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ーTRUMPERー  作者: zeillight
3/6

一枚目「月明かりと女子高生」

はいzeillight叉の名を零狐です。

もう正直どっちでもいいや。


さてTRUMPER一話ですね。

今回はプロローグ的な感じ…なのかこれは?

取り敢えず次の話につなげるため、謎残した感じで終わりますね。

それでは記念すべき第一話。

トランプの世界へ行ってらっしゃい。

金曜の6時限目。

社会の歴史の『近代史』の授業が始まる。

教師が号令をしてページ名を知らせる。

無言で生徒達は教科書を開く。

紙が捲れる音が各席から聞こえる。


「この時代にはTRUMPERと呼ばれる能力者達がいた。初めは人々も彼らの能力を尊敬し、仲良く暮らしていた。」

教室内の前の黒板に「カッカッ」とチョークで書く音が歯切れ良く鳴る。

「しかし、TRUMPERを「将来我らを脅かす危険な存在」だと呼ぶ者が現れた。

その者達は「暴徒」と化し、世界中の能力者達を虐殺し始めた。」

その時代のポイントや、出来事を纏めた年表が図で書かれる。

チョークの粉が床に時折パラパラと落ちる。

「TRUMPER達は抗うがもう世界には彼らの味方はいなかった。能力を受け継ぎ生き残った14人のTRUMPERは世界各地に逃げて消息を絶った。」

教師が黒板を書き終えてこちらを向く。

要所を抑え、まとめたプリントを配る。

「えー、世界各地で消息を絶ったTRUMPERの子孫にあたるTRUMPER達が三年前、祖先の迫害を恨み暴動を起こした。」

ノートやプリントに書き込む様な音が一斉に鳴る。皆がシャーペンの芯の先を紙の上を走らせているのが分かる。

「これにより政府は対TRUMPER組織「A.L」を設立しTRUMPERを厳しく取り締まり発見次第、拘束又は殺害する方針を取った。このTRUMPERに対する法律をAl法と…」

教師は黒板を叩き「ここ大事だからな!」と大声で生徒に言った。


その放課後…。

高校三年生の能力者「霧神 迅」は高校の帰りに近所の公園に寄った。

既に空は茜色になり始めていた。

「あーあ…TRUMPER、かぁ。TRUMPERにも俺みたいに平穏に暮らしてる奴もいると思うんだよなぁ。」

迅はブランコに座り、先程買ったコロッケを頬張る。

ブランコから「ギィ…ギィ…」と音が鳴る。

いやそれはブランコの音じゃなかった。

「ガブラ、お前も食べるか?ほら。」

「ギッギッ♪」

謎の生物はコロッケを一口で喰らう。

迅がガブラと呼んだ生物は、他人には見えない謎の生物。

(こいつ、物心ついた時にはいたんだよな。いつも俺についてくるし他人には見えないし…。)

迅はそんな事を考えながらブランコから立ち上がった。


その時だった。

ブランコの柵の前に一人の女性が立っている。短髪の黒のショートボブで一見可愛らしい感じをしていて高校の制服を着ている。

迅とは別の近くの高校だろう。

そして彼女の背後には赤色の武者が刀を納めて立っている。

迅からみても異様な光景だった。

「貴女は能力者…いやTRUMPERですか?」

その女子高生は唐突にそんな事を言った。

迅は焦った。

(バレたのか…?いやまず後ろの武者は…とにかく誤魔化して通報されるのだけは避けなければ…!)

迅の頬に冷や汗が垂れる。

「えーっと…。何を言ってるんですかね?ちょっと分からないです。」

女子高生は間合いを詰めて来た。

顔の近くまで来て言った。

「隠さなくて大丈夫です。私もTRUMPERですから…貴方にお話ししたい事があります。」


「一人暮らしなんですね…。親御さんは?」

迅はとりあえず女子高生を自分の家に連れて行き話を始めた。

「ええ…ちょっと色々と。それで?どちら様ですか?」

女子高生は迅の方に振り向く。

「申し遅れました、私は神崎 彩女といいます。」

彩女が頭を下げると、迅も下げた。

彩女は顔を上げるなり本題に入る。

机を挟んで2人は向き合う。

夕日が差し込み、沈黙があるため部屋に妙な緊張感があった。

「まず…jokerをご存知ですか?」

「各国で起こっていた大量殺人の首謀者…だろ?そいつがどうしたんだ。」

次の瞬間、彩女の口から迅が耳を疑う、信じられない言葉が出てくる。


「jokerが牢獄から逃げ出しました。」


迅は考えこむように俯いた。

彩女は沈黙を破るかの様に話を続ける。

「jokerは恐らく日本にまだいます。」

迅は「まだ?」と問いかけた。

「…まず、貴女が分からない事を私が知ってる範囲で答えます。どうぞ。」

迅は少し話を逸らされた気がしたが、TRUMPERについて色々と分からない事があるので質問を始めた。

「jokerは牢獄から逃げ出した後、何をしているんだ?」

「TRUMPERは殺された場合殺した者に能力が移ります。もしくは自分の子孫を残す、他人に自分の肉を喰ってもらう事で能力が移ります。」

彩女は言葉を続ける。

「jokerはTRUMPER達を殺し能力を奪っています。既に日本で3人殺されました。」

「A.Lはjokerに対して何もしてないのか?」

「jokerは直ぐに姿を晦ましてしまうんです。A.Lも調べて取り締まってはいるでしょうが…彼らにjokerを倒せるかどうか…。」

「そうだよな、既に4つの能力持ってるからな…。まだ日本にいるとなると俺達もまずいのか。」

彩女は俯き、またもや予想外の答えを返す。

「私は…一週間前にjokerに会っています。」

「え…!?」

迅は身を乗り出した。

彩女は俯いたままだ。

「私は学校の帰りに奴に会いました。私は家の中に入って立てこもったんです。」

彩女は憎む様な目で話を続ける。

「私が二階の部屋に閉じこもっていると玄関の方から母の悲鳴が聞こえました。」

涙を流し、すすり泣く声だけが部屋に残る。

「私は急いで下に降りました。そこには血まみれの母が倒れていて父が奴を…jokerに掴みかかり抑えていました…。」

迅は胸が痛くなり、暑くもないのに何故か汗が一筋流れた。

「父は…お父さんはっ…!逃げろって…叫んでっ…ぐすっ…。」

泣きじゃくる姿はまだ子供の様にも見えた。

彩女が泣きじゃくっていると頭に手が置かれた。そのまま温もりが伝わる。

「分かるよ…俺も三年前に親父もお袋も無くしてるから。」

彩女は迅に泣きつきながら嗚咽を漏らす。

「うっ…ひぐっ…迅さん…。」


それから暫くの間、一つの部屋から泣き声が絶えなかった。


「…落ち着いた?」

迅が背中をさすり、問いかける。

よっぽど悲しかったのだろう。

両親が殺される体験を一週間前にしているのだ。彩女は呟く様な声で言った。

「はい…取り乱してすいません。」


「今日は遅いから泊まってきなよ。あ、でも学校があるのか…。」

彩女は頭を振り微笑えむ。

「あんな事があったから今は学校休んでるんです。行く気になったら行くって学校に伝えてあります。」

「そ、そっか。」

「なので…お言葉に甘えせて貰います。」

優しい顔で微笑む彩女に迅は動揺する。

そんな迅を他所に「変えの服あります?」と尋ねる。迅は少し驚き答える。

「えっ…あー、服ね。男物しかないけど…それでもいい?」

「大丈夫です。制服のまま寝るとしわになっちゃうので…借りますよ。」

彩女は迅から服を受け取る。

少し恥ずかしそうに迅に言う。

「…すいません、あの、着替えるのであっち向いててください。」

迅は慌てて反対方向を向く。

その日の夜。

迅はいつもと違う環境で、翌日の朝まで眠れなかった。

気分転換にベランダに出て外を眺める。

「はー…涼しいな。」

その日の夜は満月で夜の闇を照らしていた。

ふと、迅は近くの歩道を見た。

(誰だ…?こんな時間に…。)

その歩道を歩いていた人物は、月明かりと街灯で少しだけ後ろ姿が見えた。

(黒い…パーカー。背中に白いピエロのマーク…?)

「変なやつ…ま、いいや。ふあ…寝よ。」

襲ってきた眠気に逆らわずに床に敷いた布団の中に入る迅。

部屋の中に怪しく月の光が差し込んでいた。


二話に続く。


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