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失恋 Chapter4.

失恋に落ち込む遼の家に突然訪れたリサ。

遼の中のふさぎ込んでいた気持ちがあふれる。

失恋 Chapter4.


ピンポーン


遼の家に突如流れる効果音。


なんだろう・・・何か頼んでたっけ?

遼はドアホンのモニターで、外を確認するとリサの顔が映っていた。


なんだ・・・リサか

休みの日になんなんだ・・・


「どうし・・・」

遼がしゃべろうとしたのを遮るように

ハイテンションのリサが声を出してきた。

「おかえり!リョウー!タクのサインもらってくれたー?」


あぁ・・・今はこのハイテンションはちょっとキツイ

早い所渡して帰ってもらおう。


「あぁ・・・もらったよ。今用意するからちょっと待ってて」

「わかったー!」


リサはそう言うなり、ガチャと扉をあけた。


「じゃあ!おじゃましまーす!」

「バ・・・違うよ!外で待っててって意味だよ」

遼は急いで玄関に行くと、リサはもうすでに靴を脱ぎ始めていた。


「あーそうだったの?

そういえばいつも遼、家にあげさせてくれなかったけ?

でも良いじゃん!女の子外に待たせるなんて、ジェントルマンとして失格だよ!」


あーうぜぇ・・・

遼はそう思いながら


「はいはい。失格で結構ですよ。いま本持ってくるから待ってて」

「まぁまぁ遠慮しないで!家の外じゃ寒いだろうから部屋でくつろがしてもらうから」

「日本語めちゃくちゃだし!遠慮するのはお前ー!」

遼の言葉など気にも留めず部屋に上がり込んだリサ


「おじゃましまーす!」

とリサは廊下の扉を開いた。

「あぁ・・・もういいや・・・」


リサは本当に人のプライバシーに関係なく

ずけずけと入ってくるんだから・・・

この人のこういう所本当苦手・・・


「へぇーけっこう片付けてるじゃん!偉い偉い!」


何様だよ、本当にもぅ・・・


「おいあんまりウロチョロするなよ。そこのソファーにでも座ってて」

遼の言葉に、リサははーいと返事しながら、ソファーに座った。

「コーヒーとか大丈夫だよー」

とリサは声をかけた。


「はぁ・・・」

遼はため息をつきながら

コップにインスタントコーヒーをいれ

熱湯を注いぎ、リサの前に出した。


「おぉ!催促したつもりないのに悪いねぇー」

「充分催促してましたよ!

それ飲んだらとっとと帰れよなぁー

ほれ卓のサインもらった本ここ置いとくぞ」

と遼は言うと

「おっ!サンキュー!!」

とリサは本の最初のページを開いた。


「うん!ばっちり!ありがとうね!リョウ!

ところでさ!タクの告白上手くいかなかったみたいだね」

とリサは本を閉じながら言うと、遼は声を荒げた。

「俺!告白するなんて言った覚えないし!第一それリサに関係ないだろ!」


リサは感が鋭い上にデリカシーのデの字もない。


「私は。2人仲良くフィリピンに来ると思ってたんだけどさ。そっか、ダメだったか」

「あぁ、そうだよ。傷口をえぐりに来たのかお前」

「ううん。慰めにきた」

「さっきから、真反対のことしに来てるぞ」

「でも、さっきまでずっと心に蓋して落ち込んでたんじゃないの?」

「ん・・・それは・・・」


確かにリサが来るまでの俺は…


「今は1人になっちゃダメだ・・・

そしたらタクの事をもっと求めることになっちゃう・・・

失恋の苦しみなら皆同じだ。男でも女でも同性でも異性でも」


リサはそう言いながら、遼の表情を見た。


「リョウ、さっきからずっと涙ぐんでたし、辛そうな顔してた。

今も・・・ゆっくりでいい。卓と友達になれるまで・・・隣人の私が見守ってあげるから」


リサの言葉が胸にささる。

この人はいつも俺の心を揺さぶってくる。


もっと早くに・・・気づいていたら。

心の中に秘めていた思いが形になって放たれていく。


「俺がもっと早く自分の気持ちに正直になれていたら・・・あいつの隣は俺だったかもしれない」

「うん」

「卓と一緒に過ごす日々の夢をみた。

輝いてた・・・幸せだった・・・

あいつの事まだ諦められない・・・

まだ、俺の心の、中心にあいつがいる・・・」

「うん。それは時間が解決してくれる。

世の中には恋愛以外にも趣味や仕事・・・

没頭できるものがたくさんある。

その心の穴はじっくり埋めて行けば良い」

「あぁ・・・ありがとうなぁ・・・」


遼の言葉にリサは後ろからそっと抱きしめた。


人の肌が今はすごく温かく気持ちが良い。

涙がとどまることなく溢れていく。


「卓好きだ!大好きだ!」

「うん・・・」


今はまだ、心に空いた穴

それも、時間と共に埋められていく。


だが、それはまだ先の話・・・


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