ストローベリさん、何処へ行く
固めのパンをどうやって食べるか、これはお姉ちゃんとよく議論したものだ。
お姉ちゃんは歯が良い。だからそのままガリガリ食べていくのが好きだ。
私はどうもそれだと口の中が痛いので、スープとかに浸して食べたい。でもお姉ちゃんは、それはお行儀が悪いという。美味しいのに。
いま私とストローベリさんは一路、王都を目指している。王都は国道をまっすぐ行けば着くはずなので迷うことはない。
ただ、当然その道には検問が何重にもあって、本当に骨が折れる。
特命のストローベリさんがいても検問はけして緩くならない。どちらかというと、私のこの豪華絢爛な馬車を見て不審に思われる。
当然だ。
「で、シフォンさんの王都への目的は?」
「ストローベリさんを送るだけです」
「??」
だいたい検問では私の言うことは伝わらない。私がストローベリさんの召し使いか何かならいいのだろうけど、全くの赤の他人で送るだけなんて、とても奇妙なことらしい。そうだよね、そりゃ。
王都まで、検問はあと一つといったところで問題が起きた。
「シフォンさん。。。ちょっと休憩しよう。。。」
馬の汗が従者の私にびちゃびちゃ跳ねるくらい飛ばしていたが、ここで一旦休憩を取ることにした。
「ストローベリさん、大丈夫?疲れた?」
「う、うーん、まぁ、そんなところだ」
ストローベリさんの顔色が冴えない。
こんな時は暖かい飲み物でも飲んだ方がいい。
私はバックからランタンセットと鍋を取り出し、水を煮立たせた。そこにココアの粉を入れ、ペースト状にしたヤギのミルクをぶち込む。ミルクココアだ。
「どうぞ、ストローベリさん」
「ありがとう」
ほっこり、暖かいココアを飲んで、少し眠くなってきた。ストローベリさんが少し散歩をするというので、私は馬車の中に引っ込み昼寝をした。
それがまずかった。
起きると周りはすっかり暗くなっていた。
ストローベリさんはまだ帰ってきていない。
ん?
馬の手綱に手紙がある。
『申し訳ないが、私はここで失礼する。楽しい旅をありがとう。 ストローベリ』
なにー!!逃げたのか!!
どうゆーこと???
さっぱり意味がわからない。
いいのか?魔王は?
うーむ、しかし、、、
魔王のことは正直、私には全く関係ない。
魔王が来ようが何だろうが、とりあえず家に帰らないといけないし。。。
私はしばらく考えたが、ここは魔王は無視して実家を目指すことにした。
さらばストローベリさん。飛んだ寄り道だったよ。
馬を馬車に取り付け、さぁ出発というとき、
ん?
なんか向こうから光が。。。
わぁー!!!!
巨大な光球がこちらに飛んできた。
間違いなく魔法の攻撃。
なんでそんなものがこっちに飛んでくる?
すると第二弾、第三弾が向こうからこっちに向けて飛んでくる。
やばい、これは私を狙っている。
こんな暗闇で向こうは私が見えているのか。
私はポケットに手を突っ込み、指輪をはめた。