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フィリピンでの日々 Chapter2.

フィリピンでの日々 Chapter2.


セブ島のダイビングポイントはいくつかあり、遼達は隣接しているマクタン島に来ていた。


船の上だというのにエメラルドグリーンに輝く海水が透き通っており、

海底のサンゴ礁や熱帯魚まで見えている。


ダイビング初心者である遼から最初に海に入った。

海の温度は日本と違い少し暖かく、

心地の良い温度で体にすっと溶けていくような感覚だった。


遼はインストラクターの指示に従い、ゆっくりと潜水していく。


初めて見る海の中の世界に遼は圧倒された。

透き通る海に煌びやかなサンゴ礁。

小さな熱帯魚達が泳いでいるのが分かる。


“楽しい!!”


遼のワクワクは止まらなかった。

他の同僚や先輩達も続々とやってきた。

ゼスチャーで合図を取りながら絶景ポイントを教えてくれるインストラクター。


初めての恐怖などどこかに消え

この海の世界の虜になっていく。


防水カメラをもった先輩が記念写真を撮った。

遼達は神秘的な海の世界を時間を忘れて楽しんでいた。


昼食の時間になったので、一度海から出て

船上でお弁当をみんなで囲んで食べることになった。


「どうだい?リョウ?初めてのダイビングは?」

同僚の言葉に遼は

「すごかった!これはハマる!楽しい!!」

目を輝かせながら言うと

「まるで子供みたい!でも楽しめてて良かった」

とリサはクスりと笑いながら言うので遼は急に恥ずかしくなった。

「子供っていうなよなぁ・・・でも本当すごい。

感動しちゃったぁ。誘ってくれてありがとう」

遼は会社の仲間に感謝の気持ちを言った。


午後からは少しポイントが変わるようだ。

二回目ということで遼は慣れてきた様子で海の中に潜った。


先ほどとは違い海の底は深い場所で潜りきるまで時間がかかった。

海底を目指す途中、イワシの魚群と遭遇した。


大量のイワシが群をなして泳ぐ姿は圧巻で遼の興奮はさらに高まっていった。


まるで銀河系の様に流れるイワシの魚群。

リサは果敢に突撃していくと逃げるように避けていくイワシ達。


逃げ回るイワシ達と海の色とのコントラストに魅せられていく。


遼もリサと同じようにイワシに向かって突撃しようた瞬間、

先ほどのリサの突撃で逃げ回ったイワシの群れが目の前を横切った。

目の前に近づいてくる魚群に遼はびっくりして後ろに少し下がったが、

意を決して前に突撃するとイワシ達は遼を避けて逃げていく。


そうこうしているとうちにあっという間に時間が流れ、

海を出る時間となってしまった。

遼たちは船に戻り、マクタン島から離れセブ島へ戻った。


夜になり、遼達は海辺のレストランに向かった。

フィリピンの郷土料理が味わえるというレストランは

岩場で補強された海上にあり海の景色を堪能しながら食事を楽しめるようだ。

さらに夜になると周囲はレストランの灯りだけに為、満天の星空を見ることが出来る。

その壮大な景色を観ながら遼達はお酒を飲んでご飯を食べていた。

「ダイビングの後はお酒を飲み過ぎると危ないから一杯くらいにしとけよー」

ダイビングベテランの先輩が乾杯の音頭でそう言いながらお酒を飲んでいた。

賑やかなムードで皆で楽しんでいた。


終盤になり、各々落ち着いてきたところで遼はリサの隣に座った。


「どうだった?リョウ?今日は楽しかった?」

リサの言葉に遼は

「おぅ!楽しかったよ!凄かった!」

遼の言葉にリサは微笑むと

「一時期、元気なかったけど大分元気になってきたみたいだねぇ。吹っ切れたのかい?」

リサの言葉に遼は少し考えながら

「ダイビングでスゴい景色たくさん観たり、

こんな風に美味しい料理食べたり、

しかも満天の星空の下でさ・・・

そういう経験をさ、あいつにも見せたいって思った。

あいつだったらどんな顔するのか。

どんな風に反応するのか・・・そう考えてたんだよなぁ」

遼の言葉にリサはうんうんと頷きながら

「そうかぁ・・・ふとした瞬間考えちゃうよねぇ。

まぁゆっくり時間をかけて、いつか友達として一緒に色んな経験すれば良いじゃないか」


リサの言葉に遼は頷いたが、

”友達“としてではなく”恋人“として

一緒に味わいたいと願ってしまう


「なぁリサ・・・ここだけの話なんだけどさ」

遼の言葉にリサは

「ちょっと待って!場所を移そう」

リサの言葉に遼はお店の外に出て海岸沿いに出た。

レストランの灯りは眩しく見えるが、一帯は暗くで星が輝いていた。


「それで、ここだけの話とは」

リサの言葉に遼は声が震え中々、音として出てこない。

心臓の音が激しくなり口がごもりながら遼は意を決して打ち明け始めた。

「俺さ、卓と別れたその日、

夢で卓とキスをして裸で抱き合う夢をみた・・・

俺はずっと男とそういう関係は望んでなかったんだけど、

今回卓の事が好きになって、卓の体もそのぉ・・・」

上手く言えない遼に

「要は、男性相手にもこっちで愛せるようになったと」

リサは遼の股間を指さした。

「まぁ、そういうこと・・・初めて人に言った。

緊張したぁ・・・。脱衣所とかで男の裸を気にするようになるとは思わなかった。

俺は普通の男じゃなくなったのかなって…」

遼は4か月間ずっと戸惑っていた。

そして同時に怖くも感じていた。

人と違うというだけでこんなに怖いなんて・・・

まるで自分だけが仲間外れの様なそんな恐怖に遼はずっと悩んでいたのだ。


「それはバイセクシャルなのかもね。男も女も恋愛対象ってやつだ。

まぁ・・・そうだねぇ・・・怖いよねぇ・・・

でも、タクを好きになったこと後悔してないんでしょ?」

「もちろん!一度もそんな事ないし。卓と出会わない人生なんて考えられない」

遼は力強い口調で伝えた。

「ってことは、リョウ。あんたの中で答えは出てるんだ。

どんなに怖くても、辛くても、タクと出会った自分とちゃんと向き合おうって覚悟が。

リョウ。あんたかっこいいよ」


かっこいいよ

その言葉に遼はふっと心の中の迷いが消えたような気がした。


自分という異質な人間を肯定して

受け入れてくれたその言葉


「この世の中に普通の人間なんていない。

でも皆不安だから、同じ方向をみるとホッとする。

でもリョウ。

あんたは同じ方向をみることよりも

自分の大切にしたいその想いを否定しないで

ちゃんと向き合おうとしてる。

それはかっこいい人間だ。

私はあなたの事を変だなんて思わない」


「リサ・・・ありがとう・・・」

遼の心にそっと触れたその言葉。

本当に救われたような気がした。

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