒がしいようですね。外にいるのですが、中の声が響いています。ルーマ様は隣の家を見ながら、説明する。
「あー。隣は兄妹が多くてね。下は本当にやんちゃざかりだからね。俺もたまに付き合わされるんだ。」
確かに、子供が多かったのを見ました。故に悲惨な事が起きてしまうのです。絶対に、防がなくては。ルーマ様の家に入ると、リビングに案内される。私は椅子に腰掛けると、レイナ様に何故、ルーマ様の家に泊まりたがったか説明を求められます。なので、レイナ様にはお答えしようと思いました。ついでに、ルーマ様も聞き耳を立てているようです。しかし、真実の中に嘘を混ぜますけどね。いえ、私の“虚無魔法”で本当の事にしてしまえばいいのです。私は、“先代の悪しき魔女”の持ち物の一つ、時計に細工をこっそりと致します。
「・・・これは、秘密にしてほしいのですが、この時計・・・の効果だと思うのです。」
私は、“先代の悪しき魔女”の持ち物の時計を見せる。ルーマ様は疑問符を浮かべますが、レイナ様は少し、事情を察したようです。
「私は、悲惨な光景を見ました。人が殺されてしまう映像です。その時、ルーマ様が、その方を“アリシア”とおっしゃっていました。どうやら、ルーマ様のお知り合いが亡くなってしまうもので、もしかしたら、最近エスカルドの街を騒がせている強盗犯かと思いました。なので、ルーマ様の自宅付近で調査しようと考えたのですが、どうやらお隣さんのようですね。」
「アリシアは、確かに隣に住んでいる者ですが、何故その時計で知る事が出来たのですか?」
その答えに、レイナ様は時計を調べて、そして私が付けた機能を発動させる。
そして、その機能を発動させた後、一同は黙ってしまいます。少し、遠慮してほしかったですね。また、あの悲惨な光景を見る羽目になってしまうとは。私が追加した機能は、未来予知の効果を反映させる機能。それを近くにいた者に映像として見せてしまいます。
しばらくすると、レイナ様が呟きます。
「流石、“悪しき魔女”の持ち物だわ。この時計は未来のヴィジョンを見せてしまうのね。先程の光景を見る前に少し見えたのだけど、今日の夜中の時間を指していたわ。夜中の犯行なのね。・・・他にも機能はありそうだけど。」
「え!?これって、“悪しき魔女”の持ち物なの!?だから、時空間を無視した映像が・・・って、今日!?今日の出来事なの!?」
「本日、ダンジョン探索で発掘いたしましたの。その効果で、空間同士の壁を無視してこちらに来てしまいましたの。」
あっさりと信じてしまうのですね。確かに、そう仕組んだのは私ですが。ルーマ様は急いで、ラファエル様の元へ向かおうとします。レイナ様は鍵をルーマ様に渡します。
「これは・・・?」
「この鍵を使うと、おそらく行きたい場所に行ける効果付きのものですわね。これも、“悪しき魔女”の持ち物ですわ。これを使った方が移動が楽になりますわよ。」
「じゃあ、これを使って・・・!」
家を出て、鍵を閉める。そして、“悪しき魔女”の持ち物の鍵を使用すると、本来ならばルーマ様の自宅の光景であるはずなのですが・・・ラファエル様の自室がございました。ラファエル様は着替えていらっしゃる最中でした。幸い、上半身裸の状態で済んだのですが、私達もラファエル様の自室に入る事に致しました。
いきなり、現れた私達にラファエル様は驚きます。
「うお!?何で、こんなところに!?」
「ラファエル、とりあえず服着ろ!!伝えたい事があるから!!」
本来、ここでアリシアを登場させたかったのですが、また後の機会になりそうですね。




