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北海道 Chapter1.

8月に入り卓と海斗は2人で北海道を訪れていた。

物語は7月のとある喫茶店から始まる。

北海道編スタート

北海道 Chapter1.


季節は流れ、8月のお盆。

卓と海斗は2人、北海道へと訪れていた。


というのも遡ること数週間前の7月某日、

2人はとある喫茶店でコーヒーを飲みながら

8月のお盆の予定を立てていた。


「今年は実家に帰ろうと思うんだよね~」

飲んでいたコーヒーを机に置きながら海斗は言った。

「うん。良いんじゃない?最近ずっと帰ってないみたいだったし」

卓もコーヒーを飲みながら言った。

「卓も一緒に来る?」

と海斗の言葉に、卓は飲んでいたコーヒーをぶっと吹いた。

「げほっ・・・なんだよ突然!俺が行っても良いのかよ」

と卓はむせながら言い、海斗は卓の背中をさすった。


マスターはそれをすぐ様察知して布巾(ふきん)で机を拭きながら

お召し物大丈夫ですかと2人に声をかけた。


「大丈夫です・・・すみません。

卓もごめんね・・・急にこんな話びっくりしたよね」

と海斗は言いながら卓の背中をさすりつづけた。

「う、うん。全然大丈夫だけど、突然の事でびっくりして・・・

俺なんかが行っても良いのかよ」

と卓はもう一度、言うと海斗は少し神妙な様子でうんと頷いた。

「何か訳アリそうだね・・・」

卓の言葉に海斗は

「まぁ大したことじゃないんだけど、あんまり自分の家好きじゃないからさ・・・

一緒に帰ってくれた方が嬉しいなぁって。それに・・・」


「それに?」

卓は聞き返すと

「卓の事を紹介しとこうと思って・・・」

と海斗は言うと

「えっ・・・あぁぁ」

海斗の言葉に卓も少し億劫(おっくう)だと感じた。

「紹介と言っても、付き合ってるとか同棲してるとかじゃなくて・・・

シェアハウスしてる友達みたいな感じで紹介したいなぁと・・・

一応、母親には卓の事は話してこれを機に紹介したいなぁと」

海斗の言葉に卓はうんと頷いた。


「俺は良いよ。海斗が生まれ育った北海道行ってみたかったし、海斗の家族にも会ってみたいと思ってたしね。でも、その感じだと家族仲あんまり良くないの?」

と卓は聞くと

「良くない訳じゃないけどさ、卓の家みたいに和気あいあいとしてる感じではないんだ。それに、俺一度中学生の時にゲイって事が広まって、その時、うちの親大変だったんだ。結局俺がごまかして逃げるように高校は本州のほうに来ちゃったんだけど」

海斗の言葉を、卓は黙って聞いていた。


全ての親が俺の家の様に理解があるわけではない。

素直に受け入れられない人も中にいる。

でも、もしそれが自分の身内だったらどうなのか。

海斗は俺が思っているよりずっと同性愛者といういう事で辛い目に合ってきたのかもしれない。


これ以上の話はしたくないだろうと卓は思い、聞くことを止めた。


「分かった。まぁその辺は俺に任しといて・・・

友達として仲良しアピールしとくからさ」

卓は笑顔で返すと、

海斗はありがとう・・・、と

はにかみながら笑顔で答えた。



こうして、卓と海斗の夏の北海道旅行が決行されたのだった。



北海道は3泊4日で1日目の日が沈むころに新千歳空港へと着いた。

夏だというのに夜は少しひんやりしていた。

関東の様に寝苦しいほど熱くはなかった。


右も左も分からない卓は海斗の後をついて行った。

「最初は電車で札幌まで行くよ」

海斗の言葉に卓は頷くと海斗の隣を歩いた。


新千歳空港から電車で札幌まで行った。

2人が最初に訪れたのは駅直結のJRタワーへ向かった。

もう夜も遅くなっていたため

いくつかの店舗は閉まっていたが

2人の目的はお店ではなく最上階の展望台だった。


最上階の展望台に向かうと、札幌の夜景が一望できた。

碁盤の目のような道路が照らされている。

「うわぁー!すげぇー!」

卓は目を輝かさせながら言うと

「卓にこの景色見せたかったんだ」

海斗はそう言いながら微笑んだ。



卓はこれから海斗の両親に会うので少し緊張していて、

内心帰りたいなと思っていたが、

札幌の夜景を観れたことで、北海道へ来て良かったと思えた


「すげぇなぁ!この景色・・・上から見渡すと分かるけけど

すごく綺麗に道が並んでるんだな。俺だったら

絶対道に迷いそう」

笑いながらそういう卓に海斗は思わずぎゅっと抱きしめた。


「ちょっと・・・海斗!」

卓は周りを見回した。誰かに見られるのは少し恥ずかしい

「大丈夫誰もいないから」

海斗はそう言うと卓は目を瞑って体を預けた。


ドクドクと海斗の心臓の音が聞こえてくる

海斗の心臓の音と吐息が聞こえてくる。

俺を両親に合わせることの不安や恐怖が体に伝わってくる。

卓は海斗の背中に手を当てて身を預けた。

徐々にゆっくりになる心臓の音と共に海斗はそっと卓を抱いていた体を起こした。

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