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失恋 Chapter3.

遼と卓は買い出しを終え、家に帰った。

辺りは暗くなっていた。

2人だけの薄暗い部屋。

遼と卓は体を寄せ合い・・・

失恋 Chapter3.


あらかたショッピングモールで買いものを終え、遼の家に帰宅した2人。

買ってきた荷物を整理しながら、2人の家を完成させていく。


寝室には2人の布団を並べたり

食器棚にはお揃いの食器が並べたりしていた。

タンスのうち何段かは、卓専用となった。


今まで自分のテリトリーに入ってこられることが嫌だったのに

卓の物が自分の家に入ってくる事が嬉しく感じた。


「そういえば、遼と付き合う前は

俺を家の中にすら入れてくれなかったよね・・・」

卓はそう言いながら買ってきた服を畳んでいた。


「あぁ・・・そうだな・・・あの時はね・・・」

と遼はそう言いながら卓の服を一緒に畳んでいる。


「今は違うんだ・・・俺の事好きって気づいたから?」

今日の卓はやけに積極的すぎる・・・


「あぁ・・・そうだね・・・今は、卓がうちに来てくれて嬉しい」

遼は照れくさそうに話すと、卓の顔が遼に近づいた。



柔らかな唇が遼の唇に触れた。



「俺も遼といれて嬉しい」

卓の言葉にすっと心が溶けていく

「卓・・・大好きだよ」


遼は卓の体をそのまま押し倒した。

畳んでいた服が床に散らばり、

夕焼けがほのかに辺りを照らした。


遼の目に映る卓の頬は赤く、目は(うつ)ろになっている。

「俺も遼が大好きだよ」

微笑みながら言う卓の言葉に、遼はそのまま抱きしめた。



散らかった服の上に2人の服が折り重なっていく。



柔らかな卓の肌が触れる。


生温かい・・・心臓がうるさい

あぁ・・・好きだ・・・

卓と一緒になりたい・・・



遼の中で1つの疑問があった。



卓と付き合えたとして俺は卓の事を性的な意味で好きになれるのか。

つまり・・・卓の体で興奮するのだろうか・・・

俺はノンケで女が好きで、男の体に興味が無く

それでも卓が好きで・・・でもそれは・・・

性的な意味ではない。



卓はそれでもいいのかと・・・



でも今はっきりと分かった。

俺は卓の全てが好きで

この体も全部誰かに取れられたくない。


「遼・・・ずっと一緒だよ」

卓の言葉に遼はこくりと頷くと

遼は体をゆだねた。






心臓がうるさい。


さっきまで辺りは暗かったのに今は明るい。


日の光が遼を照らした。


卓の姿はなかった。


買い出しで買った布団はそこにはなく。


寝間着もお揃いじゃない。



そうか・・・

夢だったんだ。



遼はむくっと起き上がった。


時計は11時を指している。


卓の洋服が詰まった棚もないし、お揃いの食器もない。


歯ブラシも1つ。



そりゃあそうだ

俺はフラれたんだから

あいつがいるわけない。



心に空いた穴はそう簡単に塞がらない。

なんて素敵で最悪な悪夢だったんだ。


俺に現実を突きつけるためだけに

あったのかと思うほどタイミングの悪い夢。

夢に出てきてしまうほど俺は卓を欲しているのか。



遼は、買い置きしていたカップラーメンのフタを開け、

お湯を沸かし始めた。


気分は落ちていても腹は減る。

人間食べないと死ぬからな。


お湯を沸かしながらテレビをつけて

ネットで配信してるアニメをみた。


お湯を注ぎ、

ある程度したら蓋を開け

カップーラメーンを食べる。



味気ない・・・



夢の中では味こそなかったが幸せだった。


食べ終わって、歯を磨きに洗面所に行く。


歯を磨いてる最中に

急に隣に現れて歯を磨く人が

今はいない



卓が隣にいない



さみしい・・・



歯を磨く鏡に映る自分の姿が

至極惨めに見えた。



歯を磨き終えてソファーに座り

アニメの続きを見る。

特に何もすることがない休み。



いつも有意義なはずの時間が

なんとも味気がなく感じてしまう。


そこに卓がいないからだと、

今ならはっきりと分かった。


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