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いじめられっ娘と下克上選挙  作者: 沖マリオ
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いじめられっ子の求めるもの

自分の家につき、自室のベットに横になりながら、一人考え込んでいた。

「なかなか思い通りにはいかんもんだなぁ。」

目黒の説得に四苦八苦している現状に思わず独り言が漏れてしまった。

「そもそも何で俺こんなことやってんだろ……」

自分の部屋の天井を眺めながらそんなことを考えていると、徐々に意識が途切れていくのを感じた。


「おい、戸越、俺のカバン持ってくれよ!」

授業が終わり、一人帰ろうとする僕にクラスの中心人物が話しかけてきた。その後ろには数人の男子生徒が並んでいる。

「よし、じゃあ俺達のランドセル持ってくれよ。」

「じゃあ、俺のも!友達なら持ってくれるよな!」

「う、うん……分かったよ」

周りの人間は見ているだけで誰も止めようとはしない。しぶしぶ全員分のカバンを受け取り教室を後にする。


ガタン!

何かに頭をぶつけ大きな痛みと共に目が覚めた。

「しまった、寝てたのか」

それにしても久しぶりに見たな、昔の夢。俺は小学校の頃クラスからいじめに遭っていた。小学生と言うこともあり、今思えば大したいじめではなかったが、周りには大勢生徒はいたのに誰も助けてくれない。この苦しみを分かってほしいのに誰にも理解してもらえない。周りから得られるのは嫌悪や憐みの視線と同情くらいのものだった。そして、どんどん他人を信用できなくなっていったのを覚えている。そして今現在もその考えは変わっていない。

「―そうか、あいつは俺と一緒なんだ」

そして俺は目黒里奈が何を求めていたかにようやく気付き、ベッドから飛び起きた。

あいつは、いじめられていた頃の、そして今現在の俺と同じものを求めていたのだ。

『同情なら……やめてください!……正直、迷惑です!』

彼女のあのセリフが、そして屋上から去っていく時の彼女の「どうして気付いてくれないのか」という悔しさを押し殺した表情を思い出す。

そうだ、あいつは「理解者」がほしかったのだ。あの時俺は彼女の「理解者」足り得るのかを試され、そして不合格の烙印を押されたのだろう。なんで、あの時気付かなかった!

ベッドから飛び起きた俺は、自分のクローゼットを漁りながら、心の中で今まで自分の中でもやもやとしていた疑問への解答をしていた。そして、探していた分厚い一冊のアルバムを手に取りページをめくった。

「よし、やっぱり同じ中学じゃないか」

俺は中学校のアルバムに目黒里奈の名前を見つけると、すぐに最後のページに破産であった連絡先・住所の紙を手に取り部屋を飛び出した。


10分くらい走り、俺はある家の前まで来ていた。表札には「目黒」と書かれている。

そっとチャイムを鳴らす・

ピンポーン。……

誰も出てこない。

ピンポーン……

やっぱり駄目か、と自棄になってもう一回チャイムを押そうとすると、ガチャっと扉ぼの開く音がした。扉が開くと中からジャージの短パンにパーカーといった普段着の目黒里奈が出てきた。


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