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……うん、今更ながら――
――それから、数日経て。
清涼殿――帝の居所へと向かう廊下を一人歩いていると、あちらこちらから嫉妬や憎悪の籠もった視線が刺さる刺さる。……まあ、想定内――と言うより、筋書き通りだけど。
ただ、それにしても……うん、今更ながら重いなぁこれ。具体的には、この重ね袿が。よくもまあ、当時の人達はこんな衣装を常に纏って……まあ、好きで着てたわけじゃないかもしれないけど。
……まあ、それはともあれ――
――バシャッ。
「……あっぶねぇ」
「……ちっ、避けられたわね。……ん? 桐壺の口調って、あんな下品だっ――」
「ああいえっ、危ないったらありゃしませんわおほほほほ――」
「あいつ今日どうかしたの!?」
咄嗟の桐壺の機転に、どうしてか驚愕の声を上げるお妃方々。……ふう、危なかっ……いや誤魔化せてねえなこれ。
あと、下品とか言うんじゃないよ。帆弥本来の口調を下品とか言うんじゃないよ。