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失恋 Chapter1.

卓にフラれた遼は1人でフィリピンへと帰り、夜を明かす。

失恋 Chapter1.


成田からフィリピンマニラまで片道4時間30分。

遼は飛行機の乗り、自分の座席から母国を横目にしていた。


心の中に大きな穴が出来たような喪失感と虚無感。

ただただ空を眺め、時の流れを感じている。


ふとした瞬間に訪れる息苦しさ。


卓とのキスが、フラッシュバックの様に頭をよぎる。



すーっと涙が頬を伝った。



こんなに恋って苦しものなんだ。



遼が初めて本気になった恋。


それが失恋という形で終わったという実感が、

今になって体に感じていた。



ふと気が付くと

離陸のアナウンスが流れていることに気付いた。


まるで世界の中で自分の時間だけゆっくりと流れているかのような錯覚をしていたが、

急に冷めたようにパッと気持ちが切り替わった。




マニラから自宅までは電車を乗り継いだ。

途中何度か虚無感に襲われ、

電車を乗り間違えそうになったが

無事家にたどり着き、22時を過ぎていた。


明日は休みか・・・


遼は靴を脱ぎ、荷物をほっといてソファーに座った。


ようやく1人だけの空間になった。



部屋の灯りがなぜか鬱陶しく感じ、点ける気がおきない。

月明りが部屋の中を照らしている。

お腹がぎゅるうぅっとうるさくなっているが

何も食べる気が起きなかった。



遼は目を閉じた。



心臓の音だけがうるさく聞こえる。



涙が零れるのを感じる。



こんなにも俺は・・・



ソフトクリームを食べながら頬にクリームつけてる卓。

綿あめを食べてる時の卓。

待ち合わせの時に俺を見つけ、ぱぁっと明るくなる笑顔でこっちに走ってくる卓。

顔を赤らめながら恥ずかしそうにする卓。

磯で楽しそうに遊んでる時の無邪気な卓。



俺に見せてくれたいろんな表情が恋しい。

今もまだ全部自分の物にしたいと思ってしまう。


隣に卓がいた感覚・匂い・体温・感触。


全てが懐かしく感じる。



会いたい・・・卓に・・・



別れ際にしたキス。

あの時の唇は、今はもう乾いている。



俺との思い出はもう全て過去になり、

卓は新しい海斗との思い出をいっぱいつくる。



だめだ・・・



俺はこんなにも卓の事が好きだったんだ。




遼は激しい嫉妬と喪失感でいっぱいになっていた。



最後、別れ際、

卓は絆のお守りを三人で一緒に返しに行こうって言っていたか。


それは”元の友達”として卓と接しなければならなくなる。



そんなこと出来るのか・・・?



今の俺には無理だ。

こんな状態で卓に会ってしまったら、

そう考えると怖くて仕方がない。


もしかしたら、卓とはもう会えないかもしれない


もう二度と・・・


失いたくない・・・

友達としてでも良い

卓のそばに・・・




気が付くと、辺りは少し明るくなり始めていた。



もう朝が来たのか・・・



遼は朝の眩しさがしんどく感じた。


今はそっとしておいてくれ・・・


遼はそう思いながら、

ゆっくりと目を閉じた。

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