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日記。今日は塾の先生に会いました

 セブンイレブンのメロンパンがどうしても食べたくなって、歩いて20分かかるコンビニへ。菓子パンコーナーを隈なく探したが、カフェオレメロンパンという邪道の中の邪道としか言いようがない代物しか見つからなかった。すっごくすっごくショックで、私はお赤飯おにぎりを温めてもらい、家に帰りながら、歩きながら、モソモソと赤飯おにぎりを食べた。

 中学生だった頃通っていた塾の前を通ったとき、そのとき手の中には三口ほどおにぎりが残っていたのだけど、塾の先生を見かけた。

 私はおにぎりを急いで口の中に詰め込み、車が来ないか左右を確認して道路を渡った。

「川中せんせー!」


 中学生の頃、私は悪ガキだった。塾の中限定で。中学校の中では大人しくて成績の良い優等生だった私は、塾生になると途端にチョーシに乗った頭の悪い子どもになった。たぶん私以上の悪ガキの友達に影響されたせい。先生の乗ってきた自転車のサドルは駐車場の草むらに隠し、黒板には授業前と後にビックリするほど低クオリティーの落書きはするし、授業中友達とボール遊び、先生を巻き込んで鬼ごっこ。塾長が乗ってきた車には指で下品な言葉を書いた。


 「……あー、水野じゃないか」

 塾の扉の鍵を開けようとしていた先生は、私に気がついて手を止めた。

「お久しぶりです」

「学校はー?そうか冬休みかー」

塾も先生も5年前と全然変ってなかった。少し建物が古くなったが、先生はむしろ若くなったようだ。もしかして問題児だった私たちが卒業して苦労が減った?


 少し世間話して、みんなの進路を聞いたり、教えたりして、私は塾を後にした。

 

 あの頃、塾が終わってみんなで星を眺めてたり、お菓子を買ってきて帰りたがる先生を説得してお菓子パーティを開いたり、深夜に花火やったり、ずいぶん好き勝手やってたなぁ。


 私はあの頃と同じように先生をあだ名で呼べなくて、少し寂しく思った。

 先生も塾も全然変ってないのに、私は目の周りをアイシャドーで無駄にキラキラさせたり、新色のリップで唇を不自然にツヤツヤさせたり、髪の色だって今では明るい茶色に。

 廃れた商店のウィンドーに写った自分が酷く歪んで、醜く見えてしょうがなかった。

 食べたお赤飯が悪かったのかなぁ。なんだか胃がムカムカする。



 私はいつだって、自分勝手に楽しく生きてる。もちろん今だって。

 だけど、あの頃、中学生の頃にもう戻れないんだってことが、どうして寂しいんだろう。


 空がオレンジ色に染まっていることに、ふと気がついた。夕日に目を細めたとき、自分が俯いて歩いていたことに気がついて立ち止まった。


 ほんっと。恵まれたよね。塾の先生、一緒にバカやってくれる先生なんてそうそういないよ。いつだっけ、先生が家からTV持ってきてみんなでマリオカートやったの。先生が抱えてフーフー言いながら教室に入ってきて、みんなで歓声あげて。


 私はたくさんの楽しかったことを切り捨てて(通り過ぎて?)、ここにいるんだなって思ったら、なんだか涙出そうになって、夕日がまぶしいからってことにしておく。



 さーて、今度はみんなで会いに行ってあげよーか。問題児がいなくなって寂しいだろうしね!

 そのときが楽しみだ。

ありがとうございました。


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― 新着の感想 ―
[一言] 昔の出来事を思い出す。そういうことに日記は最適ですね。 その日に起こっていた出来事を書き、時が経ってから読み返してみると、あぁこんなこともあったんだなぁ、と。懐かしむことが出来るのですね。 …
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