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約束
「……ふむ、そういうことなら無下にするわけにもいかないが……だが、貴女はそれで良いの……いや、この質問は甚だ配慮に欠けてしまうね。そうするより他なかったのだろう」
その後、暫し経て。
清涼殿の寝所にて、甚く申し訳なさそうに告げる帝。ただ、申し訳ないのはこちらも同様で。と言うのも――
『――もし、私に協力してくださるなら……他のお妃さま方よりいっそう貴女をご贔屓なさるよう、私の方から帝さまに願い申し上げましょう』
前日の夜半のこと。
みんなが寝静まった頃、こっそりと一人の女御の部屋へ赴いた私。……いや、ほんとバレなくて良かった。私の方から体調不良を強く訴えておいたため、昨夜は帝からのお召しがなかった。それもあってか、私に仕えてくれている女房達を含めみんな油断してくれていたのが幸いだった。
そして、唐突な私の……それも、自身が深く妬み憎んでいる相手からの訪問に、ひどく驚き困惑した様子の女御。……まあ、そりゃそうだよね。ともあれ、そんな彼女に申した言葉が上記なわけでして。