第一話 反転する運命
前回の続き
というよりこの話の前置きみたいなものです
俺、神谷浩介はどこにでもいる普通の高校2年生だ
成績も平均的、運動能力も自慢できることはない。
要するに、人より優れたところがない凡人ということだ。
だが、俺には不思議な『体質』があるようで、
その体質がいい時があったり悪い時があったりする。
その体質とは、『物を寄せ付ける体質』だ。
たまに漫画やドラマなどで、トラブルや面倒事によく巻き込まれる主人公がいるが、
俺はそんなトラブルだけでなく、人や金、挙句の果てには強盗や恐喝までもが、そろって俺のところにやってくる。
だから俺は学校で『厄吸いのコウ』というあだ名が通っている。
正直いい迷惑だ。
こっちは、3年間の高校生活を何事もなく普通に過ごしたいのに・・・
「はぁー・・・」
自分でも気づかぬ間にため息がこぼれてしまう。
「よ、厄吸い。どうした?こんな朝っぱらからため息なんてついて」
「次その呼び方したら、絶交すっからな」
「じ、冗談だって。ほんの出来心だよ、ジョークジョーク!」
こいつは、たぶん俺が初めて心を許した奴で、名前は相模慎二。
こいつとは、小学校のころからの付き合いで、思い出を話したら数え切れなくなりそうだから、今はとりあえず省略しておこう。
「まあ、いいや。それよりも早く学校行こうぜ」
事項は今7時50分。学校まであと10分もあればつけるし、何よりうちの学校の登校時間は8時30分だ。そこまで急ぐような時間じゃない。
「なんかあるのか?」
「それがな・・・特に何もないんだ」
「じゃあこのままのんびり行く」
「おい!俺の渾身のボケに対してのツッコミはないのか!?」
「今のお前の発言のどこにボケがあったんだよ!?」
正直まったく想像がつかん。
そんなこんなで学校に到着し、いつものように授業をこなし、いつものように学校生活を過ごしていた。
・・・のだが、
俺の普通は、一気に反転してしまった。
「・・・あれ?」
学校からの帰り道、慎二は委員会の仕事があるとかで帰りは俺1人でかえることになった。
だが、いつも帰り慣れているはずの道から、一向に出られない。
どんなにまっすぐ歩いても、視界に入るのはビル群ばかり。
まるで同じところをぐるぐる回っているかのようだった。
「どうなってんだ?」
ずっと歩いていると、目の前に2つの人影が見えた。
やっとこの袋小路から抜け出せる・・・!
自然と足取りも早くなり、そこに向かって走って行った。
影がだんだん近くなり、その姿をはっきり見ることができた。
そこで俺が見たものは、見覚えのある人影だった。
それはどこからどう見ても人間だった。ある1部分を除いては《・・・・・・・・・・》。
そいつらの背中―正確には肩甲骨―から、翼が生えていた。
片方は両翼とも黒、そしてもう片方のやつは、両翼とも白だった。
そいつらは、自分の武器をを使って、戦っていた。
「なんなんだよ、こいつら・・・」
俺は、目の前で起こっている光景が、嘘のように思えた。
いや、本当は俺もわかっている。
あれは、夢に出てきた『俺』に似ている。
「やっぱり、あの夢って・・・」
立ち止まって見ていると、黒い奴と目があった・・・かと思ったら、黒い奴が突然白い奴との戦闘をやめ、こちらに向かって飛びかかってきた。
「うわあああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!」