二枚目「道化師」
はいすいませんねzeillight又は零狐ですよ。
いや今回、中々早く投稿した気がします。
頑張りました。
受験近いですからあまり書けないんです。
まぁ息抜きに書いているので唯の楽しみにしかならないね、うん。
あ、あと最近、友人に誘われ遊戯王を始めました。受験間近なのに。自分でもアホだと思う。
でも楽しいから仕方ないだろぉ!?(投げやり)
さてTRUMPERですが…。
初の戦闘シーンですかな?
うん。たぶんそうだね。
何かおかしい所があれば教えてください!
それでは二枚目。
トランプの世界へ行ってらっしゃい。
「お母さん…お父さん…?」
彩女が呟く。
辺りは真っ暗で何もない。
彩女の少し歩いた先に彩女の両親が立っている。前に足を踏み出す彩女。
「生きてたんだ…!お父さん、お母さん!」
彩女が嬉しそうに手を振りながら叫ぶ。
しかし彩女の思いとは裏腹に足は思うように進まない。
その上、両親は彩女とは逆方向に歩き出す。
「待って…!待ってよ…!」
やっと彩女の足は動く。
地を蹴って走って二人を追いかける。
しかしまたもや彩女を止める者が現れる。
彩女の下の地面が一瞬にして崩れ落ちる。
「え…!?」
次の瞬間。
彩女の腹部に生暖かい感覚が広がる。
びちゃびちゃと何かが垂れる音がする。
ゆっくりと体を起こす。
頭上を見ると円形に穴が空いた様だ。
彩女は不審感の表情から目に見えた光景によって悲痛の表情に変わる。
「あ…あぁぁ…痛い…!痛いよ…!」
自分の腹を一本の細く鋭い黒い針が貫き地面も針も自分の腹部も、紅く染まっていた。
頭上の穴から見下ろして嘲笑う者がいた。
「joker…許さない…貴女だけは絶対に……!許さない!!」
そう叫んで段々と視界が暗くなっていく。
その瞬間、目が再度開ける。
身体を勢い良く起き上がらせる。
朝7時、ちょうど太陽が上り部屋に光を放つ
時間帯だ。
身体は汗をかき呼吸も少し荒い。
平均的な一般高校生ならば学校に行くために準備をしている時間帯ではないだろうか。
夏なだけあって差し込む光が眩しい。
彩女は片手を顔の前まで持ってきて、遮る。
寝室の扉が開かれる。
「迅…さん。」
「起きたか。ほら朝御飯できてるから着替えてからこっち来いよ。」
迅が手招きして寝室を出て行く。
彩女は迅を見て少しぼんやりしていたが、心の中の何処かで安堵していた。
ベッドの傍にある制服を着て迅のいるリビングに向かう。
「おはようございます迅さん。泊めてくれて、ありがとうございました。」
「あぁ、大丈夫だよ。ほら朝御飯、一緒に食べよう。話したいこともあるし。」
朝食を食べている時だった。
「えっと…まずは。神崎…さんでいいのか?俺に話があったって言ってたけど…。」
彩女は「はい。」と呟き話し始めた。
「私の事は彩女で呼び捨てで構わないですよ。あと話っていうのは…jokerの情報をTRUMPERの人なら持ってるかな…と。他には『jokerに気を付けて』という注意ですかね。」
「そうか…。それでえっと言いづらいんだが…彩女の両親はjokerに。」
「はい。私は…両親の仇、そしてTRUMPERを殺すjokerを止める為に情報を集めています。…迅さんも奴には気をつけて下さい。」
最後にそう付け加える。
迅は心配するように身を乗り出す。
「なぁ、jokerには彩女の家はバレてるんだろ?それなら戻るのは危険じゃないか?唯でさえjokerの情報は少ないのに。」
「そう…ですね。どうしましょう…。」
迅は彩女に一つ提案する。
「一回着替えとか、色々持ってきてこっちにいないか?」
彩女は少し驚きを見せた。
沈黙が生まれる。
迅は慌てて自分の言葉を取り繕う。
「あ…いやそういうやましい下心はないから!…えっと心配だし…えっと…あー。」
その様子を見て彩女はクスッと笑い、笑顔でこう答えた。
「それじゃあ…また甘えさて貰います。」
「一人で大丈夫か?」
玄関で靴を履き直す彩女に声をかける迅。
「大丈夫ですよ。jokerも人がいる朝にはTRUMPERを襲ったりしないでしょう。それじゃあまた後で…。有難うございました。」
「…気をつけてな。」
迅の言葉に穏やかに「はい。」と答え、玄関から出て行く。
外は暑いはずなのに冷たい空気が吹き込んで来ていた。
まるでこの先の何か不安な事を示している様にも思えた。
迅は閉まった扉を少しの間、見つめていた。
「ふー…疲れた。」
迅の家から20分間歩いた頃につく住宅街の中に彩女の家はあった。
彩女の家の周りには事件の起きた後、警戒体制を取らなければならない為に警察が大勢で警備していた。
「すいません神崎です…。暫くこっち空けるので荷物を取りに来ました。」
警察にそう告げて家に入っていく。
家の中は暗く、あの時から時が止まったようだった。ふと足元の床を見る。
少し赤茶色の染みがまだ残っていた。
彩女の胸に痛みがはしる。
「…準備しよう。」
そう呟きながら荷物を詰め始めた。
「これで良いかなっ…と。よし。」
キャリーバッグとリュックサックに様々な物を入れて玄関の扉を開ける。
「え…。」
しかし、そこにあった光景は警察の警備の光景では無かった。
警察が何かに襲われ倒れていた。
恐らく速過ぎて追いつけない程の速さで何が起きたか分からない内に気絶させられたか。
または忍び寄られ気付かない内に気絶させられたかのどちらかだろう。
彩女が準備している間は外は騒がしく無かった。彩女は辺りを見廻した。
「警官が…!誰にやられたの…!?」
彩女の頭の何処かで予想がついていた。
(いや…私は知っている。こんな事が出来て私を狙っている奴を…。)
その時。
門塀の門の前に大きな空間の歪みが生じた。
歪みから禍々しい色をした五本の手が襲って来た。
「…ッ!カゲヒサ!」
彩女が叫ぶと漆色の武者鎧を着けた武者が屋根の上から納刀状態で跳んだ。
彩女の前まで手が迫る。
刀を振り抜く音が鳴る。
「全く…危なかったわ。」
彩女の前には斬り落とされた手が溶け初めていた。そして彩女のレジスト「カゲヒサ」が刀を構えて立っていた。
手が出現する歪みから攻撃の張本人が出現した。拍手をしながらレジストと共に。
「いやぁ…流石だね。君は優秀だ。そしてその能力…強い!あぁ欲しい…欲しい!!」
黒いパーカーを身につけピエロの仮面を付けた金髪の若い男。
頭を抱え後ろに反り返り口走る。
「joker…私を殺しに来たの?」
jokerはピタリと動きを止め、彩女を見た。
表情はわからないがほくそ笑んでいるのは雰囲気から感じ取れた。
「当たり前さ…さぁ、始めようか。」
jokerが手を広げると左右の手に小さい光った目玉が浮いている。
jokerの背後にレジストが出現する。
包帯を巻いた球体に口がついたレジストの周りに赤い人魂が二つ浮いている。
レジストの背後の四方(右上、右下、左上、左下)に空間の歪みが出現し禍々しい手が出てくる。
「三人殺したの?」
「あぁそうさ。包帯巻いてるのは僕の元のレジストの『シャマル』だよ。ほかは全部他人のレジストなんだ♪」
次の瞬間。
彩女とカゲヒサは後退した。
目の前のコンクリートの地面が丸い形で、凹み窪んだ形になる。
周りに小石が散らばる。
「シャマルの能力…重力、引力、反発力を操作する能力だ。まぁ避けられちゃうかやっぱり…。まだまだ実験台になってもらうからね。能力を奪うのはその後でいいや。」
jokerは嬉しそうな口調で話す。
彩女は無言だったが、たった一言言い放つ。
「受けて立つ。お父さん達の仇、今取ってあげるわ。」
狂い悶えるかの様に笑い出すjoker。
「いいねぇ…この感覚だ!その殺意!実に気持ちいい!」
なんの危険も無かった住宅街にTRUMPER同士の争いが起きようとしていた。
続く。