約束 Chapter9.
約束 Chapter9.
お正月休み明け、仕事初めの日。
遼が4月から日本に戻ることが会社の人達に伝えられた。
リサと遼は12月のあの日以来あまり話す事も無くなり、
日本に戻る事を知った今でもそれは変わることは無かった。
2月に入り、遼は自分の引継ぎを行い始めた。
机の荷物を徐々に片付け、着々と日本へ行くための準備していく。
リサは少なくなっていく荷物を寂しそうな表情で見つめたが、
遼が来るといつもの明るいリサに戻っていた。
3月になり、日本に行く日も決まった。
遼はあれからリサとの親密な交流は一度も無く、挨拶を交わす程度だった。
日本に帰る2日前
「ねぇリョウ・・・明日空いてる?」
最初に誘ったのはリサだった。
「荷物の整理があるから、夕方からなら空いてるよ」
遼はリサにそう返すと
「今までのお礼を兼ねて飲み屋さんでも行かない?リサ姉さんが奢ってあげるよ」
と笑って言うと
「ありがとう。俺もリサに話したいことがあるんだ」
と遼はそう言い約束を交わした。
次の日の夕方
遼の家に迎えに来たリサ
いつもより少しおめかししたリサの姿に遼は思わず
「綺麗だ」
と呟いた。
「何を急に」
リサは顔を少し赤らめてそっぽを向いた。
「リサ・・・今日なんだけど、俺が金出すからここにしない?」
と遼が見せたのは、夜景が見えるホテルのレストランだった。
「ずっと前からリサと行きたくて昨日予約したんだ」
遼の言葉にリサはふふっと笑うと
「偶然だね」
とリサは同じサイトを見せた。
「あれ?もしかして同じとこ行こうとしてた?」
「そうみたい!でもさ、こういう時はリョウ先に言うもんだよ。
乙女は洋服選びとか大事なんだから!先に場所行ってくれなくちゃ。それに・・・」
リョウから先に言ってくれても良かったんだよ
とリサは照れくさそうに付け加えたように言った。
「そっか。あのクリスマスの日以来リサと会うのが気まずくて・・・
あの日はごめんな。急に飛び出したりして」
「ううん。良いの・・・私の方こそ敦の話ばかり言って辛かったよね。
リョウの気持ちを考えられなくてごめんなさい」
リサはそう返した。
どうやらリサは
卓が一目惚れした敦の事を思い出して
辛くなって飛び出したんだ勘違いをしていた。
「まぁ立ち話もなんだし、歩きながら話でもしよっか」
と遼は言うと扉を閉めた。
遼は歩きながら自分より背の高いリサを見た。
綺麗な金髪と、青い目と白い肌
女優の様なその綺麗な姿に
美しい人だな
と、胸が高鳴った。
ホテルに着く頃には辺りはすっかり暗くなっていた。
レストランに入店すると
スーツを着用したウェイターが日本語で応対し、
窓際の夜景が一望できるベストな席を案内された。
席につくとソムリエから勧められたシャンパンを
グラスに注いでもらいアイコンタクトで乾杯をした。
「あのさ、リサ・・・伝えたいことがあるんだ」
遼の言葉にリサはうんと頷いた。
緊張で胸が張り裂けそうで
一言目が中々口に出ない。
そんな時、
ふっと背中を
ミエナイチカラに押され
遼はリサの顔を見た。
リサの事が好きだ。
まるで心からこぼれ出るかのように伝えた遼は、リサよりも驚いていた。
「フフ・・・今言うの?
これリョウ、フラれたらこのあとの食事気まずいんじゃない?」
と笑っているリサに
あっ・・・・と
遼は後先考えないで失敗したと思った。
「リョウの事は凄い大好きだし、
フィリピンから離れるって聞いて寂しかったし、
リョウと一生一緒にいるのも悪くないと思う。
でも、まだ私の中に敦がいて、きっと本気であなたの事を愛せないと思う。
だから・・・」
「分かってる。
でも答えを出すのはまだ待ってくれ。
君が俺と一緒になりたいと思うまで
俺は日本で待ってるから、その日までずっと待ってるから」
「一生この気持ちは変わらないかもしれないよ」
「それでも構わない」
遼の言葉にリサはフフっと笑うと
「リョウって本当バカなんだから。婚期逃しても知らないよ」
と笑って応えるリサ。
「それはお互い様だよ。
リサも俺みたいないい男を逃したらもったいないよ」
と遼は笑って応えた。
「えぇーっ!どの口が言うの?私より身長高くなってから良いなよ」
とリサは言った。
その掛け合いがきっかけとなり
リサと遼はいつもの何気ない日常の会話に戻った。
楽しかったフィリピンの思い出を語りあい
2人はフィリピンの最後の夜を過ごしたのだった。
そして翌日。
リサは空港には現れなかった。
3年間という月日をこの地で過ごした遼は
どこか名残惜しさがあった。
またな・・・フィリピン
こうして遼の長かった海外出向の日々は終わったのだった。




