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……いや、そもそもそれ以前に――

「…………へ?」


 そんな困惑の最中さなか、ゆくりなく届いた声にハッとして顔を向ける。すると、そこには何とも上品な衣装に身を纏った見目麗しい男性が。……えっと、どちらさま? それに……この衣装、どこかで……いや、それより――


「――とりあえず、学校の準備しなきゃ」

「……学校? ……そうか、貴女は大学に通いたかったのか。気付かなくてすまなかった。それなら、私の方から入学の手続きをしておこう」

「……へっ? えっと、何を言って……」

「だが……ひとまず、今日のところは安静にしておいた方が良いだろう。私のせいだとは重々承知しているし、言えた義理でもないのだろうが……今も、ひどく顔色が優れないようだからね」

「いや、だからその……」


 ……いや、そういうことじゃなく……あと、大学じゃなくて高校だし……いや、そもそもそれ以前に――


「……あの、ところでさっき何と言って……」

「ん? ああ、ひどく顔色が優れないようだから、今日のところは安静に――」

「あっ、いえそこじゃなくもっと前……いえ、何と言うか……えっと、例えば私って周囲の人達からなんと呼ばれてます?」


 ……うん、自分でも何を言ってるんだろうと思う。記憶喪失、と言うにもだいぶ不自然だし。……だけど、今の私の疑念に適する回答こたえを得られるとしたら――


 すると、果たして不思議そうな――そして、心配そうな表情かおを浮かべる美貌の男性。それから、徐に口を開いて――



「……そうだね、全ての人に共通しているわけでもないだろうけど……大半の人からは、桐壺きりつぼと呼ばれていたように思うよ」







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